土曜日はTHE KAIMAKUで袖ヶ浦へ。
二年前の幕張で行われたTHE KAIMAKUではコーナーでスリップして落車しFEL子にトドメをさした、僕的には所謂「何かがある」レース。
今年は袖ヶ浦フォレストレースウェイということで、転ぶことはないだろうと思い、この時期にはありがたい160kmソロにエントリー。
会場には40分ほどで着く。この近さが良い。コースは凹の字を反時計回り。一日を通して暴風。
ホームストレートは向かい風。左に曲がって弱冠追い風下りになるけどすぐに折り返して向かい風登り。
コーナー曲がって追い風基調の登りに変わるけど、次の折り返し手前の下りは向かい風。
ホームストレートに入る前は一番長い上り坂になるけど追い風なのできつくはない。
元々160kmという長いレースは苦手とするところ。
保田の練習でまこっちさんから千切れている通り、まこっちさんや黒沢さんなどのエンデューロ系ライダーに勝つには自分も同じ様土俵に立たないといけない。
最初からバンバン動いて勝てるほど彼らは弱くないし、僕は強くない。
レースではカテゴリーに関係なくパーティーというのが組めて、その登録メンバーの順位の合計点の優勝が海鮮がもらえるという賞もある。
まこっちさんが募集した時にちょうどFBを見ていて、仲間に入れてもらう。
後日届いた受付証に書いてあった名前は「まんぷくエクスプレス」。レース途中にパン食い競争でもあるのかな?と錯覚するチーム名。
まこっちさんに聞くと、補給食を全部食べることが前提らしい。
結果的に補給食が余ったので、僕はまんぷくエクスプレスから除籍を命じられることになりそう。
メンバーを見ると、最後まで残るのは、まこっちさんモヤッシーさん(RX)ユキ(Bianchi)黒沢さんの四人(生田目さんも強いけどCXバイクにロードホイールだったので外す)。
僕が最後まで残れたとしてスプリントで脅威となるのは最近バイクを変え調子のいいユキ。
こういう単調で長いレースでは機材の影響に占める要素は大きくなると思っている。
ココでは書けないけど、ホニャンタラーヴェイルが振動吸収をナンタラカンタラで○×▽□…で、要は疲労が残りにくいらしい。
バイクの変えたユキが一番の脅威とみて、スタート。4時間エンデューロと同じ時間にスタートし(後にこれが悪夢を呼ぶ)、安全確保のため右側から先頭に出る。
サポートライダーとして来ていたブリッツェンのアベタカさんと飯野さんと談笑しつつ、しばらくしたらリアルスタート。
サポートライダーがブリッツェンしかいないのでコントロールはせず、淡々とサイクリングが続く。
15km付近のH/S前の登りでユキが抜け出し、一人で先行する。これは一人なので静観。
風が強いので一人で逃げるのは得策ではない。向かい風は楽だが押し戻されそうになるほどの風は僕は嫌いである。
ユキが一周まるまる逃げたところで吸収。と同時にバイクが寄ってきて「ブリッツェンペースアップ!」と書いてあるホワイトボードを見せてくる。
アベタカさんが「マジかよ」とバイクと二言三言なんか話したら(風が強すぎて向かい風では音が聞こえない)、戻ってきて飯野さんと二人でペースを上げだす。
「oh…ユキカワイソス」と思いながらペースアップに加担。あっという間に人数が減った。
そこで分割された後ろの集団に飯野さんが下がり、先頭は淡々と回す20人ほどに。
カテゴリーの違う選手も一緒にいるので、自分と同じカテゴリーの選手を判断するのはゼッケンの色のみ。
60km付近のH/S前の登りでユキが先頭でペースアップ。偶々真後ろにつけていた僕も踏み込んでついていく。
追い風とはいえ結構速いペースで走っていたので後ろを振り返ってみると、ユキ僕アベタカさんの三人しかいない。
これは恐らくまこっちさん辺りが「いかしちゃえ」と言ったのだろう。この暴風だと集団の方が格段に有利だ。
このままユキと心中するつもりはないので、意図的に牽く時間を短くしたり、ワット落として前に出させたり、できるだけ追い風で走れるようにタイミングを調整しながらセコセコと走る。
残りは100kmもあるのだ。しかし、H/S区間をアベタカさんが澱みないペダリングで風を切り裂いていき、思った以上に後ろとの差が縮まらない。
ユキも絶好調のようで、アベタカさんに負けじと踏み込んでいる。僕はへなちょこで「風やだぁ」とか思いながら走る。
そうこうしていると最初の鰤UPで千切れた飯野さん集団に追い付いて1LAPとなる。
この集団は明らかにペースが遅かったのだけどユキはどうやらこの集団で休むらしい。逃げたいのであればこの集団は遅いので、無視していくのが良いのに、留まる。
ユキ「残り100kmもあるのにアタックして三人になるなんて…キツカッタよ~」なんて言っていて、じゃあ戻ればいいのに、何がしたかったんだろ?と思った。
結局後ろを走ってたまこっちさんの後続集団に捕まってチャラ。大きい集団になって淡々と走る。
残り何キロかは忘れたけど6人が逃げている。ちょうどみんなが談笑していたようなタイミングだったので、まこっちさんに「なんか逃げてるっぽいっすよ」と伝える。
160ソロがいるかは(もしかすると周回遅れかもしれない)わからないので追いかけることに。
6人逃げているのが見えてローテを回す。早々に3人を回収。もう3人がしぶとかったけど3周ほどをかけて吸収。
ピンクのジャージのイケメンが160ソロライダーだったので、少なくとも無駄な追走ではなかったとホッとした。
この追走でも僕は足を使わないように、追い風なら長めに牽くけど、向かい風は頭出すだけ。
徹底したマネジメントでハンガーノックもなく、脱水症状もなく、終盤へ。
しかし足はそれなりに削られていて、最後の一発に賭けることにする。
追走と、4時間チームエンデューロの選手の無慈悲なペースアップで、いつの間にかソロはユキまこっちさん僕の三人に。勝負に関係な人たちはツキ位置でついてくる。
アベタカさんもローテには入ってくれて4人で回す。アベタカさんが向い風で長めに牽いてくれるので助かる。
ローテしながら最終スプリントに向けて策を練る。
ユキが登りでペースを上げるけど、僕らが余裕でついていけるペースだったので、恐らく残りの一発を隠しているはず。
まこっちさんはスプリントであれば問題ない。注意するのはまこっちさん一人逃げで後ろ二人が牽制になること。
4時間エンデューロ組が後ろからスプリントで捲っていくのを見送り、アベタカさんが「追わなきゃいけねぇのか」と離脱。
4時間が終わったということでそろそろ距離を確認するかと、H/S過ぎた後、皆でGARMINの距離を確認する。そもそも周回板が無いのが良くない。
その時点で僕のGARMINは156kmだったので、GPSのバラツキはあるが、一周2kmちょいと短いことを考慮すると残り一周半か…と。
前で仕事を終えたアベタカさんに聞いてもわからない。まこっちさんが「二回スプリントする?」と提案してきたので、それは辛そうだと断る。
というわけで、次の次、つまり残り一周半でゴールと決める。
普通に先頭交代しながら次のゴールラインに入っていって、もしそれが正式なゴールだった場合は、誰が先頭で通過しても恨みっこなし。という紳士協定。
ユキは足を残しているので最後のスプリントになると、わからなくなる。向かい風だし、どのタイミングで抜け出すのかが重要になる。
真後ろに憑かれてしまうと不利で、まこっちさんの動向にも合わせたいところ。
ユキが最終スプリントを狙っているのだとしたら、それを出し抜く必要がある。
幸い風向きは変わっていないのでH/S前の登りで仕掛けるのがセオリーではあるが、問題はタイミング。
追い風でかけてもアドバンテージは稼げない。向かい風で失速しているところを二人で協力されて追いつかれたら終わり。
なので下りの向かい風から追い風に変わるコーナーの手前でかけることにする。イメージはTOJ修善寺の幸也さん。
H/Sに戻ってきて残り一周の鐘を望んだけど、4時間エンデューロの選手に対するチェッカーフラッグを振り回しているだけで特になし。
「まぁいいやどちらにしろラスト一周だし」と思っていると、先頭交代で下がってきたユキが急にゴールを取りに行った。
紳士協定に反するユキの行動にまこっちさんと顔を見合わせる。そのままユキが通過。
戻ってきたユキに「お前これで優勝だったらマジで怒るよ」と伝えると「チェッカーフラッグがゴニョゴニョ…(風で聞こえん)」と言っていたので
「そんなもん4時間エンデューロのゴールからずっと振っとるわ!」とキレる。
だけど次がゴールなのですぐに切り替える。ほとんど牽制状態。追い風で自分に来るようにしたいけど、そうはいかず。
向かい風は踏みすぎないように、最後の一発にチャージするイメージで。
最後の向かい風の下り、折り返し手前でユキの後ろに憑くことができた。
ユキが先頭交代で外にはけた瞬間に腰を上げる。
コーナー中と風向きが変わるタイミングのもがきなので体の動かし方が安定しない。
左足の膝裏が悲鳴を上げるが、最後までは気力でもちそう。
後ろを振り返るとユキが諦めずに追ってくる。
しかしかなりのアドバンテージをつけられたので、頂上越えてから振り返ると諦めていた。
H/Sは悠々と流して、片手をあげてゴール。久々の気持ちのいいゴールだ。
しかしMCブースを見ると、?な廣瀬GMの顔。「ココでしょ!?」と言うと「違う!」と言われる。
これは恐れていた事態だ。紳士協定に反した挙句、優勝までもっていきやがった。
後ろの二人と合流して、まこっちさんと二人でユキを責めに責める。
自分の会心の勝利が無かったことにされる。しかも自分よりも下の順位の奴が表彰台で首をかしげてキメている。
と考えるとスポンサーアピールどうこうよりも、単純に悔しくて腸が煮えくり返った。
運営側にも問題があり、周回がわからなくなったことが大元の原因だけど、それ抜きにしても裏切られた、という気持ちしかない。
リザルトだけ見ると「中村龍太郎と高橋誠に僅差のスプリントで勝った」と思われてしまうのも、癪である。
せめて「まんぷくエクスプレス」の賞品の海鮮を望んだけど、これもダメだったよう。
表彰式から帰ってきたユキが賞品の米をやるというので容赦なくもらった。
今回の教訓は「ゴールがわからなくなったら、手前のゴールラインがゴールと決めておいて、その通過順位のまま次のゴールラインも通過する」ことかな。
ユキの飛出しさえなければ、こんなにも憤慨しなかったのになぁ…。
次の日のチビ助と鹿野山しばきからのマザー牧場が無ければ発狂必至でした。
とはいえ、ユキが絶好調なのは明白。序盤にユキがあれだけ動かなければ、最後のスプリントについてこられたかもしれない。
今週末の群馬はツールド北海道に出るためにも重要なレースなので、期待大である。
僕もボチボチ頑張ります。