SNSで密かに注目を集めているカタカナが表記された赤いボムトラック『テンションC』。
11月17日に開催された関西シクロクロス琵琶湖グランプリにて、その赤いバイクにまたがるプロライダーのゴッセ選手を取材しました!
目次
ゴッセ選手、日本を満喫中!
わたし:こんにちは!昨年に引き続き今回が2回目となる日本滞在ですが、気分はどうですか。
ゴッセ:今年もまた日本に戻ってこられてとても嬉しいです!わたしが住んでいる国(ドイツ)はいまとても寒くて雨が降っているのですが、日本は天気がいいし涼しいのでとても快適にトレーニングができています。
偶然の出会い、あたり前田のクリケット
わたし:あなたのクルマにはサポート企業のロゴがたくさん貼られていますが、日本人の私としてはひときわ目立つ前田製菓のロゴに触れないわけにはいきません!サポートに至った背景をぜひ聞かせてください。
ゴッセ:昨年、日本のシクロクロスレースに参加しに来たとき、小腹が空いた時用にスナックが欲しくて、スーパーマーケットに行きました。ちょうど良さそうなクッキーを見つけたのですが、それがたまたま『あたり前田のクリケット』だったんです。故郷のオランダには『ペパーノーテン』という伝統的な円いクッキーがあるのですが、私はそれが大好きなので、見た目がよく似ている前田製菓のクッキーもすぐに気に入りました。それを食べている写真をSNSにアップしたら、それがきっかけとなって前田製菓さんと連絡を取るようになったんです。彼らのオフィスに行った際、とても好意的にわたしを迎えてくれてとても嬉しかったです。
学業とレースの両立
わたし:今シーズンの日本のレースに臨むにあたって、あなた自身のコンディションはどうですか。
ゴッセ:実は今シーズンはあまり調子が良くありません。この12月に大学を卒業する必要があるので、ここ数ヶ月はとても忙しいんです。たくさん勉強をしなければなりませんし、インターンシップにも追われていました。通常なら週に25時間はトレーニングをしますが、最近は10時間しかトレーニングできていません。それに加えて、トレーニング中に怪我をしてしまったことも影響しています。なので、準備面では満足いく状態にまで整えられていません。ですが、再び日本に戻ってこられたことはとても嬉しいですし、今回は12月に一度ドイツへ帰国しますが、年明けにまた日本に来て2月までレースに出る予定です。先は長く、これからコンディションを取り戻していくつもりなので、あまり心配はしていません。
わたし:学業とレースの両立でさえハードなのに、さらに怪我もあったとは…。ちなみに、大学ではどのようなことを専攻されているのですか?
ゴッセ:空間工学の修士課程に在籍しています。ライダーセンサーや人工衛星を使って地図を作っているんです。インターンシップでは航空写真を撮影する会社で働いています。飛行機に乗って上空から地形の撮影を行ったり、ライダーセンサーで地形をスキャンしたりして、持ち帰ったデータをもとに地形の3Dモデルを作るんです。例えば氷山とか大きな山脈とか、いろいろです。
日本仕様の特別なバイク
わたし:それではそろそろ、あの特別仕様の赤いボムトラックについても聞かせてください。
ゴッセ:もちろんです!昨年の日本滞在ではたくさん楽しい時間を過ごさせてもらいました。そして今年はトータルで3ヶ月という長い期間日本に滞在するので、なにか特別な日本仕様のバイクがあるといいなと思っていました。それで、この赤い『テンションC』を作ったんです。とても気に入っているのが、なんといってもこの赤色です。この赤は日本の日の丸と同じ色なんですよ。BOMBTRACKやホイールブランドのHUNTのロゴにはカタカナも添えています。
わたし:日本の要素を散りばめているんですね、日本人としてとても嬉しいです!フォークの内側にもなにか文字が書かれていますね。
ゴッセ:そうです、フォークの内側に「CGN GERMANY」(ケルン ドイツの意)と書かれているのが見えますか?それはボムトラックの本拠地のことです。それに加えて、私の日本でのホームタウンが大阪なので「OSK JAPAN」を併記しています。またフォークの上部にはハート型のシンボルがありますが、これは水に浮かぶ花の形で、故郷のオランダ・フリースラントの州旗に描かれている花を模したものです。日本の日の丸をフリースラントの花で表しているんです。
ボムトラックとの長い付き合い
わたし:そもそもボムトラックとはどういう経緯でサポートを結ぶことになったんですか?
ゴッセ:もう何年も前のことですが、ベルリンで開催されたシングルスピードヨーロッパ選手権に出場しました。確か8年前のことです。ボムトラックもその時にブランドブースを出していました、当時はまだシングルスピードバイクで有名なブランドだったと思います。私は当時ロードチームとのプロ契約があったので、その選手権にはただ楽しむために参加していたのですが、ボムトラックは私にとても興味を持ってくれました。それ以来、ボムトラックとは連絡を取り続けていたんです。
わたし:出会いは8年も前だったんですね。その時にはなにか具体的なオファーはなかったんですか?
ゴッセ:彼らはとても熱心で、3、4ヶ月ごとに「ボムトラックのためにレースしないか?」「ボムトラックに乗りたいか?」と尋ねてきました。けれど私にはロードチームとの契約があったので、彼らの期待には応えられなかったんです。そうして長いあいだやり取りを続けていましたが、ロードチームとの契約が終了した後、自分自身のスポンサーにボムトラックを選び、日本、オーストラリア、アメリカなど世界を舞台にレースをすることを決めました。以前の契約はベルギーのロードチームとあったのですが、ベルギーのチームにはベルギーのスポンサーがいるので、すべてのレースをベルギーで走る必要がありました。これはもちろん当然のことですが、それを何年も続けてきたので、他のレースにも挑戦したいと思っていたんです。例えば、ここ日本でのレースです。それが、私がいまここに来ることになった経緯です。
ボムトラックの魅力とは
わたし:ボムトラックをスポンサーに選んだことで、世界中のレースで走ることが実現したわけですね。
ゴッセ:そうですね。私にとってボムトラックの魅力はバイクだけではなく、そこにいる人たちも含まれています。アスリートの立場からすると、ボムトラックは本当に良いスポンサーなんです。彼らは絶対にプレッシャーをかけません。「勝たなければならない」とか「たくさんのレースに出なければならない」とは言いません。自由度が高く、いろいろなクレイジーなプロジェクトを一緒に楽しむことができます。例えば、「このイベントに参加したい」と私が言うと、彼らはすぐに「いいね!」と応えてくれます。私はこれまでのキャリアでは多くのレースで勝利を収めることが出来ましたが、年を重ねるにつれて、強力な若手ライダーたちが出てきています。なので、勝つのがだんだん難しくなってきています。それでもボムトラックは非常に気楽に捉えてくれていて、私が日本のレースで走っていることをとても喜んでくれています。勝ち負けに関係なく、彼らは心から喜んでくれるんです。なので私はいつでも私らしく、純粋にサイクリングを楽しむことができています。
未来への望み
わたし:とてもいいお話ですね。これからのあなたとボムトラックのチャレンジが益々楽しみになってきました。これから先、なにか望むことはありますか?バイクについてでも、レースについてでも、なんでも。
ゴッセ:技術的な話になりますが、フレームの内装ケーブルがなくなることを期待しています!あれは見た目はかっこいいんですけど、ヘッドセットベアリングを交換するのがとても大変なんですよね…というのはあくまで些細なことで…私が本当に願っているのは、もっと多くの子どもたちがサイクリングを始めることです。ヨーロッパではもう何年もレースに出続けていますが、レースに出場する選手が年を取り、新しい顔ぶれがあまり見られないのが現状です。私ももう29歳になりましたが、年々、選手の平均年齢が上がってきているように感じます。日本のレースでも、先頭集団には本当に速くて若いライダーが数人いますが、後方集団には若いライダーは多くありません。私たちもいつかは年齢を理由にレースに出なくなる時が来ます。そのときには、いまよりもレースの数が少なくなってしまうでしょう。そうならないように、もっと多くの子どもたちや若い人たちがサイクリングを楽しみ、レースに参加してくれることを願っています。
以上、関西シクロクロス琵琶湖グランプリでのゴッセ選手へのインタビューでした。
これからも続く彼とボムトラックの旅が楽しみですね!
今後の出走予定
2024/12/1 関西シクロクロス第4戦 マキノ
2025/1/5 関西シクロクロス第7戦 希望が丘
2025/1/11 東海シクロクロス第4戦 愛知牧場
2025/1/12 関西シクロクロス第8戦 ゆるクロス 二色の浜
2025/1/13 関西シクロクロス第8戦 ゆるクロス 二色の浜
2025/2/2 山口シクロクロス第3戦 きらら浜
2025/2/8 シクロクロス東京 Day1
2025/2/9 シクロクロス東京 Day2
2025/2/16 関西シクロクロス くろんどクロス
記事&写真:M Nakano