坂バカスタッフRYOです。ロードバイクの軽量化パーツとして定番のKCNCステム。6061アルミニウム合金製のフライライドと7075アルミニウム合金製のチームイシューが人気ですが、実は最上位グレードにはスカンジウム合金製のSCウイングがあります。チームイシューとフライライドは長年使っていますが、シクロクロスバイクのポジション変更のためにこのSCウイングを導入してみました。
KCNC SC WING
スカンジウムと言ってもこのステムを含め戦闘機や自転車を始めとしたスポーツ用品に使われるのはアルミニウムにスカンジウムを添加したスカンジウムアルミニウム合金です。非常に高価なスカンジウムですが、アルミニウムに加えることで飛躍的に強度が高まります。サイズ展開は70-100mmです。注意したい点としてフォークコラムをクランプするスタックハイトが一般的なものより少し低く38mm(一般的なハイトは40mm)。場合によってはコラムスペーサーを追加する必要があるかもしれません。角度は一般的な6°ではなく5°ですがスタックハイトが低いのでハンドルの高さはほとんど変わりません(ステム長による)。
実測95gの超軽量と徹底的な削りの美しさ
90mmの実測重量は95.5g(測りの最小計測単位が0.5g)。バイク上部に位置するステムの軽量化はバイクの軽快な動きに効果大です。特にダンシングの振りが軽くなります。
ステム本体にも96gの表記があります。少しでも無駄な肉を削ぎ取る削りが美しいです。強度に優れたスカンジウムを使用したからこそできる加工です。もちろんコンピューター解析で強度と剛性を確認して形状を決定しています。
ステム側のハンドルクランプ部にもよく見ると軽量化の努力が見られます。
X形に加工されたフェイスプレートもきれいです。
なんと裏側も削られています。ハンドルとの接触面積も十分に確保されています。
ボルトはチタニウム。錆びにくい点も嬉しいです。
トラック選手や強豪クライマーが使用する高剛性
これだけ軽いと剛性が心配になるでしょう。しかし実際にはむしろ剛性は高いです。国内トップレベルのトラック選手が使用した実績があるほど剛性は間違いありません。また乗鞍ヒルクライムで入賞するような競合クライマーにも多数使用されています。同じKCNCのチームイシューとフライライドと比較しても剛性は高いです。基本的にKCNCのステムはより軽量な上位グレードのほうが剛性も高くなります。
精度の高さによる固定力
地味な部分ですが、このステムの大きな特徴が精度の高さです。CNCによって削り出しているので、寸法の誤差がほとんどありません。精度の高さによって隙間がほとんど無くて、ステムをフォークコラムに差し込む際に少し抵抗感があるほどです。交換前に使用していた鍛造製のステムは精度が甘く、取り付けの際もわずかに隙間がありました。これが原因で固定力が不足して、ダートを走った際にステムがずれてヘッドパーツにガタが出やすかったです。SCウイングに交換してからガタは出ていません。ハンドルクランプ側もグラベルライドに使用してみましたがズレは発生しませんでした。徹底的に削り出した超軽量ステムですが、精度の高さによって信頼性も併せ持っています。ちなみに最大締め付けトルクが5N.mと低めのため、万が一固定力が不足している場合は滑り止めコンパウンドを併用されることをおすすめします。
スカンジウム製ハンドルとシートポストもラインナップされています。