国内プロロードレーサーと大学生を両立するという選択と2021シーズン | 鈴木史竜

鈴木史竜選手と静岡名産のお茶

皆さまこんにちは!

レバンテフジ静岡 鈴木史竜です。

最近はすっかり、クリスマスも過ぎ年末モード。2021年は皆さんにとってどんな1年だったでしょうか。

僕は、国内のプロカテゴリーで活動する初めての年となりました。加えて学業の方も再開し、新しい環境の中で無我夢中になっているうちに、あっという間に過ぎてしまった1年でした。

そんな事情もあり、2年前にベルギーでの活動から今の進路選択に至る背景を、落ち着いて発信する事が出来ておりませんでした。今回は機会をいただき、自分自身の進路選択を今年1年の活動と共に振り返ってみたいと思います!!

あくまで今後どうなるかは僕自身も分りませんが、世間一般と比べたら少しだけ違う形ではあると思うので、こんな選択肢もあるのね…!という事で知っていただければ幸いです!

 

なぜ国内プロロードレーサーと大学生を両立するという選択をしたのか?

レバンテフジ静岡提供

今シーズン、僕は国内プロ選手1年目として、地元静岡を中心に活動する地域密着型プロサイクリングチームのレバンテフジ静岡に加入し活動をしています。それと並行し、大学で学業を再開するという進路をとっています。

高校卒業後すぐに渡欧し、U23のヨーロッパでの活動とは対照的に、上記の進路を選択した経緯や、今後への想いを記せればと思います。

過去の自己紹介記事はコチラ

まず僕は、高校卒業後すぐにTeam Eurasia の活動で自転車だけの生活を送りながらヨーロッパへ挑戦するチャンスをいただいた段階で、U23の4年間で先が見えなければ、選手として競技活動はやめるという気持ちで活動してきました。

そして、2020年が僕にとってはU23最終年。最後の勝負の年でした。しかし、不幸にも皆さんと同じようにパンデミックによる先の見えない自粛生活。僕だけではないですし、世界中の人々が影響を被っている事態ですので、こればっかりは仕方ありません。ただ、無理やり渡欧してもほとんどレースが無い状況に加え、国内でも全日本選手権は中止。例に漏れず、自分にとっても苦しく将来を考えた1年でした。

そんな中で周りの方にも相談をさせていただき、自分の将来について考えていきました。

その結果、国内での競技活動であれば、昔から自分が学びたいと思っていた領域の学習は可能ではないかという気持ちが沸き上がってきました。選手はいつか終わりが来るという助言をしてくれる方も周りに多く、マイナスな意味ではなく、ポジティブに未来の選択をする事が出来ました。その際、このコラムでも記載してきた海外での経験やそこで感じた事は、大いに僕を助けてくれるものでした。

紆余曲折の後、競技活動を中心に据えたうえで、大学へ通学を選択し、今の生活に至ります。

 

プロ選手と大学生、二足の草鞋を履く生活とは?

具体的な今の生活としては、チームのある実家の静岡でオンライン授業を受けつつ、多い時で週2~3回都内の大学にバス通学をする生活を送っています。

もちろん競技活動をしていたので、大学の同級生とは約3歳の年齢差があります。しかし、特に壁を感じる事も無く、欧州の活動や今の競技活動の中で学びたい事も出てきたため、大学においては楽しく学ぶことが出来ています。

さらに細かくお話しすると、進学先は立教大学経営学部国際経営学科。コロナを機にオンライン授業とミックスではありますが、対面でも授業があります。具体的に何に興味を持っているかと言えば、素晴らしいスポーツに仕事として携わっていくために、現場を大切にしつつも、知識や教養として学びたいこともあるという事です。さらに、海外での活動から、自転車業界に関わる以上英語もある程度必要かと感じています。その為、細かい理由は様々ありますが、英語での開講科目も多く、経営学を中心に、その組織論についても学べる学部を選びました。

現在も多方面で模索中の自転車競技に対して、いつか何かしらの形で関わり続けたいという気持ちも今現在は持ったうえで勉強しています。

しかし、静岡と都内のバス通学は往復約8時間。来年以降は相当軽減される見込みですが、週3日通った場合は約24時間バス移動をしている事になります。正直、時期によっては週間の練習時間と通学時間がいい勝負。移動時間は全て課題に費やし、自宅で練習に割ける時間を明確化しつつ質の高い練習を目指してきました。

ただ正直に言えば、その生活リズムをつくるのに大苦戦をし、シーズン序盤は出遅れてしまいました。しかし、中盤以降少しずつバランスをとることが出来てきており、今は来年に向けた準備を行っているところです。そのあたりの工夫は社会人レーサーの方々にも通ずるものがあると思うので、見習いつつ今後発信していけたらと思います。

ちなみに、以下が最も忙しかった1週間の予定です。

月 休養日 (通学) 8:00出発 24:00帰宅

火 ロング (在宅オンライン授業)

水 2h~練   (通学)  5:00出発 20:00帰宅

木 ロング   (在宅オンライン授業)

金 軽めor休養日(通学) 8:00出発 25:00帰宅

土 ロング

日 ロング

といった感じで、これにプラスして週3日ほど早朝にバイト。また、学部の課題でグループワークがとても多いため、週1/2回は夜22:00頃~zoomで2時間程の拘束時間があります。その為、バスでの移動時間にも動画形式の授業を受けたり、可能な限り課題を進めたり(このコラムも移動時間に執筆中!)します。文字で書くと狂っている気もしますし、日によっては爆睡して気付いたら静岡駅に到着している事もありますが…苦笑

もちろん少しハードな生活ではありましたが、逆にこうしてみると、物理的には週に20時間以上の練習時間は確保する事も可能ということが分かるかと思います。時期によって練習時間は違うものの、強くなることも不可能ではないと思います。今必修科目を大方取り終えれば2021年以降は少し楽になる見込みなので、トレーニング時間を確保するためにも今が踏ん張りどころです!

ざっくりとですが、こんな形で日々を送ってきました。毎年が勝負ですが、来年も僕にとって大切な1年。悔いのないように準備を積み重ねていきたいと思います。

 

プロ1年目の2021シーズンと地域密着型チームとしての活動

写真提供:kinaco 様

ここまで競技外の日常生活な部分について記載してきましたが、僕にとっての中心はあくまで自転車。やっぱり一番好きであり大切なのは、自転車に関わっている時間です。

ここからは、2021年の競技に関わる内容も振り返ってみたいと思います!

今シーズン、僕は国内プロ選手1年目として、レバンテフジ静岡にて三菱地所JCLプロロードレースツアー(以下JCL)に参戦をしてきました。それと並行し、地域密着型チームとして、地域に根差した活動にも参加させて頂き、初めて尽くしの1年となりました。

選手としては、JCL全10戦のうち最終3レースのみの参戦となり、最高リザルトは11月の太田原ロードレース22位というものでした。選手としては、お世辞にもいい結果ではありませんでしたし、チームにも貢献できずに申し訳ない1年となりました。

レバンテフジ静岡提供

一方で、こういった選手面のプロレース参戦と共に、地域密着型チームとして、生まれてこの方23年間育ててもらった静岡という地域に根差した活動をさせていただく機会も増えました。

僕は小学生からロードバイクに乗り始めたので、今までプロ選手の走行会や、イベントに参加させていただきながら競技を続けてきました。立場が逆になった今年は、少しずつ今自転車が好きな方へお返しさせていただくような気持ちの活動が多くありました。

具体的には、昨年取得したサイクリングガイドの資格を活かして、チームを応援して頂いている方とのライドイベントを走ったり、キッズが初めてスポーツサイクルに触れる機会に携わらせていただいたりもしてきました。

静岡ガス㈱こども自転車教室にて

チームの先輩方などと比較すればまだまだな事が多いのですが、そういった活動を通じて、逆に選手である僕が応援されている気落ちになる事が非常に多くありました。

それは、このコラムや製品レポートを読んでくださる方、SNSにいいね!をして下さる方など、調子が良くない時も僕の事を気にかけてくださる方々も同様です。皆様に後押しされて1年やってくることができました。本当にありがとうございました!

学生をしつつも、今は選手として少しでも強くなりたいという気持ちが全てです。目指したいものに向けて1歩ずつ進んだ時に、何か掴めるようになっていたらと思います。

 

振り返れば、高校卒業後すぐにヨーロッパの環境に挑戦し、今国内で多くの方に応援していただきながら走り続けられている事は特別なことだと思います。将来に向けた様々な悩みはありますが、この環境を大切に2022年も全力で走り続けていきます!

少しまとまりのない文章になってしまいましたが、最後までお付き合いいただきありがとうございました!

よいお年をお迎えください!

 

鈴木 史竜 (すずき しりゅう)

1998年4月16日生まれ

静岡県出身。都内の大学に通学しながらプロサイクルドレースリーグのJCLに参戦中。

2014年 全日本選手権ロードU17:13位

2015年 Team Eurasia-IRC TIREサイクリングアカデミーで欧州遠征

2015年 四日市全国ジュニア自転車競技大会:12位

2016年 全日本選手権TT(ジュニア):9位

2016年 Team Eurasia-IRC TIREサイクリングアカデミーで欧州遠征> 2017年 Team Eurasia-IRC TIRE 正式加入

2017年 Tour de Nouvelle-Caledonia (10日間のステージレース)完走

2019年 全日本選手権TT(U23):19位

2019年 UCI ツールド熊野 出場

2019年 ケルメスクルス(Lichtervelde):20位

2021年  JCL第9戦 大田原ロードレース 22位

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