ALEXRIMS担当の坂バカスタッフ・コエサシです。現在のスタンダードとなった感のあるディスクブレーキのロードバイク。ブレーキング性能を始めとして設計の自由度やワイドタイヤへの対応と言った多くのメリットを持つディスクブレーキですが、重量的にはデメリットもあります。そして求める性能とそれを実現するための費用というコスト面でも、リムブレーキのロードバイクに対して不利であることは紛れも無い事実でしょう。
アレックスリムズは、純アルミを合金にするところから組み立てまで全工程を自社内で行うこと、ホイールを構成するリムとハブを自社製造すること、そしてOEM供給を含めた膨大なホイールを製造するスケールメリットにより、レースで使える高性能なホイールを手の出しやすい価格で提供してきました。そのアレックスなら、ロードレースで勝てる、もしくはレーシングスピリットを持つライダーをも満足させるディスクロードホイールが作れる。そう思った私は、新モデル開発のリクエストをアレックスに送りました。
スペックの確認や調整、そしてできるだけ多くのライダーに高性能を届けるためのコスト面の調整には時間がかかりましたが、最終的に届いたホイールは期待以上の走り!!遂にディスクロードに存在するレーシング性能のデメリットを解消するホイールが完成したと思います。ディスクブレーキのロードバイクにおすすめの新ホイール ALEXRIMS RXD2 を紹介します。
目次
参考重量1475g (実測1420g) ALEXRIMS RXD2
RXD2はRXD3の上位グレードです。ディスクブレーキのロードバイクに限らず、シクロクロス、グラベルロードにも対応しますが、特にロードレースやヒルクライム用途におすすめできる性能に仕上がりました。
RXD2のポイント
・参考重量1475gの軽さ (リムテープ無し実測平均1420g)
・エアロスポークによる空気抵抗の低さ
・ハイローフランジによる反応性
・30mmハイト、実測420gの軽量リム
ディスクブレーキのロードバイクの弱点とは?
重量の増加
まずは皆さんご承知だと思います重量の問題です。ディスクローターが必要であること、ストッピングパワーに耐えるための各部の補強、油圧ブレーキであれば油圧ユニットと言った様々な要素のため重量増が避けられません。特にホイールは回転するパーツであること、また自転車の重心から離れた場所に位置するため、走行感への影響が大きいです。とにかくホイールを軽量に仕上げる必要があるのです。
スポークの空気抵抗
もう一つ重要なのがスポークです。ホイールの空気抵抗というとリム形状が注目されがちですが、より空気抵抗に影響が大きいのは常に回転して空気をかき乱しているスポークです。ディスクホイールは大きなストッピングパワーに対応するために強度を高める必要があり、スポーク本数をリムブレーキと比較して増やしている場合がほとんどです。すると巡航スピードの維持や高速域の伸びに悪影響があります。空気抵抗を可能な限り低減するための工夫が必要です。
0.95mm極薄エアロスポークの採用
上で述べたディスクロードの弱点を解消するためにアレックスにはいくつかの要望を伝えましたが、その中で最も重要なのがスポークでした。ディスクロードはディスクブレーキのストッピングパワーに耐えるためにスポーク本数を少なくすることが出来ません。例えばリムブレーキのALX473EVOがフロント20本、リア24本に対して、RXD2やRXD3はフロント24本、リア24本です。スポークの空気抵抗を決める大きな要素は厚みです。RXD2には厚み0.95mmの非常に薄いエアロスポークを採用しています。しかもこのスポークはかなり軽量で、主要部分が1.4mmと非常に細く、両端は2.0mmのバテッドスポークを、エアロ形状に加工したものです。通常の2.0mmプレーンスポークが1本あたり約6.9gで、前後48本で約331g。RXD2のエアロバテッドスポークは1本あたり約4.9gで、前後48本で約235g。約100gの軽量化に成功しています。ホイールの100gは非常に大きいです。重量と空気抵抗、どちらに対しても重要な役割を果たしているのがスポークです。
カーボンリムより軽い420gの軽量アルミリム
リムはRXD3と共通です。リムの製造から始まったアレックスリムズだけあってこのリムが非常に優秀なんです。まずは実測420gの軽さ。これはカーボンリムと同等かそれを超える軽さです。30万円以上するようなカーボンホイールでもこれよりリムが軽いことはあまりありません。しかも高さと幅を抑えて軽量化しているわけでは無く、30mmセミディープ、内幅19mmのセミワイドなので、剛性もしっかりしています。アレックスリムズは市場にある既存の素材を使用するのではなく、アルミにシリコンやマグネシウムを添加してリム専用の合金を作るところから行っています。それ故に、他社には作れない高性能なリムを製造出来るのです。仕上げもマットブラックアナダイズドで高級感があります。ちなみに実際に使用していてカーボンホイールと勘違いされることも多いです。
レースで勝てる反応性を実現するハイローフランジハブ
ハブはストレートプルスポーク仕様で、スポーク折れのリスクを軽減しています。大事なポイントが左右非対称のハイローフランジです。リアホイールは構造的に右側にスプロケットを取り付けるスペースを確保する必要があり、左右のスポークテンションがアンバランスになってしまいますが、ハブの左右フランジの大きさを変えたハイローフランジによって左右のスポークテンション差を可能な限り小さくしています。これによってペダルにトルクを掛けた時の反応性がロードレースやヒルクライムでも満足できるレベルになりました。フロントもリア同様にディスクローターのスペースを確保するため、構造的に左右のスポークテンションの差が出てしまいます。その点もハイローフランジにより左右のテンション差を是正しています。
カーボンホイールより軽量
10万円以下で参考重量1475g (販売品実測平均1420g)という軽さは圧倒的です。20~30万円以上するような他社ハイエンドのカーボンホイールと比べてみてください。これより軽いものは非常に少ないです。またエアロスポークを採用していないディスクロードホイールも市場には多いです。レースやファストライドも想定したディスクロード用としてはエアロスポークを採用していることはやはり欠かせません。RXD2であれば軽さとエアロ、どちらの条件も満たしています。
インプレッション
まず走り出しで感じたのはバイクの挙動に重さが無く軽快であること。またダンシング時のバイクの振りも軽いです。ディスクロードはどうしても低速時や加速時の反応に重さがあることが多いです。重量がカーボンホイールより軽いので当然ではありますが、これならヒルクライムレースで使えると感じます。
巡航スピードの維持も明らかに楽です。スプリントのような高負荷&高速域ではスピードが上がれば上がるほど抵抗が増え、失速感があるものですが、RXD2は失速ポイントがより高い速度域に存在するように感じます。これはエアロスポークの効果だけでなく、反応性を高めるハイローフランジの効果もあるでしょう。
交換前に履いていたRXD3は、ラウンドスポークのためスピード維持に重さがあり、加速に対する反応も良いとは言えませんでした。RXD3は価格に対して非常に軽量で、ツーリングやグラベル/CXで使うには良い選択です。ただロードレース用としては性能的に物足りないと感じていたのが正直なところです。RXD2であればロードレースやヒルクライムレースで十分戦えます。ディスクブレーキのロードバイクでレースを戦う、もしくはレーシーなライドを楽しむライダーにおすすめのホイールが現実的な価格でやっと出てきたと自信を持っています。
弱虫ペダルサイクリングチームがレースに選んだ
Jプロツアーに参戦している弱虫ペダルサイクリングチームにトレーニング用としてRXD2を供給しました。しかし実際に使用して想像以上に性能が良かった、カーボンホイールより良かったという評価で、コースによってはJプロツアーレースでも使用しています。
香山飛龍選手はシクロクロスで使用しています。
軽量化のためあえて6ボルトローターを採用
ディスクローターのマウントはあえて6ボルトを採用しています。6ボルトはKCNCなどの超軽量ローターが選択でき、市場にある最軽量のセンターロックローターと比較しても60g程度の軽量化が可能です。
フロント160mm | リア140mm | 合計 | |
センターロック最軽量ローター(2021年RPJ調べ) | 108g | 89g | 197g |
KCNC レーザーローター | 74g | 62g | 136g |
→61gの軽量化 |
36ノッチフリーボディ。XDR/Microsplineに対応
フリーボディのラチェット機構は4枚の爪で36ノッチのスプライン(溝)を掴みます。ロードハブだと18ノッチ(つまり20°ごとの溝)程度が一般的ですが、2倍のスプライン(つまり10°ごとの溝)で漕ぎ出しに素早く反応してくれます。標準で付属するのはシマノHGフリーボディ(シマノ/スラム8~11S対応)ですが、別売でスラムXDRとシマノMicrosplineに対応します。
12mm/15mm/QRの各アクスルサイズに対応
・標準 12×100, 12×142
・別売 100 QR, 135QR, 15×100
標準で付属するのは現在のスタンダードと言える前後12mmスルーアクスルです。その他に別売で、ほとんどのロード系アクスル規格に対応するアクスルキットをご用意しています。
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