自由じゃなくちゃ自転車じゃない | BOMBTRACK ARISE アライズ レビュー

 

万人と共有できる自転車という乗り物の魅力ってなんだろう。それはその自由さにあると思う。(個人的には乗り手と自転車が一つになった瞬間の独特な感覚が好きだけど、それは今は置いておいて…。)歩くよりも遠くに行ける。レールも無い。自分でカスタムできる。免許も要らない。だったら乗る自転車も最大限に自由なやつのほうがいいんじゃないか。

 

その点こいつは最も自転車らしい自転車の一つだと思う。アライズという自転車にはいくつものバリエーションがある。

ドロップハンドルのシングルスピードバイク。

前後にスライドする特殊なリアエンドがシングルスピードでの運用を可能にしている。

フラットハンドルとフロントラックを備えたアーバンバイク。

ドロップハンドルとワイドギヤのオールロードバイク。

キャリアとフェンダーをフル装備したツーリングバイク。

全く異なるテイストだが、実はそのどれもが同じフレームとフォーク。つまりどう使うかは乗り手次第で、こう使わなくてはいけないという定義がない。

 

キャリア、フェンダー、ケージ、装備を拡張するためのダボ穴があらゆる場所に配されている

きっと財布と相談して悩みに悩んだ末に相棒として手に入れた自転車。出来ることなら一生使い続けたいと思うだろう。少なくとも私はそう思う。でもキャンプツーリングのために組んだキャリアフル装備のツーリングバイク、その能力を最大限に発揮させてあげられるのはいつまでだろう?逆にそんなに本格的に走ることは無いだろうと選んだ街乗りバイクが物足りなくなってホコリを被ったりしていないだろうか?

ハブフランジの端に入った「BOMBTRACK」のロゴがイイ

どんなにこのバイクを大事にし続けたいと思ってもライフスタイルは絶対に変わる。それでも使い続けることはできるが、微妙な違和感や、その違和感によって乗る頻度が段々と減ってしまうということも多い。例えば前述の本格ツーリングバイク。仕事が忙しかったり、子どもが出来たりと、旅に出れなくなってしまう理由はいくらでもある。

そんな時はハンドルをフラットハンドルに、キャリアは前後にどちらか、もしくはバックパックを背負うなら外してしまって身軽になってもいいかもしれない。気軽な姿勢で乗れるようになったアライズは日常の相棒になる。ライフスタイルが変わったらバイクスタイルを変えればいい。

 

長く相棒となる道具ならちょっとやそっとじゃへこたれないやつがいい。どんなに大切に扱っていても長く使っていれば、倒したりどこかにぶつけたりということはどうしても起こり得る。もしくは大量に荷物を積んで大陸横断の旅に出たとしたら、フレームにトラブルが起きる可能性は低くないし、もしかしたらそれが生死を分けるかもしれない。

シートステーには予備のスポークを装備するホルダーが

自転車の素材で耐久性の高いものと言えば圧倒的にスチール。スチールと言っても中にはロードレース向けの軽さを追求したものもあるんだけど、アライズの4130クロモリスチールフレームはスチールらしさを感じさせるガッシリとしたものだ。

フォークはカーボンという自転車もある中、同じくクロモリスチールというのもポイントだと思う。スチールは万が一折れたり割れたりしても溶接修理出来る。世界のどこでもスチールの溶接ができる工場があることも、アドベンチャーでスチールフレームが選ばれる理由になっている。

あとこれは個人的な見解かもしれないけど、傷さえもが味になるということもスチールフレームの魅力だと思う。傷が付いたから乗り換えたくなる自転車じゃなく、傷だらけだからこそ長く使いたくなる自転車。エンジンが人間である自転車という乗り物の特性上、精神面もすごく重要だ。

 

生きていれば毎日のように自転車に乗ってガシガシ踏める時もあれば、忙しくてたまにしか乗れない、もしくは腰が痛いなんて時もある。それは単に身体だけでなく気分も同じだ。もちろん研ぎ澄まされた乗り手によって飛ぶように走るような自転車も魅力的だ。ただ得てしてそういう自転車は調子の悪いときに乗ると面白くないばかりか疲れる自転車になりがちでもある。

アライズはそうじゃない。飛ぶような走りじゃないけどしっかり感があって、腰を上げて振り下ろした脚に気持ちよく応えてくれる。かと思えばサドルに腰を落ち着けゆっくりペダルを回せば、乗り手の心を落ち着けてくれる。乗り手に限りなく近い感覚で、人生という時間を共に過ごす自転車が、ボムトラック・アライズだ。

 

ボムトラック アライズ Mサイズ 2021-2022

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書き手:坂バカスタッフ コエサシ

フレームサイズのステッカーまでボムトラックのこだわりを感じる