自転車旅行 第19回 石川、福井、滋賀、京都(後編、敦賀から京都へ

 前編で小松から敦賀へ、石川県と福井県を走ったのですが、大した峠もなく楽な旅でした。初日に降られただけで概ね晴れ、この点でも有難い状況でした。

 後編の、京都への道はまず1日目に敦賀から琵琶湖へ抜けるのに400mほどの峠を越え、同じ日に250mほどの宿泊地、朽木へ上るのだそうです。2日目はいわゆる鯖街道を通って京都まで、一番高いところで500m位だろうとのこと。緊張します。

 
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  敦賀から、魔の国道8号線を南下、疋田と言うところで161号線をたどり国境高原スノーパークで福井県から滋賀県へ入ります。ここが標高およそ400m。頑張るためにまずクエンサンパワーをグビリグビリ。これホントに効きます。
  この日も晴天。161号線は交通量も少なく、快適でした。上りではありますが傾斜は緩く、楽な坂でした。
  私、案外強くなってきたのかもしれません。特に午前中は泣くことなく走れるのです。あっという間に県境です。
  県境を過ぎれば後は琵琶湖まで下りの連続です。
 
関東や東北は割と知っていると思います。でも西の方には全く土地鑑がなく、福井県から滋賀県などというと、関東でいえば埼玉県から新潟県に行くくらい遠いのではないかと思ってしまうのです。が、実はとても近い、なんか敦賀を出てからすぐに琵琶湖についてしまったような感じでした。
  しかし琵琶湖は大きいですね。 地元の方には当たり前なのでしょうが向こう岸が見えません。
  湖周道路が整備されていて気持ちよく走れました。
  朽木へ行くにはそろそろ山側へ入らなければとは思うのですが土地鑑の無い悲しさ、曲がるポイントが分かりません。ここではないかと思うのに標識を見落として、トーチャンは お前戻って、歩いて見てこいと、人使い荒いのです。
  どんぴしゃり、曲がるべきところで曲がれたのです。ご褒美に、みぞれとスポーツドリンクを与えられました。
  293号線に入り、こんな広い道が、こんな交通量の少ないところに必要あるのかと思いながら、そろそろお昼にしよう、食堂あったら入ろうね、とこの辺までは気持ちよく走っていたのです。
  まだまだ景色の話しなど、しながら走る余裕もありました。
  何と、こんなところを走る二人連れ、なんか体型が似ているような気が、、、もしかしたらうちらの方が様になってるかもなどと、ささやき合うゆとりもあったのです。
  高島市、名前がいいよね、きっと良い町、良い人たくさん、おいしい食堂があるよね、などと天気にも恵まれ、何の不安もないひと時だったのです。
  車が沢山止まってるから、食堂でもあるんじゃないか? と思ったら鮎釣りでした。
  人家がなくなってしまいました。みぞれを食べたコンビニでおむすびかパンを買っておくべきだった、戻ろーか?
  やだ、食堂どころかシカが出るって、タヌキも出るって、トーチャン、シカ鍋か狸汁作ってよー。
  奇跡的に、ほんとうに奇跡的に、食堂があったのです。
 
これはモー今日の宿、朽木までひもじい思いで行くしかないかと悲しくなってきたとき、製材所の奥さんがボケ防止にやっているという店がありました。あったのはラーメンとお土産用鯖寿司だけ、もー十分すぎるほどです。嬉しそうでしょう?
  自転車旅の良さの一つに、現地の美味しいものを食べられること。
 
自転車旅では、できるだけ現地調達を心がけています。が、時々今回のように山の中に入ってしまい何もなくなってしまうと、本当に悲しくなります。お店の奥さんから後光が差しているようでした。こんな山の中でなぜ鯖寿司か?などとは考えず、完食しました。
  お助け食堂から本日の宿はすぐ近くでした。こんなに大きな施設に宿泊客は2組だけでした。
  おなかも空いてないし、ゆっくり休めるし、幸せなのです。
  お風呂からの帰り道、踊りだしたくなってやってしまいました。とても気分の良い一日でした。
  さて翌朝、天気予報では午後から雨。うーーん、この日の宿、京都まではおよそ50km、なんとか降り出すまでには宿に着きたいもの。
  ところで、昨日まで毎日同じジャージーを着ているのではないか?そーなのです、宿に着くたびに洗濯しているのですがそれは分からないから着替えましょう、という訳で新しいジャージーです。
 
黒系は細く見えるので好きです。それに今日は午前中に宿に着きたいので気合を入れるのです。
  サー気合いを入れて出発です。気合入っているように見えるでしょう?
  この日走った367号線は、別名鯖街道と呼ばれ、昔日本海から京都へ鯖などの海産物を運んだのだそうです。
 
昨日のお助け食堂に鯖寿司があったように、この街道の名物で、鯖寿司を売っている店が次々に出てきました。
  またこの街道は安曇川(あどかわ)をひたすらさかのぼります。朽木の辺りではかなり川幅があったのに上るにしたがってがどんどん細くなります。
  高島市から大津市に入ったあたり、詳しい名前は分かりませんが、大変立派な集落がありました。
 
特に観光地と言う訳ではなく、変わった屋根の形に惹かれて脇道に入ったらこの集落が出てきたのです。車で通ったら気付かなかったと思います。
  この水車は、実際に細い用水で自然に回っていました。動力にして活用しているわけではなく、町の景観つくりが目的のようです。
  この立派な家は料理旅館だそうで、京都の奥の奥、住所としては大津市のようです。こんな宿が似合うようになったら素晴らしいですね。ひょっこり長谷川平蔵が出てきそうでした。
  滋賀県大津市から京都府に抜けるとちゅうに”途中”という所があります。県境は途中越え。その手前のトンネルが今回最悪の場所でした。
 
敦賀に入る手前の8号線も怖かったですが、このトンネルは最悪です。ニ度と通りたくありません。急な登りの上に、大型ダンプがひっきりなしに通るのです。この写真はトンネルの先の途中越えです。県境です。これでいよいよ京都入り、嬉しいのですが、登りきれませんでした。斜度9%ですよ。
  越えた先が京都大原です。大原といえば三千院。雨が心配ではありましたが、京都駅まで後約20km、もう一度来られる距離ではありません。自転車を押して登りました。
  寄って良かったです。東京ではなかなか感じられない風情を感じられました。
  だんだん空が怪しくなってきました。ぎりぎり降り出す前に京都市内のトーチャンの知り合いの自転車屋さんに到着。
 
なんとこちらから自転車を送ってもらえるとのこと。もちろん、事前にトーチャンがお願いしてあったのです。連休でもあり、このあと京都を楽しむのに自転車担いででは…。トーチャンやるじゃん。有難うございました、着きましたよー
  と、身軽になったところへ連休の娘が合流。大阪へ転勤になって早くも3年半、大阪の水が合っているらしく楽しげなのは喜んでよいのかどうか?まず京都御所へ行きました。
  鞍馬の山も越えました。
  貴船神社は奥宮まで行きました。
  ご存知かどうか、私、年金生活者なのです。娘はバリバリの現役、たまには奢ってやるよーと生意気をいうのです。まー、それじゃーお言葉に甘えますか、と連れて行かれたのが貴船の川床。これは迫力ありました。
  鴨川の川床は行った事あるのですが、全く違いました。その涼しさは、ほんとーに市内より7,8度は低かったと思います。
 
そのうえ、予約の5時より10分も早く行ったので、ほかのお客さんはまだ誰もいなくて、やりたい放題。いい年して、いつもこんなことやってるんじゃないだろうね?
  料理はびっくりするようなものではありませんでしたが、その涼しさは抜群。半纏を借りてしまいました。
 小松から始まった今回の自転車旅では、義経、弁慶の伝説や、昔からの民話に数多く出会いました。峠越えはきついですが、平たんな場所ではのんびりとその地方の空気を吸いながら、新しい事と出会う楽しみを満喫しました。

大原のさとでは三千院に立ち寄り、ゴール前のひと時をゆったりと過ごせました。以前にも書きましたが、県によって、道路状況が違うことを実感しました。

 また、幹線道路と山間の脇道との違いも改めて思い知りました。今回は石川県小松空港から京都市内まで、3県1府、およそ220kmを中抜きなく完走出来、充実感があります。いつもですが峠を上っているときや大雨のとき、ダンプに脅されているときやタンクローリーが対向車が過ぎるのを待ってくれているときなど、”なんでこんなことやらなきゃいけないんだ!!!!”なのですが、峠を下るとき、晴天で素晴らしい景色のとき、車の少ない道を走るときなどの楽しさで、苦しさ、辛さ、怖さ、など、ケロッと忘れてしまします。そのうえどこへ行っても現地の食べ物は美味しいし、親切な人に出会えるし、何よりも、知らない所へ行かれるし、好きな所でゆっくりできるし、自転車旅ってホント素晴らしいですね。

 さーて次はどこへ行かれるのかなー。