2019年モデルのGT SENSOR COMP/センサーコンプ。
まずルックスのファーストインプレッションは「すっきりしたなぁ」ということ。里山の風景にもよく馴染む、クリーンなルックスだ。
前モデルまではI-driveを進化させたAOSシステムによってBB部を独立させてロスのないペダリングとサスペンション効果を両立させていたのだが、そのシステムの要となるBB周辺のやや複雑なリンク形状が何か秘密を秘めているかのようなメカメカしさを醸し出していた。
しかし、今年度モデルからはGTが世界で初めて採用した4バーリンケージ式サスペンション(LTS)が復活。
BB部は一般的なフレーム一体形式に戻され、リアユニットは縦向きに配置を変更。
ルックスはより見た目にシンプルすっきり美しくなった。
「LTS復活」といっても、もちろんこれは単なる先祖返りではない。
ロスのないペダリングとサスペンションの自然な動きとを両立させるというある意味で永遠の課題にi-driveやAOSで取り組んできたGTが、現時点での技術と思想で、進化した新しいLTSにたどり着いたということなのだろう。
ドライブトレインは1×11s、メインコンポはShimano SLXで、直感的でわかりやすいシフティングがトレイルでの「楽しさ」に集中する手助けをしてくれる。
昨年モデルまでは27.5だったホイールは29インチにサイズアップし、2.35”のタイヤがセットアップされている。
ホイール径が大きくなっても軽快さは全く失われず、むしろ驚くほど反応が良く、踏み込むたびにバイクと身体の間に気持ち良いリズムが刻まれる。実に軽快!私は、フルサス29erのイメージが変わってしまった。
前に進み続けようとする速さと、路面と身体とが反応し合う気持ち良いリズム感の両方を楽しめる軽快な挙動。シルキー&ポップとでも言えばいいだろうか、スムーズさとワクワクさせる楽しい挙動のバランスが絶妙で、ずっと乗っていたいと思わせる。
トレイル遊びのための道具の進化はここまで来たか、と感動すら覚える。
フラットな路面ではストレスなく転がって、安定感もあり乗っていて疲れない。
ガレた登りでもサスペンションがスムーズに動いてトラクションを確保、ペダリングロスを感じることなくしっかり登っていく。
だらだらと続く登りでもリズムが取りやすく、疲れづらく感じた。
登りが楽しめるかどうかという点はトレイルライドで楽しい1日を過ごそうとするときに重要になるので、この点も素晴らしい。
下りでも違和感のある点は全くなく、膝を使ってリズムをとりながら楽しく下れる。前後130mmトラベルの設計も、トレイルで軽快さと安定感の両方を感じられる絶妙なバランスだ。
バイクの挙動も素直で安心して身体を動かせる。
この乗り味がLTSという(昨年までの機構に比べると)シンプルなシステムから生み出されるということが、今回の「進化」のすごいところだと思う。
ある意味で、トレイルで楽しく走るためのMTBという乗り物の進化と熟成の歴史が、この一台に凝縮されているとも言える。
速く、軽快で、安定していて、乗って楽しいトレイルバイク。
長くトレイルを走ってきた人からこれから楽しいトレイルライドの世界に足を踏み入れようとする人まで、安心して勧められる一台だ。
GT SENSOR COMP 製品ページ https://www.riteway-jp.com/bicycle/gt/bikes/sensor_comp_7081/
インプレライダーのプロフィール
ジンケン(裏山ライドTokyo / 東京裏山ベース) HP : http://www.ura-yama.com/BIKE/urayamaride.html Blog : http://jinken.tokyo/ twitter (jinken) :@jinken24 Flickr : http://www.flickr.com/photos/31070416@N02/ Facebook : http://www.facebook.com/kenji.jinno Vimeo : https://vimeo.com/nobikenolife Youtube : http://www.youtube.com/user/jinken24