こんにちは。
Team Eurasia-IRC TIREの鈴木史竜です。
ここ最近ベルギーの日常として記事の投稿をさせて頂いていますが、振り返ってみるとリカバリーの出来事ばかり…。
ここの文章を読んで下さっている方からは、お前はパン・オ・ショコラばかり食べて、レースやトレーニングはしてるのか?!という声が聞こえてきそうです…。
当然、追い込みをする故にリカバリーが必要なので、レースは沢山走らせて頂いております!
もっと言えば、実際はそちらが完全にメイン。
今回は簡単にベルギーのレース事情について書いてみます。
僕がベルギーで主に出場しているレースは分かりやすく言うと2つのレベルがあり、1つは「ケルメス」と呼ばれる、ローカルレース。(この中でもU23のみであったり、エリートと混走であったりします)
もう1つは、インタークラブと呼ばれるチームカーも走るレースです。
インタークラブはチーム単位でのエントリーになるので、さらに選手のレベルも高く、いつ出場してもLotto(ベルギーNo1育成チーム)やEFC(ベルギーNo2育成チーム)等がいます。どちらのチームも、ワールドツアーの下部組織としての側面もあります。
こちらは、8月末に参加した5日間のステージレース時のもの。先頭はリーダージャージ着用者達ですが、2列目の右端に僕も映っています!
これらの類のレースは、週末や水曜日になればベルギー中のどこかの街で、必ず開催されています。
国内のどこに住んでいても、車で1時間圏内には必ずと言っていいほどレースはありますし、実際は自走で行けるレースが沢山あります。
ローカルレースと言えど、どちらもレース内容はレベルが高く、アマチュアカテゴリーにはなりますが、元ベルギーチャンピオンであったり、プロツアー、プロコン経験者、そこを目指す若手等々、強豪選手が走っているカテゴリーになります。
レース内容は、街中に約5km~10km程の周回コースが設置され、レース距離は100~120kmが基本。様々なカテゴリーがあり、子供から、エリート、マスターズもあります。
この写真はU17のレーススタート前の様子です。
現地の選手は、当然の様に毎週このレベルを走り続けているわけです。
ちなみに、賞金もしっかりと出ます!
優勝すれば日本円で1万円以上の賞金も出るので、社会人をしながらレースでもお金を稼いでる選手は沢山います。
エントリー費は現地選手が10ユーロ、僕ら外国人選手は12ユーロですが、ゼッケンの返却をすることで5ユーロ返金されるので、僕らでも実質7ユーロ。
エントリー会場はこんな雰囲気です。
基本当日受付があるので、自分のライセンスを持っていけばその場で出場できます。
ライセンス番号を入力してもらって、すぐにエントリー完了。
1000円以下での参加が出来るため、力があれば、レースに出れば出るほどお金を稼ぐことが出来ます。
U17やジュニアカテゴリーでもしっかりと賞金は設置されていて、エリートカテゴリーよりも比較的取りやすい設定になっているので、お金がかかる自転車競技を長く続けやすい側面もあります。
そもそも、強くなればなるほど、レースを走ってお金を稼げる。という感覚が身に付いてるのは大きいですよね。
これは僕が10月のケルメスで貰った賞金。20位で13ユーロなので、6ユーロの稼ぎです!
また、ベルギーは観客もプロ!
自転車好きのおじさんたちはレース会場近くのカフェに集まり、勝者を予想する賭けを楽しんでいたりもします。
当然、ベルギービールを飲みながらレースを観戦。
レース会場付近のカフェがスポンサーとして賞金を出しているため、レースの開催は、自転車競技が文化となっているからこそ成せる、1つのビジネスモデルでもあります。
ヨーロッパには移動式遊園地の文化もあるので、イベントのひとつとして自転車レースが組み込まれていることも珍しくありません。
さらに、先程受付が簡単という話もしましたが、スタート前には出走リストが出来上がり、スタート地点で観客向けに売っています。
そして、レース終了後30分以内にはリザルトが出来上がり、自宅に帰った頃にはスマホで正式リザルトが確認出来ます。
このスピード感、チップ無しですよ?主催者の方々も本場のプロで、その日の内に全て完結するのです。
ただ、チップがないので、たまに写真判定で見落とされることもあります、、。
実際僕もフランスのレースで、15番手以内でゴールしたものの、横の選手と並んでゴールしたためにゴール判定のカメラに映らず、DNF扱いに、、。
勝者こそ価値があるレース。ローカルレースと言えど、レクリエーションではありません。独走で力を見せつけてゴールする事の価値の高さも感じます。
このようにベルギーの素晴らしい自転車文化とレース環境の中で、日々走らせて頂いています。
これだけ競技が盛んな中からプロ契約を掴むのは、本当にひとつまみの人間です。
現実は常に厳しいですが、目を背けることなく、今後も走り続けていきます。
鈴木史竜(すずきしりゅう)
1998年4月16日生まれ
静岡在住
2014年 全日本選手権ロードU17:13位
2015年 Team Eurasia-IRC TIREサイクリングアカデミーで欧州遠征
2015年 四日市全国ジュニア自転車競技大会:12位
2016年 全日本選手権TT(ジュニア):9位
2016年 Team Eurasia-IRC TIREサイクリングアカデミーで欧州遠征> 2017年 Team Eurasia-IRC TIRE 正式加入
2017年 Tour de Nouvelle-Caledonia (10日間のステージレース)完走
2019年 全日本選手権TT(U23):19位
2019年 UCI ツールド熊野 出場
2019年 ケルメスクルス(Lichtervelde):20位
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使用バイク Felt FR1