自転車乗りにおくるトライアスロンのすすめ 飯田忠司 ②自転車乗りがトライアスロンを始めるのに必要な道具

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皆さんこんにちは。FELTサポートライダー、トライアスリートの飯田です。

4月に入り自転車に乗るのがとても気持ちの良い時期になってきましたね。

 

今回も今年、トライアスロンデビューを目指す、自称「坂バカプロモーションスタッフ」RYOさんからの質問のお応えする形式を続けていきます。

 

今回のお題は

「自転車乗りがトライアスロンを始めるのに必要な道具」

です。

さてさて、今回はどんな質問が飛び出してくるのでしょうか?
早速ですが始めていきましょう。

 

 

Q1、トライアスロン専用バイクは必要なのでしょうか?

結論から言うとなくても大丈夫です。

が、TT(タイムトライアル)バイクがあった方がタイムは出やすいです。

 

違いは、ロードバイクはロードレースをあらゆるコース、シチュエーション速く走る為の設計で作られています。(またはサイクリングを快適に走るように設計。)

これに対しトライアスロンで主に使用されるTTバイク(タイムトライアルをターゲットにしたバイク)は

主として、単独でできるだけ速く走れる(独走力)為の様々な工夫、設計がなされています。

ここで言う「工夫」の主たるものは、空気抵抗を極力減らすようなフレーム構造になっているという事です。

TTバイクは全体的に見た目がインパクトのある一枚の板に近いようなものが多いですよね?

 

これに加え、最近のトライアスロンをターゲットにしたTTバイクはカーボンの質であったり、フレーム構造が、単純に速く走る為というだけではなく、楽に(身体への負担を減らして)速く走れ、ランニングパートに疲労を残さないで移れるような工夫がされているモデルも増えてきたなという印象です。

 

そういった意味で既にロードバイクをお持ちの方も、トライアスロン用にTTバイクが1台あると楽しみの幅が広がると思います。

 

また最近はロードバイクとTTバイクの良い部分を合わせた、「エアロロード」という選択肢もありますので、両方を一台でまるごと楽しみたい!!という方はエアロロードという選択も十分ありだと思います。

 

昨年のコラム、またインプレッションでも書いたかと思いますが、日本国内のレースでは見通しの狭いカーブ、数多い折り返しでの加減速のあるコースが多いので、クイックな操作性や加減速をやや苦手とするTTバイクよりも結果的にロードバイクや、エアロロードの方が速く安全に走れる場合もあります。

 

いずれにしろTTバイクでDHポジションでの走行は、まずはロードバイクを安全にかつ自由に乗りこなせるような技術を身に着けてからが鉄則ですね。

 

ちなみにFELTでこれらのモデルを置き換えますと

 

TTバイク→IA、DA、Bシリーズ

エアロロード→ARシリーズ

ロード→F、Z、ZWシリーズ

 

と分類できます。

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テクニカルなコースではエアロロードという選択肢も十分ありです。
画像はAR FRDでのレースシーン。

 

 

Q2、ロードバイクで参加する場合、DHバーはあった方がいいですか?

トライアスロンの象徴とも言えるDHバー。バーを握ってコンパクトにまとまって走る姿はやはりかっこいいですよね~。

 

DHバーのDHとはダウンヒルバーの略だと言われています。最近ではエアロバーとも言われる事も多いですね。

既にロードバイクをお持ちで安全に、快適に自転車に乗れるという事であれば、DHバーはあった方が速く走れます。あ、もちろんDHバーがあるだけでは速く走れないです(笑)

DHバーを使用したポジションをしっかり取る事で速く走る事が出来ます。

 

効果としてもっとも大きな要因は空気抵抗の軽減です。

ドロップバーよりも狭い幅で、パッドに肘を乗せてバーを握る事で取れる低くコンパクトな姿勢は空気抵抗を軽減する事ができ、結果少ない力で速く走る事ができます。

反面、バランスを取って走るには多少慣れが必要ですし、ブレーキ動作やコーナリングの際は注意が必要です。

 

通常のロードバイクのポジションにDHバーをつけただけでももちろんOKですが、DHバーをつけて走るポジションは姿勢が低くなり、その分股関節周りの詰まりなどが出て、ぺダリングを妨げたり、腰や腕が痛くなるという事もあるので、DHポジションで楽に、局所的な負担なく走れるポジションを取る必要があります。

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一般的には通常のロードポジションより前乗りになる分、サドルを前にだし、少しサドルの高さを上げてあげる事が多いですがDHポジションの際の肘、脇の角度は90度前後が理想と言われていますので、この数字を基本にご自身の体形、柔軟性にあったポジションを探していく事が必要です。(上 画像参照)

 

いずれにしろDHバーを握ったDHポジションでの走行には十分慣れてからレースに出場する事をお勧めします。

レース本番はスイムを終えた疲労した状態でバイクに乗りますので通常のトレーニングでは起こりえないような事も起こる可能性は十分あります。(転倒など)

見通しのよい安全な場所などで十分にトレーニングを積んでから出場してくださいね。

 

Q3、バイクで他に必要になるものはありますか?

バイク、ヘルメットがあればひとまずレースはできます。

バイクシューズ(もちろん初心者でビンディングペダルの脱着に不安のある方はランニングシューズでバイクに乗るのもOK)、水分補給の為のボトル、スピードメーターなどロードレースと同じ装備があれば問題ないです。

 

トライアスロンの場合、パンクした場合は原則、自分自身での修理になりますので、レース中もスぺアタイヤ、ポンプまたはCO2ボンベなどの携帯が必要です。

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Q4、ウェットスーツが高すぎると思うのですがどうにかなりませんか?(笑) 

お気持ちよくわかります。実は指導の現場で、バイクに続いて相談が多いのがウェットスーツに関する事です。

で、肝心のお値段ですが、少し前まではあまり選択肢がなかったですが、最近はレンタルを始め様々な形で入手する事ができ値段の幅も広がってきました。

値段はレンタルだと数千円~1万円程度、購入ですと3万円~10万円くらいとかなり幅広いです。命を守るためのものでもありますので、その為の必要投資と考えて頂き、その上で、ご予算や用途に合わせて決めて頂ければと思います。

以下にウェットスーツを選ぶ際に参考になる点を挙げてみます。

 

  • 長袖(フルスーツ)と半袖(ロングジョン)

ウェットスーツ=長袖というイメージの方が多いようですが、半袖もありますし、それぞれのメリットデメリットがあります。

長袖は生地で覆われている部分が多いですので抵抗が少なく速く泳げるといわれていますし、保温性は高いです。価格は半袖より高めで+1万円くらいでしょうか。

半袖は肩周りが覆われていない分、保温性にはやや劣りますが、肩周りの動きやすさでは分があります。価格も長袖より安いです。

水泳初心者の方や長袖がどうしてもすぐに腕が疲れてしまうというような方、夏場の水温が高いレースで無理に長袖を利用して苦しくて仕方がないというような方は半袖でも十分で、むしろ変な疲労感を残さずにバイクパートに移れる事もあります。

春先のレース、海外のレースは気温は高くても水温がびっくりする位、低い事があるので、その場合は長袖の方がいいでしょう。

 

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  • フルオーダーと既製品

フルオーダーは主にトライアスロンショップで扱っていて、身体の各部位を採寸して各個人の体形にあったウェットスーツを作成する事ができます。
既製品は既にサイズが決まっていて、そのサイズから選ぶタイプのもので、通販などでも購入可能です。また既製品は、以前は海外製のものがほとんどで、サイズが合わないというような事を良く耳にしましたが、最近は性能も着心地も日本人でも十分使えるものが増えてきました。

どちらが良いかと言えばやはり各自の身体に合わせて作成したフルオーダーの方が、サイズが合わない等のリスク回避も含めてお勧めですが、始めは既製品で安価なものを使用し、少し経験を積んで来たらフルオーダー式のものを購入するという流れでも良いと思います。

一般的にはフルオーダーの方が、価格が高いですが、最近は既製品のものでもグレードによってかなり価格に差がでてきています。価格は先述の通りです。

 

  • ツーピースとワンピース

既製品は基本的にはワンピースモデル(背中にジッパーがある)です。

ツーピースタイプは腰のあたりで上下セパレートに分かれているものです。メリットは上だけ半袖、長袖両方そろえる事ができるので、条件によって使い分けができる点です。

がこちらはフルオーダーのものしかないのが現状です。

ちなみに現在、私はこのモデルを使用しており、水温などの条件によって半袖、長袖を使い分けています。

 

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Q5、ランシューズはトライアスロン用の方がいいのですか?

トライアスロン用のシューズというのは実はあまり存在しません(笑)。トライアスロン発の海外ブランドはありますが、国内でトライアスロン専用と言えるモデルはアシックスのT3というモデルくらいでしょうか。

 

多くの方がランニングの大会で使用するのと同じようなランニングシューズで出場しています。

 

ただトライアスロンの場合、なるべく楽にシューズを履けた方がよいので、靴ひもをゴムひもや脱ぎ履きがしやすい紐に変更するなど少し工夫してあげると楽に履けます。

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(画像はグリーパーレイスという商品で、紐を結ぶ必要がなく、かつ、ほどけない、更に脱ぎ履きが簡単にできる靴ひも。ロングのレースで主に使用しています。)

 

余談ですが、バイクシューズには脱ぎ履きが容易にできるようになっていたり、通気性に優れたトライアスロンモデルが結構出ていますね。

 

 

今回はここまで!

さあ、次回はどんな質問が出てくるのでしょうか?

私も楽しみです!

 

 

RYO
ロードレースにも参戦する自転車乗りで実はランニングも結構速くて、更に既にある程度泳げて、非常にポテンシャルが高いのではないかと噂されるライトウェイプロダクツジャパンスタッフ

 

 

飯田忠司
プロトライアスリート、コーチ
日本トライアスロン連合指導者養成委員
埼玉県トライアスロン連合理事
トライアスロンスクールI-STORM代表

<主な成績>
2011年 佐渡国際トライアスロンAタイプ 優勝
2012年 佐渡国際トライアスロンAタイプ 2位
2013年 五島長崎国際トライアスロン エリート2位

スクール情報(I-STORMサイト)
www.i-storm-tri.com/

オフィシャルサイト
www.iidatadashi.com