プロジェクト135パート2 第10回 厳島神社と弥山原始林

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  厳島【宮島】は日本三景の一つであり、世界遺産の島です。前回の屋久島と違い東京から行くのも簡単でそれほどの体力がなくとも見られるところは沢山あります。

 以前にも来たことはありますが、その時は単なる観光、今回は世界遺産を見て皆さんに紹介する努めがあり、時間をかけて真面目に見てきました。屋久島もそうですが、世界遺産と言っても漫然と見ているとその重要性、良さがわかりません。今回は現地のガイドさんによる世界遺産ツアーに参加しました。参加費は500円、およそ1時間半のコースで参加人員5名はもったいないような充実した内容でした。

 まずツアーに参加して、解散後に興味のある所はもう一度ゆっくり回り、ツアーで行かなかった所も見て回りました。 前回行った時とは比べられないくらい宮島を理解できたような気がしています。

 
■今回場所は
 

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JR広島駅から宮島口までおよそ30分ほど、その後、15分おきに出ているフェリーで10分ほどで宮島に渡れます。遠くに見える鳥居が厳島神社の鳥居で、その後ろが弥山原始林です。厳島神社本殿、拝殿、など17棟、大鳥居、五重塔、多宝塔の建造物群と前面の海、背後にそびえる弥山原始林を合わせた地域が世界遺産に登録されています。
 
フェリーで宮島へ渡ると桟橋の出口に観光案内所があります。そこでガイドつきの世界遺産ツアーに応募しました。
 
ガイドさんがいなければ、まず見られないと思う釣り井戸。誓真というお坊さんが作ったそうです。こんなとこ入り込んでいいのかと思うような、おみやげ物やさんの間の路地を入って突き当たり、説明も慣れたもので、ふーんと思うことが沢山ありました。
 
これが日本三景の碑です。松島、天橋立に勝るとも劣らない景色です。
 
こちらが、世界遺産の碑です。
 
世界遺産の碑の上にある丸穴から覗くと遠くに大鳥居が見えています。
 
厳島神社は史跡及名勝に指定されており、両方に指定されている所は全国でも数少ないそうです。
 
外国の人に日本の景色で思い浮かぶところを訊くと、富士山と厳島の大鳥居と言う人が多いとか、皆さんは厳島と言うとなにを思い浮かべますか?私たちはやはり大鳥居と神社本殿です。午前中にガイドさんが撮ってくれた時はまだ潮が引いていて、鳥居の所まで観光客が歩いて行けました。
 
それがツアーが終わってからお昼ご飯を食べてきたら潮が満ちてきてご覧の通り海の中、はるか向こうに鳥居があります。
 
午前中は普通に地面に建っているような厳島神社でした。
 
それが午後から潮が満ちるとご覧の通り完全に海の中に建っているように見えます。
 
そもそも平清盛が厳島神社を立てたころ、島そのものがご神仏として崇められていたのだそうです。そこに大々的に神社を作ることは恐れ多いと言うことで海の中に建てたとか。ガイドさんに言われるとなるほど、と思ってしまいます。
 
ご存知と思いますが厳島神社は左右に長い回廊があり、本殿、拝殿、能舞台などを結んでいます。その回廊にはご覧の様な隙間が空いています。当時の建築技術では隙間なく出来なかったのかなどと考えてはいけません。隙間なく回廊を作ると大潮の時などに海面が上がり、建物そのものが持ち上がってしまうのを防ぐ工夫なのだそうです。昔の人はすごいことを考えるものです。
 
午前中、厳島神社の回廊から見た五重塔と豊国神社です。手前には全く水がありません。
 
それが午後、潮が満ちるとご覧の通り。満ちてきた手前の海水の中には上から見ていてもわかるほどフグなど、海の小魚が泳いでいます。
 
この、厳島神社の横の五重塔は国の重要文化財で和様と唐様を融合させたもので、1407年の創建と伝えられています。初層の内部は完全な唐様で彩色も鮮やかに残っています。詳しい説明は忘れましたが中心柱が二層で留まっているとかの独創的な構造なのだそうです。
 
五重塔の横に見える大きな屋根が豊国神社で、豊臣秀吉が安国寺恵瓊を奉行として千人のお坊さんが一度に読経できるように、1587年に発願、その10年後に秀吉が亡くなってしまい、完成を見ないまま現在に至っているそうです。その広大さから千畳閣と呼ばれているそうです。この写真は廊下の下から撮ったものです。
 
この写真は千畳閣の横から山側を撮ったものです。町を挟んだこの山も自然景観として世界遺産に含まれているそうです。
 
厳島神社の出口の辺りにあるのが大願寺です。厳島神社の修理、造営を明治維新まで司ってきたのがこの寺院だそうで、長州との戦いのとき幕臣勝海舟が長州藩士などと大願寺の書院で会談を行ったそうです。鴨居の上にあるのが岩国の錦帯橋の正確な模型で、岩国の本物が落ちた時これを参考に再建したとか、ガイドさんの受け売りですけど。
 
さー、そろそろお昼にしましょうか。宮島でお昼と言えば、、、名物アナゴ飯。昼時だったとはいえ、見てください、こんなに人が待っているのです。待っているだけならまだ我慢もしましょう、でも店の人が誰もいない店の外にノートを置いて名前を書け、アナゴ飯は一人一つは注文すること、子供は入ってはいけないなどと偉らそーに、、、何様じゃいと我儘夫婦はほかの店を探したのです。 
 
ほら見てごらん、こんなに美味しそうな店に入れたじゃない、ビールは美味しいし、子供の声は聞こえるし、大満足でした。
 
そのうえ、アナゴ飯は一人前、あときつねそば一つ、年寄りはこのくらいが丁度良いのです。なんでもかんでも、一人アナゴ飯一つは注文することなんてねーーー
 
宮島名物"大杓子"です。表参道の中ほどに展示してあります。これは世界一と注釈がついています。日本一なら世界一でしょうね、杓子ですもの。材質はケヤキ、樹齢270年、ながさ7.7m、最大幅2.7m、重さ2.5トンだそうです。生産量全国一の宮島杓子は、釣り井戸を作った修行僧誓真が考案、島民に伝えたのが生産の始まりだそうです。井戸を作ったり、杓子産業(?)を振興したり、偉いお坊さんだったのでしょうね。
 
島に工業は無い、と聞いていたのですが、ありました。自動車部品を作っている工場です。流石自動車の街広島!なーーんて、これは宮島名物紅葉まんじゅうを店先で作る、というか生産するラインです。表参道にはこのような設備を備えた饅頭屋さんが軒を連ねています。
 
紅葉まんじゅうの中身はあんこだけではありません。こんなに種類があるのです。
 
またまた嫌いな行列です。さて、何に並んでいるのでしょうか?
 
正解は焼きガキです。夕飯を美味しくいただくために我慢しました。
 
アナゴ飯、紅葉まんじゅう、焼きガキのように食べられるものではありませんが、シカも宮島名物といえるのでしょうか?里に下りてくる一群と、山でだけ暮らしている群れもいるそうです。
 
宮島ではレンタサイクル以外はあまり自転車を見ませんでした。これはフェリー乗り場で向こう岸へ渡ろうとしていたカップルです。
 
広島への帰りはJRでなく広電にしました。空いているし、安いし、市内を通るし便利です。車両はヨーロッパのトラムの様な素敵な乗り心地でした。
 
広島市内、、、人と自転車しか通れない柳橋、ここが今日の目的地です。
 
いえ、橋が目的ではなく、その横の和食屋さんが目的なのです。ビルの横に何か書いてあるのですがお分かりですか?かくて広島の夜は何事もなく暮れたのです。あっ、料理の写真を撮り忘れてしまいました。
 つらつらと考えると、この世界遺産の旅を始める前から日本でも世界でもずいぶん世界遺産を見ていることになります。日本では、知床、小笠原、平泉、日光、奈良、京都、などなど。

 世界でいえばマチュピチュ、ポタラ宮殿、グランドキャニオン、などなど、でも漫然と見てきていることに今回の宮島で気が付きました。宮島も今回で私は4回目、トーチャンは2回目ですが2人とも今回ほどきちんと見る気で見ていませんでした。

 今回は特に午後から潮が満ちてきて、水の無い午前中と海中に建つ姿の午後と両方見られたのがとても印象的でした。スケールの大きさ、寝殿造りの建築美、など見ればわかる部分と、歴史、物語など詳しく聞いたり読んだりしないとわからない部分があります。今までは見てわかる部分しか見て来ていないことを痛感しました。しかし平清盛ってえらいですね、、、ねっ、歴史の部分も少しわかって来たでしょう?

 宮島、広島は瀬戸内に面しており、食べ物の美味しい事でも大好きです。世界遺産の旅、だんだん楽しくなってきました。次回は広島の原爆ドームをお届けします。