私たちは、30年にもわたるこの分野における開発、レース、そして勝利の歴史を誇らしく思います。このワイルドで、魔訶不思議で、スリリングな歩みの数々は、Felt Bicyclesにとって歴史的なマイルストーンであると同時に、速いバイクを作り、最高のライドを楽しみ、レースの領域で自分たちとライダーを後押しするという夢を追い続けるための全く新しい道筋を示すものでもあります。これまでの歩みを振り返り、これからの展望を考えてみたいと思います。
レースから産まれ‐
創業者であるジム・フェルトは、モトクロスレースのトップブランドやアスリートのために、世界的なメカニックとして腕を磨きました。そんな彼に1980年代後半のころ、モトクロスチャンピオンであったジョニー・オマラが、自身のトレーニング用にトライアスロンバイクの製作を依頼したのが始まりです。自身もトライアスロン選手でもあったフェルトは、高性能なレースバイクの製作を任されることになりました。
しかしながらFELT Bicyclesの真の起源は、1991年に彼が制作した、ライダーのポジションを最適化し、エアロダイナミクスを向上させるという、彼が夢見た革新的なデザインの数々を実用化したバイクにあります。南カリフォルニアの自宅ガレージで作業をしていたフェルトは、コナ・トライアスロンの世界チャンピオンに3度輝いたポーラ・ニュービー・フレーザーのために革命的な自転車を製作しました。ステルス性の高いマットブラック仕上げの「B2」と名付けられたこのバイクは、軽量かつ高い剛性を誇る先進のアルミニウム構造を採用し、ペダリングの効率を最大限に高めています。ライダーは112マイルを走るのに十分な快適なポジションをとり、その直後のマラソンのためにエネルギーを節約しながら、エアロダイナミクスの効率も最大限に高めることができました。
これは自転車レースの特定種目でアスリートのスピードを最大限に引き出す、当時として画期的なアプローチであり、それ以来、私たちのバイクはすべてこの哲学に基づいて作られています。ポーラ・ニュービー・フレーザーは、このフェルトB2に乗り、その年のコナ大会で4度目のトライアスロン世界チャンピオンに輝き、このスポーツの歴史に残る偉大な選手の一人としてその名を刻みました。彼女の勝利は、フェルトのデザインコンセプトを証明し、その後まもなくFELT Bicyclesのブランド立ち上げへの道を開くこととなります。
カリフォルニアで育まれた‐
実用的なエンジニアリング、最高の素材、そしてマーケティング的な無意味さを排除し、無数のサイクリストやトライアスリートのライディング体験を高めるためにデザインされた高性能マシンを提供するメーカーとして、フェルト自転車はその後数十年にわたり、その名声を高めていきました。この成功にもかかわらず、FELT Bicyclesは南カリフォルニアで研究開発に投資し続ける比較的小さな会社であり続け、私たちの基本理念と、私たちが奉仕する情熱的なライダーのために尽力しています。一年中晴天に恵まれ、自然のままのライディングコンディションと、社内のエンジニアリング、研究開発、プロトタイピングにより、毎日新しいアイデアを試し、来るべきシーズンに向けて最新作のバイクを形作っているのです。私たちは、決して簡単な方法ではなく、正しい方法で物事を進めてきました。ライダーのニーズを第一に考え、最高のサイクリング体験を創造します。
30年の勝利の歴史
FELT Bicyclesでは過去30年以上にわたり、世界トップクラスのサイクリストやトライアスリートとパートナーシップを組み、最高峰のレースで勝利を収め、自転車ならではの歓びを提供できるバイクを開発することができたと自負しています。FELTのルーツであるトライアスロンでは、ミシェリー・ジョーンズ、ミリンダ・”リニー”・カーフレー、ダニエラ・リフをコナ世界選手権で優勝させるなど、数多くの選手を後押ししてきました。ダニエラ・リフと彼女のFELT IAバイクは、現在でも女子部門の総合記録とバイクコース記録を保持しています。2008年の北京大会では、トライアスロン競技における伝説の選手ヤン・フロデノ、女子ではエマ・スノーシルがそれぞれ金メダルを獲得し、両選手ともFELTのバイクに乗っていました。
ロードレースでは、2000年代後半にガーミン・スリップストリーム・チームと提携し、ジロ・デ・イタリアでチームタイムトライアル優勝、ジロとツール・ド・フランスで総合5位以内を獲得することに貢献しました。2010年代初頭には、アルゴス・シマノサイクリングチームとそのスタースプリンターであるマルセル・キッテルとパートナーシップを結び、彼は有名なFELT “F”シリーズ・レースバイクで2013年のツール・ド・フランスで4ステージ優勝を果たしました。キッテルのチームメイトであるジョン・デゲンコルブは、その前年の2012年ブエルタ・ア・エスパーニャで5ステージ優勝しています。
女子ロードレースでは、偉大なるマーラ・アボットがFELTのバイクに乗って2013年ジロ・デ・イタリア・ドンネ総合優勝を果たしました。前人未到のオリンピック3大会連続タイムトライアル金メダル獲得者である伝説のクリスティン・アームストロングは、そのうちの2大会をFeltのタイムトライアルバイクDAで獲得しました。2016年、当時Twenty24 Pro Cyclingに所属していたクロエ・ダイガートは、UCIジュニア世界選手権ロードレースとタイムトライアルの両方で、それぞれFELT FとDAバイクに乗って優勝を果たしています。
ベロドロームでも、ダイガートは女子アメリカチームパシュートチームの重要なメンバーとして、複数のレインボージャージを獲得し、2つのメダルを獲得しています。最近では、この夏の東京大会で、ジェニファー・バレンテがFELT Tk FRDトラックバイクに乗り、オムニアム競技で金メダルを獲得しています。また、ベロドローム競技の世界チャンピオンであるサラ・ハマーや、2010年の個人パシュートでレインボージャージを獲得したテイラー・フィニーとのパートナーシップにより、私たちのトラック競技のルーツはさらに深いものになっています。
シクロクロスの世界では、ベルギーのスーパースター、ワウト・ヴァン・アールトが、2017年と2018年の2回、Fxレースバイクに乗って、輝かしい3度の世界チャンピオンを獲得しています。その他、ダートでは、スイスのマウンテンバイクのスター、トーマス・リッチャーがFELTのバイクに乗って2011年のXC U23世界選手権を制覇しました。また、2017年には、スイスのマウンテンバイク界の星、ニコラ・ロルバッハがロクダジュールで見事な勝利を収めました。同様に、現在のマウンテンバイク界のセンセーション、シーナ・フレイも2017年にXC U23イベントでレインボージャージをFELTで獲得しています。
もちろん、これらはトッププロランクからのハイライトに過ぎません。30年間、世界中のアマチュアレーサーたちが積み重ねてきた優勝、表彰台、そして完走をFELT Bicycles は我が事であるように祝福します。もしあなたがフェルトバイクでレースをしていたなら、私たちはあなたに感謝し、あなたは常にFELT Familyの一員です。
前途洋々
先日、2022年の夜明けを前に、FELT Bicyclesの歴史上で最も重要な出来事を発表しました。KTM、Husqvarna、GASGASといった電動二輪車ブランドで大きな成功を収めているPIERER Mobility AGがFELT Bicyclesを買収し、人力による二輪レースマシンの世界へ大胆に踏み出しました。PIERER Mobility AGを構成する各ブランドは、FELT Bicyclesと同様に、何よりもレースに根ざしています。それが彼らの原動力であり、私たちの新しいパートナーシップをスリリングなものにしているのです。PIERERのサポートにより、FELT Bicyclesは、販売店やその他のパートナーのビジネスを強化し、ライダーのサイクリング体験を向上させるために、これまで以上に力を発揮することでしょう。
この30年間で、私たちが学んだことは、常に前進し続けるということです。この先、どんな未来が待っているのか、私たちは待ちきれません。そして、この先は素晴らしい日々になることをお約束します。
記事原文(英字):FELT BICYCLES CELEBRATES 30TH ANNIVERSARY WITH A LOOK TOWARDS THE FUTURE