ツールド熊野2018 中村龍太郎

今年も二日間の休みを取って熊野へ。水曜日の夜に海浜幕張から名古屋に行く夜行バスに飛び乗る。
ド平日なので横一列誰もおらず、足を横にして寝れたので割と快適な環境で名古屋についた。ちなみに自転車込で3900円。
名古屋のマックで美山のブログを更新した後、恒例のBUCYO COFFEEへ。

7:30オープンだと思っていったら、それより前に開店していた。すでに何人かのお客さんがモーニング中。
山盛りサラダセットとカイザーパンに小倉をつけてもらって補給完了。
お店を出際に56さんのところの生徒さんが「熊野頑張ってください!」と声をかけてくださった。ありがとうございます。
名古屋駅前に移動して岩月さんと合流。ユキと佐野さんの新幹線の到着を待って、四人で新宮へ向けて出発。
道中既に雨が降っていてTTに向けてのモチベーションが下がる。
受付を監督にお願いして、こちらも毎年恒例の「めはりや」へ。絶妙なしょっぱさで旨い。

会場へ行きダラダラと準備。自分の出走は雨がやむことを祈って最後の方(結局止まなかったが)。
昨年はまさかの日本人トップタイムを出したので今回はあわよくば!と狙っていた。
いつも通りブレーキを開放して効かなくしたのがいけなかった。
スタートして空回りしないように台から降りるのを確認してから加速していく。コーナーまで腰を下ろさずちょっとした登りに入るところでブレーキ・・・
が・・・・きかないっ!やばいっ!しぬ!と思って、気づいたら右足のクリートを外していた。

PHOTO BY プロ観さん

でも登りきるころには減速できていたようで、無事に曲がれた。そこからクリートキャッチに失敗し、下りきってから嵌って、一応ゴールまで踏む。もちろんタイムはグダグダ。
雨の時にはきちんと制動できないと怖い。転ぶ想像しかできなかった。落車しなかっただけよかったと言い聞かせる。
宿に一度戻ってシャワーを浴びて、日本式の開会式に参加し、軽食は遠慮して夕食へ。
調べてでてきた宿の近くにある「グリルいなせ」さんに行ってみる。スープオムライスという人生で初めて食べた料理が非常に旨く、例年一日目の宿の食事のクオリティに嘆くばかりだったイナーメに明るい光が差し込んだ瞬間だった。
二日目以降は非常に良い天気。よく考えたら自分が参加した熊野、TT以外は晴れしかない。ただ、今年は例年の茹だるような暑さは無かったように思う。

長いパレードを終えて、小山と二人先頭でレーススタート。
TTがダメだったのであわよくば逃げに乗って山岳賞を…と考えたけど集団のペースが速いのなんのって。
自分からはいかないけど、MATRIXの佐野さんやチャイニーズタイペイのフェンチュンカイ選手(バーレーンメリダ!)のアタックに反応してみる。

PHOTO BY ITARU MITSUI

ユキと小山も入れ替わりで反応するのでチーム的には前で走れた。
ポールさんと岩月さんは調子が良さそうで、危険なトンネル手前などで前の方に上がっていくのが見える。
一回目の山岳賞は佐野さんを追う集団の20番手くらいにはいたと思うけど、そこからは諦めて上がれず。畑中さんが先頭で山岳賞を獲得しているのを遠目に見る。
その後二人抜け出したところの往路のトンネル内で落車が発生。自分は前にいたので音しか聞いていないが、クラクションの音が鳴り響いたのでかなりデカイのは想像できた。
折り返して橋を渡った先で赤旗が出ていた。そんなにやばいのか…。イナーメはポールさんが巻き込まれたけど打ち身だけで済んだみたい。
チーフコミッセールの藤森さんがとぎれとぎれ英語で説明しているけど、外国選手が英語で捲し立てて、終いには「Fa(自主規制)!!」とキレてた」。
話を聞くとフェンスが倒れて安全を確保できないため、レースが続行できないとのこと。まだ半分しか過ぎていなかったが、レースはキャンセルに。

PHOTO BY ITARU MITSUI

ただ観客のために、二周半パレード走行となった。レース自体は一回目の山岳賞
20年目にして初の中止?なのかはわからないけど、今まであの暗いトンネルが危険だというのはずっと言われていて、逆に20年続けたのがすごいと思った。
毎年レースがくるのを楽しみにしているという近所のおばちゃんに冷たい麦茶と饅頭をごちそうになった。
TTで少なからずショックを受けていた自分にレースキャンセルというダブルパンチで「来年の熊野どうするか…」と考えていたけど
おばちゃんの「来年もおいで」という言葉を聞くと、参加したくなっちゃう。20年も続けていればもはや習慣になるのだろう。改めて20年の重みを知る。
一日目が例年に比べるとフレッシュな状態で終了し、その時点でちぎれていた学生らも含めて全員が二日目に進む。
例年通りスタートしてからの登りでドンパチがあるが、札立峠の入り口を過ぎても逃げが決まらず、千枚田の下りとの合流地点の前のアップダウンで逃げ集団ができる。
入部さんが単独先行しているところにUKYO畑中さんが合流。そこから何人かジャンプして10人程度の逃げができる。
逃げが決まるまでが速すぎてその逃げには乗れず(というか乗っててもすぐ落ちる)。
長い下りを経てトンネル前の折り返しで前を走る逃げ集団とすれ違い、メンツを確認する。
フェン・チュンカイ選手やホセ選手含め、出場チームがまんべんなく有力選手が行っていることを確認し、今日はレース終わったな~なんて思っていたら
千枚田でKINANのペースアップが開始される。例年だとここに残れるペースでいけるのだが今年は速すぎた。
この千枚田でできた追走集団が先頭に唯一合流できたみたい。
自分は何とか第四集団で登り切り、下ってから札立のは入り口までに第三集団と合流。その時点で先頭→第二集団→第三集団の構図ではるかかなた。

PHOTO BY ITARU MITSUI

札立峠は緩斜面で集団の先頭に出て快適に踏むが、長すぎて途中であきらめる。それでも登りきりで第三集団の尻尾をつかみ下りへ。
すぐ後ろで落車音を聞きながら、若干離れながらも何とか下りきれた。
前から降ってきた窪木さんを回収して、補給所へ。サコッシュで補給を受け取りバナナをモグる。明後日の方向を見ていたトヨカツさんに「どこ見とんねん」と突っ込みを入れるくらいには余裕があった。
千枚田の下りを終えてS/Pのあたりで先頭とすれ違う。KINANの中島さんが単独で飛び出している熱い展開っぽい。
トンネル超えて折り返して、同じS/Pの付近でさらに後ろの第三集団とすれ違う。そこにいなーめのジャージはなく、なんとなく察する。
第二集団も完走目的で一定ペースで千枚田登るかと思いきや、速い(と感じていただけかも)。
千枚田の麓で早々に千切れ単独走。チームカーが上がってきてコーラをもらう。コーラうまい…。
チャイニーズ台北の選手と一緒に頂上をクリア。このチェン選手は2015年のヘルオブマリアナで僕が50km独走して勝ったときに2位だった選手なのである。当時はAXION CYCLING?
下りきって二人でゴールを目指す。途中でUKYOの徳田(弟)に追いついて三人で回す。
チェンと徳田(弟)は力強く牽いてくれているが僕は虫の息。二人にゴールまで連れて行ってもらって最後は譲る。

一概に比較はできないが自分が出た熊野の二日目のレース結果を見てみると
2014年 25位 3分50秒差(勝者 MANCEBO Francisco)
2015年 19位 3分2秒差(勝者 PRADES Benjamin)
2017年 25位 4分45秒差(勝者 LEBAS Thomas)
それで2018年 32位 8分11秒差(勝者 IRIBE Shotaro)
2015年が際立っている…

最終日は昨年のコースと変わって、オフロード()の下りを経て左折。400mほど登ってから下って、海沿いに出る。
例年だとKOMの登りで千切れても海沿いの平坦に着くころには合流という、割と温いステージだったのだが、今回でかなり厳しいコースとなった。
400mの登りに入る前は道が悪く、ほとんど下りの恩恵を受けられない。当然先頭は少しは上手いこと走れるが後ろは地獄絵図だろう。
総合争いと関係ない逃げに乗りたいが、何にせよ総合3人が犇めき(“ひしめき”と打ったら予測変換で出てきて感動してる)合っており、一位の入部さんを落とそうとする動きになるので簡単にはいかないだろう。
シマノボーイズ南無南無と手を合わせてスタート。
最初のKOMでフェン選手がアタックしてのでついていく。はぇぇぇぇぇ
しかし一発目なので皆ついてくる。だろうね…つい興奮して足が出てしまった。
その後は行きそうな逃げを追ったり、ジャンプしたりと動いてみたが、結局実らず。
勝ち逃げができた時には後ろにいてKOM登り切りでオーストラリアの選手のジャンプについていく。
オージーはすぐにやめたけど、前の集団はもう一踏み頑張れば手が届きそう。と、後ろを振り返ると後ろの集団も近い。よし、これなら前の集団は捕まるぞ。
と思って足を緩めて合流すると僕らを回収したところでペースダウン。あらー。
気づいたら先頭は行ってしまった。1分差がついてからシマノの木村とトロフェバラッキ。一周くらいはキープできたけど徐々に差が開いていく。

PHOTO BY ITARU MITSUI

残り2周に入って400mの登りで入部さんがペースを上げる。もうどうしようもない差だと思ったし、このままなら完走できると思って、無理に追わない(追う足無いとも言う)。
残り一周の鐘を聞いて完走を確信。KOMで5分半!と言われるも「ふーん」くらいに思っていたら、次の公園のCPで下ろされた。

PHOTO BY ITARU MITSUI

4回目にして初のDNF。正直完走は当たり前だと思っていたので凹む。逃げ集団に乗れなかったのは判断ミスとはいえ、その後は木村とのトロフェバラッキ楽しかったし、まぁいいか、と思ったりしたけど、
時間がたつと少なくとも完走したかったな…と思う。来年も挑戦できればしたいと思う。財務大臣に相談せねばな…。

 

 

中村 龍太郎(なかむら りゅうたろう)

チーム:イナーメ信濃山形

2015年全日本選手権個人タイムトライアルチャンピオン。一般企業に勤めるフルタイムワーカーでありながら、Jプロツアーを走り1桁台の順位を量産。トラックレースにも参戦し、全日本オムニアムでは3位。毎週末のようにレースに参戦し、レース数はプロをも上回る。

主な成績

・2015年 全日本選手権 男子個人タイムトライアル優勝
・2015年 Mt.富士ヒルクライム優勝
・2016年 全日本選手権オムニアム3位
・2017年 JBCF Jプロツアー 前橋クリテリウム2位

使用機材

ロードバイク:Felt AR FRD

TTバイク:Felt DA1

トラックバイク:Felt Tk FRD

ヘルメット:BBB ティトノス

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