目次
New フローティングトリプルトライアングル開発ストーリー
GTプロダクトマネージャー:Patrick Keay
トリプルトライアングルが新しくなったきっかけは?
実はこのフローティングシートステーは工場の生産ミスから生まれました。
従来のトリプルトライアングルフレームを作る過程で、シートチューブ側の溶接を忘れたバイクを100台ほど誤って作ってしまいました。
当初はこれはまずいと言うことで回収に向けて動きましたが、販売国から安全上の問題が無ければそのまま売りたいという要請があったので、ラボでフローティングシートステーの耐久性テストを行いました。
溶接箇所が減っているので、耐久性は落ちると考えていましたが、元々GTはISO基準よりもはるかに厳しい試験をしているので、多少落ちてもクリアできる自信はありました。
結果は驚いたことに、間違えた作られたフローティングシートステーの方が耐久性が高かったのです。
破断するまで行うテストでは旧来のトリプルトライアングルはシートチューブ付近のシートステーが最も弱いポイントでしたが、そこへの応力集中が減少し、フレーム全体へ上手く分散されていることが分かりました。
耐久性試験を余裕でクリアしたことで、実際にそのまま販売されたのが2016年の出来事です。
スタイリッシュで乗り心地も抜群ということで、本格的な量産化に向けて、フローティングシートステーの研究を始めました。
今までのトリプルトライアングルから溶接を減らしただけではないんですか?
一見するとそれだけに見えますが、耐久性と乗り心地をさらに高めるために、パイプと溶接のチューニングを行なっています。
まず一番分かりやすいのがシートステーとトップチューブの溶接面積です。
見比べると旧来のトリプルトライアングルに対して、トップチューブとシートステーの角度を調節することで、新型は最大で1.5倍の溶接面積を確保しています。
これによって、自転車フレームで最も弱いシートステー溶接部の耐久性を高めています。
溶接部の強度を高めたことでシートステーの外径は旧来よりもさらに絞り込むことが可能になり、アルミフレームでありながら積極的にリアフレームをスイングさせることに成功しました。
シートステーの外径も旧来の楕円形から、よりしなりを生み出せる円形に変更しています。
リアのフレキシビリティーが上げると、どうしてもペダリングのレスポンスが落ちるので、BBを支えるダウンチューブに手を入れました。
ダウンチューブはバイクの背骨と呼ばれる最も重要な場所です。ダウンチューブを大径化し、さらに丸型から四角型にパイプ形状を変更しています。
丁度シートステーとは正反対のアプローチになります。ダウンチューブを太く、四角くすることで、フロント三角でしっかりペダリングを支えています。
フローティングの効果は?
リアフレームが最大で5mmスイングします。
従来のダイヤモンドフレームだと3mm程度なので、比率で見ると大きく向上しています。
実際に乗ってみるとその差は大きく、空気圧を一段階落としたぐらいの効果があります。
街乗りだと段差の当たりが非常にまろやかに、「ドンッ」から「とん」となります。
オフロードでは滑りやすい路面でもタイヤが跳ねにくいのでグイグイ進むことができます。
オンオフ両方ともお尻、ペダルへの衝撃を緩和してくれるので、ロングライドでも体力の消耗を抑えることができます。
日本のGTファンに一言お願いします。
ここまで読んでくれてありがとうございます。
GTのブランドメッセージはFun is serious business =本気で楽しく乗れるバイクを提供することです。 これからも自転車が乗ることが楽しくなるプロダクトを作っていきますので、応援お願いします。
フローティングトリプルトライアングルフレームになったアバランチェのインプレション記事はこちら。