本場アメリカのグラベルレースに参戦 機材準備編 Felt ブリード レビュー 中村龍太郎

今シーズンよりFELTのグラべルバイクBREED30 2020モデルを供給していただき、3レースを走らせてもらいました。今回はバイクについての紹介とアメリカでのグラベルのレース準備に重点を置いてブログに書きたいと思います。

アメリカの(と言ってもKY=ケンタッキー州周辺のみになりますが)レースは、4月~8月のロードシーズンと9月~12月のCXシーズンと明確に開催時期が分けられています。Gravelレースは3月から11月まで通年で開催されていてレース数も多く、元々DirtyKanzaなどの有名なレースは知っていたのもあってか、レース中毒の血が騒いで俄然興味を持っていました。そんな中でRiteway様から提案された時には、脊髄反射で飛びついたわけであります。

 

アメリカの在庫から近くのショップに送ってもらって、完成車が手元に来たのが三月末。初めて持ったバイクの感想は「重。」で、まぁそれは普段フルカーボンのロードバイクに乗っているから仕方ないと言えば仕方ないのです。家に帰って完成車重量を測定してみると10.7kg。

早速近くの公園のTrailでシェイクダウン。こちらでは土地が余って仕方がないのか、公園が異常に大きく、TRAILコースも数多くあります。基本的にはレース向けというよりは健康維持の方向けなので簡単だが、玄人による脇道開拓で難しい箇所も何個か足されており、正直迷子になるレベル。

特質事項は下記。

・ボトルゲージ用の穴はトップチューブに一つ、ダウンチューブに二つ(47サイズは一つ)、シートチューブに一つつけられるように穴が開いている。ダウンチューブ用は穴が五つ開いているのでダウンチューブに一つ取り付ける際にはチューブの真ん中に装着できる。

初めてのレースが100km弱走るということもあって未知であったので、一応ダウンチューブに二つつけた。しかし縦にボトルを抜くスペースは無し。なのでボトルゲージはOGKのをRC-12を使用。フレームサイズがどうしても小さくなってしまう妻(148cm)がボトルが取りづらいという同じ悩みを抱えて27年間生きてきたようなので、おすすめを聞いてみると、これが斜めからボトルを抜き差しできると教えてくれたので取り付けてみた。ただ51サイズではボトルの脱着自体はできるが、トップチューブに引っかかってしまう。走っていて疲れていると取りづらいのもあるので、第二戦ではダウンチューブボトルを一つに減らした。

 

その代わり、トップチューブにボトルを装着してボトル三本を確保。が、今度はダンシング時に膝に当たる&レース中にボトル落下につき、この選択はミス。トップチューブには小さいバックを取り付けるのが良いと思う。水は背中にハイドレーションを背負うべし。

 

・タイヤ径が650Bで小さい。その分太いタイヤをつけることができるので走破性が高くなる。標準装備のタイヤは太めで47C。アメリカのレースは「グラベル!」という割にはガレ場を下らせたり、泥に突っ込ましたりと、こんなはずじゃなかった感がすごいが、47Cのタイヤ幅のおかげである程度走破できて助かった。フレームとのクリアランスも十分にあるので泥詰まりの心配はない。そもそもディスクブレーキなのでその心配をしていないが。

vittoriaのTERRENO TUBELESS READYがついており、初期はチューブが入っている。 vittoriaは元々サポートしていただいていた縁もあり、現在はヘビーユーザーなので、嬉しいchoice。ロードもそうだがサイドケーシングの方が締まって見えるので好んで使っており、最初からこのカラーリングは非常に好感が持てる。

 

・フロントシングルで歯数40T。後ろは11速で11-42。レースで20%近くある(体感)登りがあっても何とか回しきれるギア比。しかし下りは早々に回り切ってしまう。

コンポはSHIMANO GRX油圧式。初めて使用するがスタビライザーがついており、チェーンの脱落防止に効果がある。 事実一回第二戦の下りの振動でチェーンが外れたが、単純にレバーをオンするのを忘れていたのが原因で、それ以外はMTBが走るようなガレ道でもチェーン外れはなかった。まぁフロントシングルってのもあるけど…

 

・ハンドル、ステム、シートポストはDevoxで統一。お恥ずかしながらこのメーカーを知らなかったのだが、調べてみたらFELTの独自のコンポーネントだそうで。 使用感としてステムとシートポストは特筆点はない(頑丈であれば良し)として、ハンドルのドロップ部が外側に開いている。 51サイズは420mmのハンドル幅(ブラケット部)装備なので、普段ロードで400mmを使っている自分からすると420mmでも広いと感じるのに、下ハンを持つとさらに広がり、470mmとなる。 写真6 グラベルレースでイメージしていたのは平坦の未舗装路を何時間もかけて走っていくものだったのだが、アメリカのレースは林業用の道路やオフロードバギーで走るような道等も使うためかアップダウンが激しい。 当然下りも安定性が求められるので、このハンドルはよりMTBに近くなり操作性、安定性が増す。バーテープもDevoxでこちらはクッション重視の柔らか素材で長時間のライドの疲労軽減に一役買っている。

既に2021モデルに更新されているBREEDですが、大きな変更点はカラーリングに加えて 、タイヤが650x47C→700x40C に。価格は変わらず。個人的には2020モデルの仕様が暴力的なコース設定をするアメリカのレースに合っていると思っている。 日本のグラベルロードを走ったわけではないが、未舗装路を見つけるのが難しいくらい整備されているのが現状であるのなら、 今回の仕様変更は舗装路と未舗装路を両立させるための変更として理にかなっていると思う。

 

ちゃんとした初のライドはKentucky Gravel Championshipの試走100km弱。 持ち物はボトル三本に加えて、トップチューブに携帯と補給食を入れるTopeakのバック(自転車やり始めたころから使ってるやつ)を装着。 それと背中には2Lの水を凍らしたハイドレーションを入れて、水分補給と冷却効果を兼ねる。補給食は余分に入れておいた。

道に迷ったのとちょいちょい止まったのもあって当初の4時間目標は達成できなかったが、背中に氷水背負っているもあって、ボトル三本はいらないし(取り出しづらいというのもある)、 トップチューブにつけたバックも正直邪魔だなということに気づく。それとサングラスのレンズは透明を推奨。

空気圧ははじめ2.0barで突っ込んだが、急勾配の下り未舗装路でグリップしなかったので少し抜いて1.8barで走った。 vittoriaのサイトを見てみると自分の体重だとこのタイヤの推奨空気圧は前1.9barの後ろ2.1barだったので、若干低いが今回のコースではガレ場あり、泥ありだったので若干低いくらいがちょうどよかった。

https://twitter.com/ryno_nakamura/status/1279252824472326144

今回試走したKentucky Gravel Championshipのコースは、まだ整備されていないこともあって倒木を三度潜り、川を幾度となく渡るアドベンチャーライドだった。特に大きなトラブルなく完走し、実感では昨年のKGCの優勝者に引けを取らないんじゃないかなと思わせる試走だったが、本番はいかに… 続く!

 

中村 龍太郎(なかむら りゅうたろう)

チーム:イナーメ信濃山形

2015年全日本選手権個人タイムトライアルチャンピオン。一般企業に勤めるフルタイムワーカーでありながら、Jプロツアーを走り1桁台の順位を量産。トラックレースにも参戦し、全日本オムニアムでは3位。毎週末のようにレースに参戦し、レース数はプロをも上回る。2019年から仕事の関係でアメリカ・ケンタッキー州在住。

主な成績

・2015年 全日本選手権 男子個人タイムトライアル優勝
・2015年 Mt.富士ヒルクライム優勝
・2016年 全日本選手権オムニアム3位
・2017年 JBCF Jプロツアー 前橋クリテリウム2位

使用機材

ロードバイク:Felt FR FRD

TTバイク:Felt DA1

トラックバイク:Felt Tk FRD

グラベルバイク:Felt Breed 30

ヘルメット:BBB マエストロ

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