Felt AR Advanced 105 とは?
フェルトは航空力学を応用した本格的なエアロロードのパイオニアブランド。エアロロードのARシリーズは初代が2009年に登場し、現行モデルは第3世代です。第2世代は今でも通用するくらい優れたエアロ性能を持っていますが、最新の研究成果をフィードバックしてさらにエアロ性能を高めつつ、エアロロードの設計において難しい乗り心地やライドフィールと呼ばれるものを大きく改善しました。ARシリーズのフレームはフラッグシップのFRD Ultimateと、スタンダードグレードのAdvancedの2種類があります。下位グレードとは言っても、弱虫ペダルサイクリングチーム(当時)の川野選手がツアー・オブ・ジャパン2021東京ステージで優勝するなど、プロレベルで通用するフレームです。コンポーネントはシマノ105を採用したARシリーズのエントリーグレードをインプレします。
インプレライダー:坂バカスタッフ・コエサシ
174cm、58kg
クライマータイプ
過去の最高FTP280w程度(現在は不明…)
スターリーナイトって何色?
まず目につくのは独特のカラーリング。スターリーナイトというネーミングは、いや何色やねんとツッコミを入れたくなりますが、実際に目にすると、なるほどこれこそ星降る夜だねと思わせるブラックのようでグレーのようなダークネイビーにラメが輝くカラーです。特に明るい太陽のもとに照らされると非常に素敵です。
ヒルクライムもキモチイイ
少し試乗して登りでも良い感触を得たので、このバイクで富士ヒルクライムを走りました。エアロロードというと縦に固さがあって、ペダルが踏みづらい、すぐに疲れる、バイクが振りにくく立ち漕ぎしにくいというものも多いですが、ARの踏み心地はすごくナチュラル。バイクも軽く振れますし、何より気持ちいい踏み心地が素晴らしいです。私が普段乗っているオールラウンドロードのFelt FRとほとんど同じ感覚でペダリングすることができます。それはスプリントでも同様です。FRと比べて重量的には重いので富士ヒルのような長い登りになると不利な面はありますが、軽量ホイールに交換して、純正のエアロステムを軽量なノーマルステムに交換すれば、ヒルクライムにおける重量的なデメリットはかなり減ると思います。トルクがしっかりかかるペダリング感覚はFRよりも好きかもしれません。
エアロのメリットは明白
肝心のエアロですが、なんとなくというレベルではなく、明らかに体感できます。普通は高速や向かい風ではバイクが後ろに押し戻されるような抵抗を感じるのですが、ARは自分の体への抵抗は変わらないもののバイクだけ抵抗を受けずにスーッと流れていきます。付属するホイールはあまりエアロなものではありませんが、それでもノーマルロードにエアロなホイールを履かせた時くらいの効果を感じます。ゆくゆくはホイールをアップグレードさせれば、さらにARの性能を最大限発揮できるでしょう。ヒルクライムにおいても30キロくらいの速度が出るシーンはあるので、そこでアドバンテージになります。試しにカーボンディープホイールに交換していつもの平地練習をしたところ、StravaのPR(自己記録)を複数の区間で叩き出していたのには驚きました。35〜40キロで走っている時に+2キロくらい上乗せされる感覚です。
振動吸収性も優秀
身体に伝わる振動や突き上げ感がエアロロードなのに少ないということも感じました。めちゃくちゃ乗り心地が良いFRと比べると多少は振動がありますが、一般的なオールラウンドロードと同等レベルです。ARはしなりやすいシートポスト(リーフスプリングシートポスト)と、シートクランプ部に内蔵した樹脂パーツ(ダンピング・シートポストスリーブ)でサドル周りの振動吸収性を高める工夫をしてあります。しかしそれだけではなくフレーム全体として上質な乗り心地でカーボンの積層設計の優秀さを感じます。
スペックにも隙は無し
AR Advanced 105はARのラインナップでエントリーに位置するモデルですが、コンポーネント以外のハンドル、ステム、サドル、タイヤなどは上位モデルと同じパーツが付属するのがうれしいです。メインコンポのシマノ105は変速も正確ですし性能は申し分無し。特にカーボン製エアロハンドルが奢られている点は特筆に値します。ハンドルはエアロダイナミクスへの影響が大きいので、しっかりとしたエアロハンドルが付いてくるのはうれしいです。使い心地もドロップが浅くて下側のカーブも緩いので、楽にハンドル下側を持つことができます。スプリントやもがきの際はハンドル下側のレバーに近い部分を持つと調子良く、しっかり前傾したポジションでもがけるところも気に入りました。最初の1台としてはもちろん、2台目として選んでも満足できるバイクです。