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大会名:IRONMAN WORLD CHAMPIONSHIP
開催日:2022年10月8日(日)
場所:アメリカ合衆国ハワイ島
距離:スイム3.8㎞、バイク180㎞、ラン42.195㎞
結果:タイム11時間00分14秒 総合1452位(エイジM45-49:316位)
使用機材など
レースウェア:TYR I-STORMオリジナルワンピース
スイムゴーグル:TYR
ウェットスーツ:メイストーム
バイク:FELT IA FRD DISC
へルメット:BBB マエストロMIPS
サングラス:BBB フルビューHC PH
タイヤ:パナレーサーアジリスト
補給:KODA ジェル+エレクトロライトパウダー
GPS心拍計:GARMIN 945X
パワーメーター:GARMIN VECTOR3
マッサージオイル:WELEDAアルニカマッサージオイル
日焼け止め:WELEDA
2019年10月のIMマレーシアで獲得した2020年のIRONMAN WORLD CHAMPIONSHIPクオリファイがコロナの影響でスライドし、今年のチャレンジとなった。IRONMANの距離は当然2019年10月のIMマレーシア以来。ハワイでのIRONMAN WORLD CHAMPIONSHIPに至っては18歳―24歳区分時、2000年に出場して以来の約20年ぶりの出場。
ここ数年自身の取り巻く環境も変わり、スクール運営に加え、大会運営や育成事業にも関わり練習量としては最もやっていた時の半分以下。しかし、その中でこれまでの知識と経験を活かしてどれだけ納得できるパフォーマンスを発揮できるかをポイントとし、直近の練習やレースのデータから、スイム1時間、バイク6時間、ラン4時間の合計11時間位、条件が良ければ10時間後半が妥当なタイムと予想してレースに臨むことにした。
現地入りは、前週のとちぎ国体帯同などもあり、多くの日本人選手より少し遅い4日火曜夜出発で現地コナには4日火曜昼過ぎ入り。結果的にこの遅い現地入りが、多くの選手を悩ませたバイクや荷物の遅延などのトラブルに巻き込まれることもなく順調に現地入りができ、水、木、金と現地でのレジストなどのスケジュールをこなしつつ、調整をしてレース当日を迎えた。
レース当日は4時起床。朝食はお決まりのレトルトの赤飯とみそ汁。少し物足りない感じがしたのでバナナを追加。
5時前に出発し車で会場近くまで送ってもらい、5時半前に現地到着。バイク周りのセッティングとトランジションの導線の最終確認などを簡単に行い、7時20分のスタートまで待機。2日間での開催とは言え、この日だけでも2000人以上は選手がいるので、少しタイミングが遅れると一つ一つの物事が長蛇の列になり時間が予想以上にかかってしまうので早め早めの行動を心がけた。
先陣を切る6時25分の男子プロ選手のスタート前のアメリカ国歌斉唱のシーンは本当に感動した。
スイム3.8㎞ 1時間1分24秒 (450位)
コースは直線約1800mを行って帰ってくる1周回のコース。
今年は2日間に開催日が分かれ、かつエイジごとのスタート。私は6時25分の男子プロのスタートから約1時間後の45-49歳区分で7時20分のスタート。
とはいえ、このエイジだけでも600人近くいるので、無用なバトルは避けるために最前列ながら1番外側のラインを選んだ。
スタートしてしばらくは多少の他の選手との接触があったものの、国内のオリンピックディスタンスの大会よりは遥かにストレスのないスタート。恐らくこの後が長いので、どの選手も我先にというより、お互いにここでの無駄な接触による体力消耗は避けたい。そんな空気を感じながらのスイム。
大きなうねり等もなく海としては許容範囲のコンディション。レース中は心拍の確認が難しいので、練習で確認した感覚を頼りに無理のないペースで淡々と進める。すると、「あれ?もう折り返し?」と感じるくらいの余裕のある感覚であっという間に約1800m地点の折り返しを迎えた。
その後も淡々と泳ぎ、終盤は前にスタートしたエイジの選手が混在したものの、予想よりはるかに余裕をもってスイムを終えられた。上陸すると1時間1分。ほぼ予想通りの上陸タイムであった。
バイク180㎞ 5時間38分33秒(1754位)
バイクパートはスイム会場周りを少し周回し、ハヴィの折り返しを往復する180キロ。細かいカーブなどはなく直線基調ながら、獲得標高約1700mのアップダウン、強い日差し、高い気温、強い風など様々な要因が選手の体力を奪っていく、走力だけでなく、補給やペース配分など総合的な対策、対応力が求められるコース。
予め設定しておいたパワー値から大幅に外れないように走る。特に序盤は気分も高揚してペースが上がりがちで、かつ割とコースも登り基調なので、慎重にペースを進めていく。大柄な外人選手に次々と抜かれていくが、ここは我慢。スイム会場付近の迂回に近いルートからの上りを終え、ハイウェイに入ると向かい風基調。序盤から向かい風で、相変わらず外人選手に抜かれまくる。先が思いやられるが、設定範囲内のパワー値を守りながら淡々とペダリングしていく。約10分ごとの身体への水かけ、15分ごとの水分補給、45分ごとのエネルギー補給、このルーティーンを徹底していく。思ったより暑さは感じない。また序盤の向かい風も徐々に感じなくなってきた。ルーティーンを守ったせいか、暑さや風も予想より弱かったこともあってか、スイム同様思っていたより余裕を持った状態でハヴィの折り返しに到達。アベレージも予想通りの時速30~31㎞/hで進められている。
ここからはしばらく下り基調。折り返してすぐ、パワーメーターの電池が突然切れてパワーが表示されなくなるアクシデント。しかし、逆に数値に惑わされたマイナスな思考はなくなるのでこれまでの練習での感覚を頼りに進める。150キロ過ぎからは少し暑さが気になったが、身体への水かけをこころかげ、また今年は気象条件に恵まれたのか、後半は追い風基調の区間が多く、一気にアベレージスピードが上がる。また後半ペースダウンした選手を何人か抜く事ができ、5時間50分~6時間の予想を上回る5時間38分でバイクパートを終える事ができた。
ラン42.195㎞ 4時間09分09秒(1365位)
ランコースは一度海岸線沿いを往復し、その後ハイウェイに上がりバイクコース上を走る。日よけができる場所がなく、意外にアップダウンもあり、ひたすら先が見える、肉体的にも精神的にも試されるコース。
出だしでいきなり坂があるので慎重に上りつつ、身体の状態を確認していく。足は重いが、バイクまでのペースを抑えて走っていたせいか、気持ちは充実しており、思ったより良いペースで走れている。5分30秒~40秒想定の所を5分15~20秒で推移している。沿道からの応援も途切れる事がなく、気持ちよく走れている。
とはいえ、さすがにバイクに比べてスピードが遅く、日中に差し掛かった最も熱い時間帯なので、暑さが気になる。
約2.5キロごとにあるエイドステーションでは補給はもちろんだが、必ず水を被り、氷をもらって身体の冷却を忘れないようにした。海岸線沿いの道もアップダウンがそれなりにあり、早くもペースが落ちてくる。とはいえ、想定範囲内の5分30秒以内では走れている。約10キロほど続く海岸線沿いの道からハイウェイへの登りは急斜面でハイウェイに出ると微妙な登りが続く。
ハイウェイに出ると流石に応援は極端に少なくなるが、ひたすら続く直線に沢山の選手が見えるので、気持ちが途切れる事はないか、微妙な登りなのか、走り込み不足の影響かペースが落ち始める。5分40秒~50秒くらいまで落ち、加えてエイドで確実に補給をするために少し停まるので、平均スピードとしては想定よりやや遅いペースになりつつある。が、まずは確実にゴールにたどり着く事が大事なので、感覚(無駄な力み、冷却を忘れる事によるオーバーヒート、エネルギー不足に注意)を重視して、気持ちを切らさないようにひたすら歩を進める。中々エナジーラボへ左折が見えてこず、またエイドでの氷が切れてしまっている所もあり、20キロ付近からは精神的にきつい場面であった。またエナジーラボの折り返しも20年前に出場した時より、はるかに奥での折り返しになっており、折り返しがなかなか見えてこず、ここの区間も非常にきつい場面であったし、ペースはかなり落ちていたが、このころには各エイドで切れていた氷も復活して置いてあったし、30キロ過ぎからはしばらく微妙な下りが続くので、冷静に補給と冷却をしてゴールを目指した。35キロ地点付近では日差しも弱くなりはじめ、オーバーヒートの心配はなくなる。残り7キロ。計算していくと目標の11時間は行けそうだが、10時間台はかなりギリギリのライン。無理のない範囲で少しペースを上げて、5分40秒~30秒台で推移。残り2キロで10時間台は本当にギリギリだとわかり、コースも下り基調になっていたので、ラストスパートをかける。
ハイウェイからの下りを一気に駆け下り、アーリードライブのゴールまでの直線に出る。ものすごい応援と歓声の先に目指すべきゴールゲートが見える。沿道からのハイタッチには応えつつ、ふと時計に目をやると11時間。10時間台でのゴールは叶わなかったが、やれることはやった。その安堵感と歓声の余韻に浸りながら、予想の11時間ピッタリの11時間00分12秒で20年ぶりのゴールテープを切る事ができた。
まとめ
約20年ぶりの出場となったIRONMAN WORLD CHAMPIONSHIPは、20年前とは多少の変化はあれど、雰囲気、レベル、コース等々あらゆる面で、やはりCHAMPIONSHIPの名にふさわしく世界中のトライアスリートの誰もが憧れ、この地で走りたいと思わせてくれる場所でした。
自身のレースを振り返ってみると、勿論順位的には誇れる順位ではありませんし、最も練習の足りていなかったランでは予想より少し時間がかかってしまいましたが、全体を通じてかなり冷静にレースを進める事ができ、トータルではほぼ想定通りのタイムでゴールする事ができたので、これまでの経験値を存分に活かすことができ、現時点での力は余すことなく出す事ができたと感じております。
現状の力では再びCHAMPIONSHIPのクオリファイを獲得できるかは難しい所にいると思いますが、ここまでの過程で以前よりトレーニング量、質を求めなくてもポイントさえ押さえておけば、ある程度レースでも走る事ができる事がわかったので、その意味でも今回のチャレンジは有意義だったと感じます。
毎年このCHAMPIONSHIPに出場となると資金的にも、スケジュール的にも厳しいと思いますが、再びこの地に戻ってまた走ってみたいというのが今の正直な気持ちですので、ここまでの経験を糧にまたチャレンジしていきたいと思います。
今シーズンはこのレースをもって終了となります。コロナ下でなかなか大会が開催さない中も継続してサポートしていただき、また今シーズンを無事に終えられたこと、皆様のご支援、サポートがあっての上だと思っております。この場を借りまして改めて皆様に御礼申し上げます。
ありがとうございました。
飯田 忠司 選手
プロトライアスリート、コーチ
トライアスロンスクールI-STORM代表
日本トライアスロン連合指導者養成委員
埼玉県トライアスロン連合理事
<主な成績>
2011年 佐渡国際トライアスロンAタイプ 優勝
2012年 佐渡国際トライアスロンAタイプ 2位
2013年 五島長崎国際トライアスロン エリート2位
スクール情報(I-STORMサイト)
www.i-storm-tri.com/
オフィシャルサイト
www.iidatadashi.com