歴史を作る
2012年、4人のアメリカ人女性が歴史に名前を残しました。Sarah Hammer、Dotsie Bausch、Lauren TamayoとJennie ReedがFELTのトラックバイクTKを駆り、チームパシュートで銀メダルを獲得。アメリカのトラック競技チームが成し遂げた初の快挙でした。 しかし、彼女達の健闘に感銘を受けたレースファン達は、アメリカチームは金メダルを獲得出来るのではないかと口にし始めました。そして、スポーツ界が2016年のリオに向けて加速する中、FELTは答えを見つけました。それがTA FRDです。
このプロジェクトに先立っての議論は、4年前に始まっていました。ロンドンでイギリスに次いで銀メダルを獲得したアメリカチームの成功を目の当たりにした私達は、勝利を収める為にはどうしたら良いのか、2016年のリオでイギリスや他の世界のトップレベルのチームに勝つ為にどうしたら良いか問い始めたのです。ライバル達の一歩先を行く為にはFELTの協力が必要でした。
Jim Millerリオで金メダルを獲得するという目標ははっきりと決まっていました。私達の課題は、どの様に空気抵抗を操り、史上最速のトラックバイクを作り上げるかでした。
Jim Felt
ゼロからの開発
8年前に発表された時、TKはFELTが作り上げたもっとも最先端のトラックバイクでした。驚くべきパフォーマンスでスプリントバイク、ポイントバイクとパシュートバイクとして万能を誇りました。
しかし開発ディレクターのJeff Soucekは、「究極の製品を作り出す唯一の方法は、一つのことに特化して開発することです。」と言います。
チームアメリカの金メダル獲得のサポートをする為、エンジニア達は全てを白紙から考え直しました。全てを、プロジェクトの範囲を絞り、最終的にチームパシュート専用のバイクを開発することに決めました。
エンジニアの観点から今までにない最上のレースバイクを作り上げました。
ベロドロームの中
チームパシュート用の最上のレースバイクを作り上げるという目標を掲げ、まずエンジニア達はトラックレースの競技環境に着目し、ベロドローム内の空力に関する徹底的なリサーチを行いました。リサーチの結果をもとに、革新的な左右非対称のクロスセクション、バイクの左側にクランクを配置するという画期的なアイデアを取り入れたバイクのデザインを生み出しました。TA FRDはFELTの歴史上もっとも大きい挑戦の一つと言えます。
進化したエアロ
TA FRDのすべては、コンピューターによる風洞シュミレーションと、強度解析、そして実際の風洞実験室で解析され尽くしています。既製のエアロ形状は使われていません。全てを自社で、一からデザインしました。トラックバイクはベロドロームにおいて一方向に周回します。ベロドロームのコーナーリング時のヨーアングル利用し、エアロダイナミックな形状を開発しました。左右非対称なエアロ形状になっているのはそのためです。
革新的なコンセプト
クロスセクションの左右非対称形状同様に、FELTは自転車のドライブトレイン側から風が当たると、ハイスピードで走れることを発見しました。自転車のドライブトレインをトラックの外側、つまり自転車の右側から、トラックの内側、自転車の左側に移す事で、自転車のエアロダイナミクスが向上し、さらに自転車の重心がコーナーの内側に移動することで安定性も高まっています。
リスクを取らずに何も進化しないことは簡単です。リオに向けて肉体的にも機材的にも劇的な変革を行いました。アメリカの威信をかけた挑戦です。
Andy Sparks
