片岡ロード JPT 2017 中村龍太郎

PHOTO BY 三井至

 

タメさんちで目覚める片岡ロードの朝。
レーススタート3時間前縛りのビビアンは軽めだったけど、じゃぱにーず三人はガッツリ朝飯を食う。タメさんありがとうございました。

小山のE1のレースが先だったので割と早めに会場の片岡駅に到着。駅から降りて1分かからないところにレース会場のこの環境は凄い。流石栃木ですね。

前日に車で試走は済んでいて、メガネを正面からみたようなコース。新たな情報として、メガネでいうブリッジ部分の往復で使う道は、片側交互通行でなくて一方通行になるとのこと。
つまり集団から遅れたら容赦なく降ろされるという過酷なコース設定。トラブルが無ければ千切れるような長く厳しい登りではないので、不安なのはメカトラ等。
那須のように逃げが決まって後ろが完全にストップしたら、速攻で降ろされるかもしれない。

ビビアンはホセをマークすると言っていたので、僕は逃げに乗るよと伝えた。
ステージでは前日に練習しておいた「ワタシハ、キョウ、カチマス」という簡単な日本語で宣言させ、昨日に引き続きリラックマエンドキャップを投げる。
今回はそれに加えてイナーメの総監督(と言っている。実際は監督の奥さん)も壇上にでて、cv岩月さんのエエ声で観客全員に行き渡らないことを詫びるという紳士さを魅せる。
なおこの総監督は岩月さんが(酔った勢いで?)個人的に購入したものであり、スポンサー的な要素は一切ないので、
おっさんたちがステージにお気に入りのぬいぐるみを持ってきた、と解釈していただければと思います。

三兄弟?

レースの方は10.3km×9周の92.7km。S/F後に追い越し禁止の折り返し区間があり(というか僕普通に全周イン切りで追い越ししていました…ごめんなさい…)、
そこから宮田クリテのような田んぼの細い区間を越えてメガネのブリッジは往路は緩斜面の登り、そこから左折して8%程の2分弱の登り(コリーナ矢板)。
それを登り切った先で二回のアップダウンがあって簡単でない。そこからは高速ダウンヒルで補給所まで下り、右折して200mの登りスプリント。

前日の結果からTOP10に入っていてスタート地点にはゆっくりめに行く。前に呼ばれるために左端にいた大前の後ろに。
審判の方に「ここTOP10の選手がくるから開けて!!」と強めに言われるが、「僕、10位なんすよ」と今年一番のドヤ顔で返す。
先頭に並ぶかと言って有利なコースではないが、名前が呼ばれるのは嬉しい。

PHOTO BY KENSAKU SAKAI

ローリングスタートして車の後ろに憑く。ビビアンがすぐに上がってきて二人で車の後ろで走る。ただ、先導車が速いのでちょいちょい千切れる。

ブリッジ部分にでてレーススタート。ココからはアタックアタック。主要3チーム(鰤島的)が全員乗りそうなら自分も続くつもりでいた。
佐野さんが前に来てくれたので、交互にアタックに反応。コリーナ矢板では決まらず、その後のアップダウン区間と下りで8人ほどで抜け出せた。
最近逃げに乗れるようになって気づいたが、前は登りに入ってからのアタックで後ろとの差が出来て、逃げが決まるのだと思っていたけど、
実際はハイペースで登った後の下りとかの方が、集団が休みたがるので決まりやすい。ましてや片岡のコースはキツイ勾配を登り切った先でアップダウンがあるので、そこで動く人が逃げを作ると思っていた。

S/Fで振り返るとルビーレッドジャージが何人かを引き連れて追いついてきた。ビビアンの姿が無い。ビビアンは長い距離が好きなのでスロースターターなのである。
人数の多い逃げになってしまったので、そこまでペースが上がらず。ブリッジ部で後ろの集団に吸収される。

次の逃げ決まるポイントでアイランやシュンキら6人で抜け出すことに成功。しかし一周回ってきて次の登りで吸収される。
何周目かは忘れたけど、一度自分が下がってしまった時に才田さんを含む逃げを許してしまい、登り全部をダンシングで踏み抜いて追いついたってのもあった。
5周目には譲さんとアイラン含む何人かで抜け出したが、コリーナ矢板で吸収。

PHOTO BY 三井至

集団もハイペースに疲れ気味で小さくなっていて、自分も一度小休止。後ろに下がっていたら6周目に入るS/F後の折り返しでホセ選手含む大きな逃げが出来ていることに気付く。
主要チームがごっそり行っていたので、マズイと思い、折り返し終わってから後続の先頭を走っていたビビアンに「Forrow me!」と言って後ろにつかせ一本引き開始。
自分が頑張って踏んでアシストしても千切れないチームメイトがいると、すごい楽しい。登りの麓で前が捕まえられそうになり、ビビアンが「アリガト!」といって飛び出していく。
集団もついていったのでコリーナ矢板の途中で吸収。かなり自分的にもギリギリの状態で登りに入ったが、もう一仕事したいと思って粘る。
先頭を見るとバラバラになっていたが、ビビアンとホセ含む集団が抜け出しそうなのが見える。僕は虫の息で集団の尻尾を掴んだ。

下りに入って先頭のローテが上手くいっていないのか、追いついてしまう。そのまま集団で7周目に。

PHOTO BY 五月女さん

登りに入る手前でホセ氏がアタック。ビビアンがついていく。僕は集団の中腹で待機。
ホセ氏を皆マークしているので、集団から抜け出せない。コリーナ矢板に入って後半に追い付く。これのカウンターで入部さんと佐野さんと雨澤が飛び出す。
僕もだいぶ回復していたので反応すると、8人で抜け出した。
島→秋田。鰤→飯野さん。的→土井さん、向川さん、アイラン。ブラ→岸。れお→横塚。芋→中村。
前に合流した時には既に入部さんがアタックしていて、入部さん一人vs後続10人になっていた。

PHOTO BY KENSAKU SAKAI

的が人数を揃えていたので前を引き倒す。
それでも登り手前で追いつくことは無く、コリーナ矢板に入る。満を持して雨澤発射。それを追う土井さんについていく。足が限界だ。
後ろを走る横塚が「あ”っ!あ”あ”っ!」と喘いでいて、僕は横塚よりはキツクない!と思って自分を奮い立たせる(横塚勝ったけど、もしかして演技派?)。

勾配のキツイ区間を終えて、フッと力が抜け下りで土井さんに離される。もう無理…と肘クイすると岸に「龍太郎さんそれは無い!!」と叱られる。
イラッとして力が湧いてきたので登り返しで土井さんの横まで後ろを引き上げて「文句あるか!?」と噛みつく。顔の前で手を振る岸、ごめんね。

下りに入って残ったのは島→秋田。鰤→飯野さん。的→土井さん。ブラ→岸。れお→横塚。芋→中村。鰤と島は前に二人逃げているのでツキ位置。
僕はもう牽く体力はないのでツキ位置で連れて行ってほしいという願望しかなく、一回先頭交代して下がった時に鰤島に前に出てとサインを送る。
前と車間を切った僕に対し、飯野さんはすぐに前を追って追いついたが、秋田は頑なに前に出ない。僕も意固地になって集団を見送る。

やっと飛び出した秋田の後ろに憑く。もはや嫌がらせである。「何がしてぇんだよ!!」と秋田に怒られて、やっと自分がただただ感情的になっていることに気付く。
冷静になって考えると、まさかあの場面で諦めるとは思わないし、入部さんが行っている限り秋田は前に出れない。
僕は一時の「腹が立った」という感情のまま嫌がらせをして、勝ったかもしれない秋田(もしくはシマノ)の芽を摘んだのである。申し訳ない。

PHOTO BY うりこさん

自分としても「どうせ次の登りで置いていかれる…」と思っていて不貞腐れていたけど、実際やってみないとわからないというのもあったし、
なんなら千切れても後ろの集団に追い付かれなければ8位で一桁台だった。

前を追うのを諦めた秋田と二人で、登り手前で遠藤さんの牽く集団に吸収され、気力の切れた自分は当然のようにコリーナ矢板で遅れて、そのまま最終走者でゴール。
前半戦最後のレースはモヤモヤしたものを残すレースとなってしまった。

とはいえ、ビビアンのために走ったレースであれだけ動いて最後も逃げに乗れたというのは好材料。
これでビビアンと走るレースはおしまい。たった三レースだけだったけど得るものが大きかった。
プロになるつもりは無くてエンジニアになりたいというビビアン。またいつか一緒に走りたい。

ロードレース自体がこの後は鈴鹿→国体→ジャパンカップオープン…と離れてしまうので、レース感覚を忘れてしまいそうだ。

今週末は開田クリテからの東日本トラック。小休止。