プロジェクト135パート2 第47回 (フランス)ヴォーバン防衛施設群

 世界遺産の中には姫路城のように1ヶ所で独立して登録されている所もありますが、今年登録が決まった「明治日本の産業革命遺産」のように、長崎県の軍艦島など8県にまたがる遺産もあります。今回尋ねた「ヴォーバンの防衛施設群」もフランス全土にまたがる12施設群で一つの文化遺産として登録されています。ヴォーバンというのはセバスチャン・ル・プレストル・ド・ヴォーバンという人の名で、ルイ14世に仕えた17世紀に活躍したフランスの軍人で、建築家、都市計画家として有名な人だそうです。今回はこの12施設のうち、スペイン国境に近い南部のモン・ルイ要塞とフォール・リベリア要塞を見て来ました。
 
■今回場所は
 

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この人がヴォーバンです。フォール・リベリア要塞の下の町ヴィルフランシュの入口にあった彼の説明文です。もち論、何が書いてあるかは分かりません。
 
ヴォーバンとは、こう書くのです。
 
モン・ルイ要塞の城壁です。
 
その大きさはかなりのものですが、世界遺産の理由は一つの要塞ではなく、ヴォーバンが造ったこのモンルイ要塞などの全体をさすのだそうです。
 
モンルイは標高1,500mほどのところにあり、プチ・トラン・ジョーヌという小さな鉄道が通っています。
 
単線で走るプチ・トランジョーヌ(小さな黄色い鉄道という意味だそうです。)はここモン・ルイで上下線がすれちがいます。
 
一編成のうち一両はトロッコ列車のようになっていて、かなり迫力がありました。
 
黄色い鉄道に乗車したモン・ルイが標高約1,500m、到着したヴィルフランシュが430m、およそ1時間の旅が終ると、町から見上げる位置にフォール・リベリア要塞が望めます。
 
ヴィルフランシュの町は要塞の下にありますが、やはり町全体が要塞のように壁にかこわれています。
 
壁には銃眼というか、弓を射る為のすき間もあり、町全体が要塞だったのでしょう。
 
この町は1,100年頃から商人の町として建築された町だそうで、その当時から、フランス、スペインの交通の要として発展してきたそうです。
 
町に入るにはこのような門を通らなければなりません。
 
反対側にもこんな門があります。
 
商人の町としてスタートしたというのが分かります。いろいろな看板が出ていました。
 
それぞれ、いろいろなところの人が来るので、誰にでも分かるように、なおかつ長もちするように、鉄板をうちぬいて何屋さんか分かるように看板を作ったものと思われます。
 
さて、これは何屋さんでしょうか?
 
じゃ、これは?
 
小さな町の中には教会もあります。これは13世紀に建てられた教会だそうです。
 
これも13世紀に建てられた鐘楼だそうです。
 
別の角度にある門から見た、フォール・リベリア要塞です。町を見おろす山の上に、17世紀に造られた要塞です。築城の名手といわれたヴォーバンが築いた要塞ですから、町そのものを強化するよりも効果的だったのでしょうネ。
 
それにしても、こんな狭い所で生活しなければならないのは、よほど頻繁に戦があったのでしょうネ。
 
日本でこんなに石の壁ばかりの所はあまり知りません。
 
世界遺産に登録されているのは12ヶ所ですが、フランス全土に18とか20とかこんな要塞を造ったのですからヴォーバンさんて凄い人ですネ。
 
それを造らせたルイ14世ってどんな人だったのでしょう?
 
さて、この看板は何でしょう?お待ちかね、フランスワインでしょうか?
 
今日は、これと、
 
これです。こんなの毎日食べてたら、3kgは太ります。
 
フランスのおじさんは町中でこんな自転車に乗っています。
 
この人も実用的ですネ。
 
この人は多分スポーティでしょうか?
 
でもフランス、スペインではこんな人がたくさんいました。
前回の南部小ポーランドの木造教会群であったり、今回のヴォーバンの防衛施設群であったり、全体として世界遺産に登録されているものの一つ一つはあまり大きい物でもなく、独立して登録されているものに比べると見劣りするかもしれません。でも、その全体像はその当時の歴史を考えるのに貴重な資料を提供してくれる遺産なのでしょう。私達も、ヴォーバンの全体を見た訳ではなく、ほんのその一部しか見ていませんが、フランスとスペインの国境近く、年中戦いのあった地域では人々がどんな生活をしていたのかの一端は見て来た気がします。通商の要はどちらの国にとっても自国に取り込みたい地域であり、衛るべき地域で、その為の施設の重要性、住民の不便など、日本だったら、どこにあたるのだろう、などと考えると興味ある旅でした。いろいろな世界遺産を見て来ましたが、毎日毎日新しい興味が湧いてきてまだまだやめられません。おつきあい下さい。