木島平2DAYS 2018 DAY2 中村龍太郎

僅差で迎えた二日目。残念レースがゴールするくらいに会場入り。

前日の夜に風呂上りからの入念なマッサージとストレッチで、お尻に痛みと若干の疲労感はまだあるものの、問題なく走れる。
昨日とは打って変わって快晴の木島平。出走人数は60人とかなり縮小しており、僕のチームは鈴と松尾さんの三人。
FIETSが唯一5人揃えており、イエロージャージをキープするために動いてくるだろう。
スプリントに持ち込まれればタカユキだけ怖いのだけど、他のメンバーも逃げに乗られると1分しか離れていないので逆転の可能性も有る。
スタート前にマサルに『どうする?』と聞くと、とりあえずポイント賞ジャージは欲しいとのこと。
ポイント周回は21周回完了まであるが、そこまで逃げが決まらないのもしんどいし、ベストなのは一緒に逃げることだけど、そううまくいかないし…悶々。
考えても仕方がないので、成行きに任せる戦法。
スタートしてアタックがかかるが基本は静観。マサルを常に視界に入れるように走るが、せっかち性が邪魔してずっと後ろにはいられない。
割と大きめの逃げが出来た周の登り返し、自分が集団に埋もれるタイミングでマサルが後ろからブリッジをかける。
前を完全にふさがれていて「やらかした~」と思ったらもう遅い。
マサルはあっという間に追いついて集団と先頭との差は30~40秒ほどになる。
FIETSのタカユキも行っていたので後ろの集団を牽くのはイナーメしかいない。
マズイと思って集団からブリッジをかけるが先頭は逃げができたてホヤホヤなので差が縮まらない。
後ろを振り返ると昨日一緒に逃げた坂大さんが追っているのが見えて、足を緩める。
追いつきざまに「おまたせ~」とやってきた坂大さんとローテを回すが、むしろ後ろの集団が追いついてきてしまった。、
とりあえず松尾さんと鈴に牽いてくれとお願いして三人で集団のコントロールに入る。

PHOTO BY 福田賢一郎さん

コースの特性上直線の先に集団が見えるのではなく、折り返した先頭とすれ違うので、秒差はそこまでではないものの、すごい離された気になる。
しかも僕が見る度にマサルとタカユキが後ろの方にいるもんだから「あいつら足休めてやがる…」と焦ってしまう。
FIETSがローテに入ってくれていたのが謎で、完全にタカユキ任せにはしないらしい。
このまま逃げ切られると結局タカユキでは勝てないので、どうするのかとユーマに聞いてみる。
「一回目のSPで争ったらばらけるでしょ。そこから追おう」と言ってきた。
スプリント賞は昨日の強さから考えるとマサルに勝てる奴はいないと思うので、下手すると争わない可能性があると僕は考えていて、逃げ切りのステージ優勝を目指す選手と利害が一致したら面倒。

PHOTO BY 加藤亘さん

「こっちは自分含めて三人ローテに入れるよ」と伝えて追走を開始。
SPの争いもあってか差は縮小し、無事に四回目のSP(61.2km)完了後のタイミングでキャッチ。
この時は鈴と松尾さんに本当に助けられた。感謝。結構足を使って追いついたので休憩。
21周完了五回目のSPを後ろの方で静観していたら、その周回の登りで集団が割れて15人程度の集団が先行する。
総合上位三人が軒並み乗っていなかったので、とりあえず様子を見ていたが、FIETSが三人も送り込んでいて、展開次第ではまずい気がした。
22周目の登りの手前でマサルが寄ってきて「(リーダー置いて)ブリッジしませんか?」と聞いてきたので「登り返しでユーマが集団に埋もれたタイミングで行こう」と伝える。
丁度目の前にユーマがいたので右に寄って、埋もれたところでアタック。
後ろにマサルがついているだろうけど気にせずに本気で行かないと無駄足になってしまう。
登りきってから平坦も飛ばし、ちょっとした下りに入るまで踏む。後ろを振り返るとマサルが辛そうに千切れている。その少し離れた後ろにユーマが見える。
チャンスだと思いそのままペースを上げる、前を行く集団との差は30秒くらい?人数が多さとレースも半分を過ぎていたからかペースが上がっていないように見えた。
56さんから「絶対追いつけ!」と檄が飛ぶ。自分だけ先頭に入ることができればFIETSが三人いる先頭の方が有利。タカユキあたりが総合の表彰台を狙いだしたら儲けもの。おきろチーム内抗争!
半周かけて集団の尻尾を掴む。少し休んでから先頭へ上がる。
FIETSが牽かないのは明白だったので「ステージ優勝したい人だけ前に出て牽いて!」と叫ぶ。
ホワイトジャージを守りたい樹や、ステージ優勝狙いのユキ、それとInnocentの選手が積極的にローテを回してくれる。
樹とユキは分かるけどInnocentはなんでだろ?と理由を聞くと「総合10位以内でゴールすれば全日本資格獲れる」と返答があった。
確か要項には「そのように申請中」と書いてあったはず。全日本の要項の出場資格は総合3位までだったような…。
と思ったけど、それ言っちゃうと牽いてくれなくなりそうなので「そっすね!頑張りましょう!」とニッコリ(ごめんなさい…)。
どうやら後ろの集団が結果的に追走を諦めたのはInnocentの集団を乱す動きのおかげらしく、僕的には感謝なのである。
この集団で逃げ切るだけで僕の総合優勝が確定するので、途中のボーナスタイムも取りには行くけど火傷はしない程度に。

PHOTO BY 福田賢一郎さん

余裕ぶっこいていると最後のボーナスタイム周回を先頭通過した松島さんがそのまま抜け出したのに気付かなかった。(というか「一人だから大丈夫」と高を括ってた)
あっという間に30秒差をつけられて、56さんが教えてくれなかったらそのまま行かせてしまっていたかもしれない。
ゴールのボーナスタイムが10秒つくことを考慮すると一時松島さんがバーチャルリーダーになった。
先頭で強く牽くようにするが自分一人ではどうにもならない。

PHOTO BY YOUKANさん

幸いにもステージ優勝狙いの選手がローテを回してくれたので徐々に詰まってきた。
15秒差になって最後のグラウンドに出る前の向かい風の直線。西谷さんと青木さんがペースを上げるのに必死でついていく。
集団から切れたら同タイム扱いにならないので何とか粘り、集団の5番手同タイムでゴール。

PHOTO BY YOUKANさん

後ろでかっこよくガッツポーズでゴールするつもりが、タイム差が接戦となって余裕がなくなった。
レースはゴールするまで集中力を切らしちゃいけないね。無事に17秒差で総合優勝。
残念レースで勝った大学一年時から数えて、この大会の参加自体は9回目。
いつもは皆いらないからと毛皮が自分に回ってきたが、やっと胸を張って自ら手に入れることができた。

PHOTO BY 福田賢一郎さん

マサルが逃げた時は正直一回諦めたけど、チームの働きやレースの展開に助けられ、そして単独ブリッジした自分の判断が手繰り寄せた総合優勝。
初日の勝利と合わせて充実の内容で自信がつきました。
サポート、応援してくれた監督はじめイナーメの皆さんと、即席であったが必死で牽いてくれたチームメイト、それと夜な夜なマッサージしてくれた嫁に感謝します。ありがとうございました。

PHOTO BY 福田賢一郎さん

今週末は美山にてTTとROADに参加します。京地鶏のすき焼きが僕らを待っている!

 

中村 龍太郎(なかむら りゅうたろう)

チーム:イナーメ信濃山形

2015年全日本選手権個人タイムトライアルチャンピオン。一般企業に勤めるフルタイムワーカーでありながら、Jプロツアーを走り1桁台の順位を量産。トラックレースにも参戦し、全日本オムニアムでは3位。毎週末のようにレースに参戦し、レース数はプロをも上回る。

主な成績

・2015年 全日本選手権 男子個人タイムトライアル優勝
・2015年 Mt.富士ヒルクライム優勝
・2016年 全日本選手権オムニアム3位
・2017年 JBCF Jプロツアー 前橋クリテリウム2位

使用機材

ロードバイク:Felt AR FRD

TTバイク:Felt DA1

トラックバイク:Felt Tk FRD

ヘルメット:BBB ティトノス

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