自転車旅行 第12回 三重県~和歌山県~潮岬

 もうすぐ二人で135歳になってしまいます。
体重は135キロまであと5キロ、プロジェクト135、目標に向かっていよいよ春の遠出が始まります。
今回はどんなんかなーっと心配もちょっとです。
なんてったって4日連続ノリですからね。
天気も良いといいなぁと思いつつ西へ出かけました。
 
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  この真ん中に立っているスマートな人のシャツ、自転車用に見えませんか?これ、自転車に全く関係ない台北空港の到着ロビーに居た普通の人です。
  トーチャンが「おねーさんもっとよく見せて」といったら、広げて見せてくれました。正しく自転車用のジャージでした。でもスマートですよね。
  プロジェクト135は私が主役です。今回の旅で一番細く写った私の写真です。去年の山形よりは細くなったのです。遠景なだけだったりして。どっちにしても台北空港のおねーさんにはとてもかないませんけど。
  まず資料を調べて、、、、
  ピカピカを充電して、、、
  準備万端のつもりでしたが、やってしまいました。忘れ物を取りに帰って、5時14分発の始発電車に乗り遅れてしまいました。電車の出た後のホームはことのほか薄暗くがっくりです。
次の電車は5時37分。あーあ。
  東上線も、山手線も、無口な二人。何とか予定の新幹線には間に合いましたが名古屋まで何も責めないトーチャンにびくびくしていました。
名古屋といえば味噌カツに手羽先、てんむすの3種づめ弁当。南紀3号でこれを食べるころから和んできました。
  特急とはいえ、単線ですから、すれ違いのための待ち合わせが多く目的地熊野市までは3時間もかかります。
三重県、熊野市駅で自転車を組み立てて今日の目的地和歌山県新宮市へ向けて出発です。
  駅を出て熊野灘に沿って走りだすと、すぐに見えるのが獅子岩。本当に獅子のように見えます。
  新宮までの三重県は道路がよく、自転車用のレーンがあり、とても走りやすかったです。
  熊野市から新宮までは七里御浜と呼ばれる見晴らしのよい平らな道が続き、初日としては良い環境でした。
  御浜は難所、熊野古道を巡ってきたお遍路さんがホッとできる穏やかな地形が続き、海岸も砂浜で、ウミガメの産卵地としても有名だそうです。新宮の手前、紀宝町にはウミガメ公園があり、大きなウミガメがたくさんいました。
  水槽には何故かウツボもいました。シマシマがウツボです。私は水槽に写っているのです。
  三重県と和歌山県の境を流れる熊野川。去年の水害の時は大変だったようですが、この日は水も少なく普通の川でした。川の向こう岸が新宮市です。
  この橋は旧道にかかる県境の橋です。向こう側が和歌山県。サーあと少しです。
  新宮市で予約した宿は、ホテルサンシャイン、豪華なホテルを連想する名前ですが、ツインで朝食付き9,800円、二人でです。どこにあるのか分からない、電話で確認です。
  翌日は夜中からの雨が降り続き、嫌な予感。止まないかなー、地下駐車場からのぞいても雨。雨脚が弱くなったところで串本へ向かって嫌々出発。本当に嫌そうな雰囲気でてますねー。
  新宮といえば、熊野速玉大社です。天然記念物、梛の大木の前で。「なき」と読むのだそうです。初めて見た字でした。海の凪にかけて大切にした物だそうです。
  みなさん、突然ですが、武蔵坊弁慶というと、どこを思いますか?私は京の五条の橋の上、とか最後の立往生、東北などですが、なんとルーツは熊野だそうです。弁慶のお父さんは熊野水軍のお頭で、それが源氏方について平家との戦いに勝つきっかけを作ったそうです。これ弁慶です。
  梛の樹も弁慶像も大切ですが、なんといっても熊野速玉大社です。同じ新宮にある神倉神社も霊験あらたかなのだそうですが、なんせ500段以上登る山の上、ここ速玉大社で旅の無事と天気の回復をお参りしました。
  さて、いよいよ出発、なのですが、この雨です。
  まだ雨です。
  写真ではわかりませんが、横殴りの雨。仕方なくとある駅で雨宿りです。
  しばらくすると電車が来ました。ワンマンカーの運転手さんが確認のため窓を開けました。すかさず「・・・自転車なんですけど乗せてもらえませんかー?」と寂しげに、悲しげにお願いしたところ、「うーん」といいながら、「早く乗ってください。」・・・えっ??
  なんて優しい人、拝みたい気持ちです。大雨と強風の中、ずぶ濡れの老人が二人、寒そうに哀願されたら人道的見地から乗せざるを得ないと、まことに正しい判断をしてくださったものと感謝しております。この風景、ちょっとヨーロッパみたいでしょう?
  本当はもっとこの件詳しく書きたいのですが、万が一、運転手さんに迷惑がかかるといけないので、ただ感謝です。速玉大社のご利益かもしれません。アッ、この後輪行袋に入れました。???念のため…。
かくして、紀伊勝浦や、クジラで有名な太地は大雨と強風のため素通り、本日の目的地串本に到着したのであります。
  こんな天気なので潮岬は明日にして、例によって自転車をホテルの車庫に停めて出かけました。
お昼ご飯に入った地魚屋さん、昼間っから先客が飲んでいるとても良いお店でした。右のおじさんがカツオ一本釣りの漁師さん、左が店のご主人。
  一人乗りで、左右小さなクレーンのような竿を操るケンケン鰹漁。今日は時化でお休みだそうです。これは右のおじさんが昨日釣ったやつを左のおじさんが買ってきたものだそうです。美味しかったーーー。
  串本は美味しいものが沢山ありました。とこぶしに似ていますが穴貝、穴の中にいるそうです。
  ナマコ、普段食べるこりこりしただけのものではなく、周りはぬるぬる、なかがこりこり、初めての味でした。
  ぐしょ濡れで寒くて、いつもの泡の出るものではなく、温かいものをいただきながら、エアコンで濡れたものを乾かしたのです。
  乾いたころにはこの始末。あーあ、おばさん怒らせちゃった。知ーらないっと。
  ライトウェイの自転車のシンボルマークが優しく見送ってくれました。
  実物はこんなに小さいのです。
  翌日の朝、目覚めたときは降っていなかったのに、やはり降ってきました。でも潮岬には行かなくっちゃ、、、でも雨の日に自転車乗るの嫌ですねー、ホテルでぐずぐず、、、
  走りだしてしまえば昨日に比べて弱い雨。気分を変えて楽しみます。
  ヤッテまいりました本州最南端の地。潮岬です。
  灯台はちょっと先。そんなに大きな灯台ではありませんでした。
  灯台のちょっと手前、立派な邸宅です。これならどんな台風が来ても大丈夫でしょう。
  串本から今日の目的地、須佐見までの間に串本海中公園があります。串本は太っ腹です。この海中タワーは無料なんですよ。なーんて、水族館と海中タワーのセットで1,500円。自転車を建物の横に止めたので、建物沿いに歩いて行ったら、タワーに出ちゃったんです。払うところなかったもん。帰りに表のトイレへ行ったら、料金所がありました。
  この日は海岸線特有のアップダウンが多く、つらい坂も数多くありましたが、何とかクリアーできました。昼時になって、店を探したのですが、全くありません。坂を下って、次の坂が見えるそのとき、ありました!釣り餌や、食料、日用品などのお店が。
  寒かったのでカップラーメンがご馳走でした。
  腹ごしらえができた後もアップダウンの連続。あそこでラーメンを食べていなかったら、きっと二人とも機嫌が悪くなってたことでしょう。
  前二晩はビジネスホテル、今日は豪華に国民宿舎です。温泉もあり、機嫌よくクジラのベーコンをおごってしまいました。
  最終日、さすがの神様も可哀そうに思ったか3日分の雨を取り戻すような晴天。ここ周参見あたりの海岸は枯れ木灘といって、木も枯れるほど風が強いそうです。
  雨も上がり、上気分なのですが、道路が狭いうえに路肩の舗装が良い状態でなく、坂道が多いうえに向かい風、なかなかに厳しいものがありました。
  三重県熊野市から和歌山県白浜までひたすら42号線を走るのですが、旧道があればできるだけ昔の集落を見ながら走りました。42号線は直線的にぶんぶん行き、私たちは下の道を選んで走ります。
  するとバイパスでは見られない気持ちの良い景色が見られるのです。日置川の町も旧道から見下ろせました。
  日置川の町外れ、『出城あと』という看板がありました。城攻めチームは知っているのでしょうか?
  今日の目的地、南紀白浜温泉は42号線からはずれておよそ10km、ひと山越えた向こうです。疲れた身には効く坂です。天気の良さ、景色の良さ、トンビのお出迎えもあり、ビールを目指して頑張りました。今回はトーチャン、トンビを撮れたようです。
  という訳で、ホテルに自転車を置いてしまえばこっちのもの。白浜の地ビール、ナギサビールとなるのであります。終わったーーと嬉し泣き、ではありません。念のため。
  三段腹が三段壁を見る図というのですよ、うちの連れ合いは。
  三段洞窟の中、熊野水軍小屋再現の部屋。弁慶のお父さんお留守でした。
  水軍復元図、私、役に立ったカモ、なんせNagisa Beerの後ですから何でもアリです。
  つらくて楽しい4日間、もう終わりです。帰りは南紀白浜空港から羽田へひとっとび。 とてもかわいい空港でした。
この旅で一番印象的だったのは、カップラーメンにお湯をそそいでくれたコンビニのご主人の一言。「おしゃれですねーー自分より年上の人が、しかも夫婦で、自転車旅ですかーー、うらやましいですね」とのこと。

多分40代後半、四人の子持ちだそうで何でも商売にするとギンギンの現役人間。
確かにあの年代には私たちも二人で遊びに行くなど考えられませんでした。
二人とも仕事第一、遊びに行くのは子供が優先。二人だけで遊ぶようになるなんて夢にも思いませんでした。

この年で、自転車で、二人だけで、となると多少の危険も伴い、ちょっとだけ
冒険心のようなものもくすぐられ、最終目的地に着くと、程よい疲労感と達成感もあり、退屈している日常から離れて、普段見られない所へ行かれるのは楽しいことではあります。

今回の旅は天候に恵まれず、雨と風にやられました。海岸線の坂道は沢山あり、時にきつく、長いところもありましたが何とか降りずに乗り切れて気持ちいいです。

今後も遠方の旅ですので、体調よく計画しなければと考えています。
ポカをしないようにすることも今回の反省です。