Felt「FR1」インプレ / ただ硬いだけではない絶妙な反発。乗り手の力を引き出してくれるレーシングバイク

中学生からFelt一筋。3代目のバイクとして「FR1」を選択

2代目の「AR1」。2018年ベルギーのレースで

中学生の頃にご縁があり、完成車25万円を切る、Felt AR5に乗り始めました。その際は、エアロフレームの格好良さとコストパフォーマンスが決め手でした。その後、フレームをAR1に乗り換えて国内外のレースに参戦してきました。ARシリーズを2台乗り継ぎ、そのエアロ性能やFelt特有の扱いやすい走り心地はとても気に入っています。

そして、2019年シーズンに向けてフレームの変更を考えていたところ、FRシリーズの路面追従性や快適性が高い事に惹かれました。欧州と日本国内でのあらゆるレースに使用する機材として、様々な状況に対応できるレーシングバイクであるFR1を選択しました。

 

ただ硬いだけではない絶妙な反発。乗り手の力を引き出してくれるレーシングバイク

FR1は、平坦も登りも下りも風向きに関わらず、乗り手の力を引き出してくれるレーシングバイクという印象を持ちました。

日本のレースにおいて勝負所になるのは、登り区間とコーナーの立ち上がりが比較的多いと感じます。その2つに特に強いバイクであると感じました。

バイク全体を通して、適度な硬さはありますが、ただ硬いだけではありません。フレームの場所によって、ねじれ方の反発が微妙に異なり、それが絶妙であると感じています。具体的には、リアブレーキをシートステー部分から排除してある事により、シートステー部分の振動吸収性と、反発具合も気持ちよくなっています。

また、どんな踏み方をしても推進力に変えてくれるタイプであると思います。長距離のハードなレースや練習の後半で脚が無くなっても、フレームが脚の筋肉にプラスするようなバネを与えてくれるため、完全に踏めなくなって止まってしまう事は起こりにくく、粘りが利きます。

さらに、そこから生み出される振動吸収性、路面追従性は、路面の少し荒れているところでも大きく発揮されていきます。軽くて硬いのに重厚感も感じられ、少し丁寧に扱ってあげれば縦にはね上げられることもなく、推進力への変換がなされます。

BB386を採用しているからか、バイクの下は剛性がしっかりとあり、重心が低めになっているような印象を受けました。

タイヤの太さも、28Cまで使えるのは、石畳等の荒れた路面を競技で走ることにおいても、快適にサイクリングを楽しむことにおいても重要な要素です。

最後に、バイクを選択する時には、見た目のカッコよさは譲れません!私は、Feltのハイエンドバイク特有のカーボン柄がむき出しになっているという理由で、マットテクストリームを選択しました。変に目立つことなく、洗練されたフォルムも魅力的です。そこに着けられた控えめなFeltロゴは、前面に押し出されず、角度によって見えるのもカッコいいポイント。高級感のあるカラーリングが施されていると思います。

 

バネの様に反発し、グインと加速する

まず1番に衝撃を受けたのは、立ち上がりの加速感です。

踏み込んだ力に対して、フレーム全体がバネの様に反発して、グインと推進力に変えてくれます。

ストレートなフロントフォークのカーボンは軽量な鋭さがあり、力を逃さず踏み込んだ以上の推進力を感じることが出来ました。

フロントフォークがUHC Ultimate+TeXtremeカーボンモノコックで、フレーム全体がAdvanced+TeXtremeカーボンを使用している恩恵だと思います。

Felt FR1の2種類のカーボンを部位によって使い分けるのは、とても心地よい乗り味を与えてくれています。

さらにその加速から、巡行に切り替えていく際もスムーズで、クリテリウムレースや、アタックを多くする選手の武器になってくれると思います。

 

踏み方のストライクゾーンが広い

Felt FR1に乗り換えてから、私は明らかにダンシングの比率が増加しました。特に登りでは、休みつつ走れるようになりました。

自転車を楽に速く進めるためには、フレームの特徴を上手く生かして推進力に変えてあげる必要があると思いますが、Felt FR1はそのストライクゾーンが凄く広いと感じます。縦に踏めば大きなねじれで反発してくれますし、回転でコンパクトな踏み方をすれば細かく反応が返ってくるイメージです。

それが、レースにおいては脚を温存する事にもつながり、勝負所での爆発力にも繋がってきます。

このストライクゾーンが広いのは、よくFelt FRシリーズが「普通」と表現される所以であると思います。「普通」というのは、どんな乗り手の力でも引き出してくれる能力があるという事で、特筆するべき点だと思います。

 

FR1に乗り換えて抜群に登りが走れるようになった

フレームを乗り換えてから、僕の中で登りが抜群に走れるようになってきました。

2月にチームの合宿が行われましたが、昨年以上に良く登れるようになっていたのは、間違いなくフレームのおかげだと思っています。

乗る前はARと比べて平坦で遅くなることも少し考えていましたが、むしろ進ませ方がたくさんあるので、自分にフィットしています。

使い方を変えながら行けるので、筋肉も順番に休めることも出来ますし、とても扱いやすいレーシングバイクです。

 

ワイヤーが外装式

これは一見デメリットに感じる方もいるかと思いますが、メンテナンス性の高さは重要です。

元来の目的は、軽量化とフレームの剛性を高くする事のようですが、一部のトッププロ選手以外は、メカニックが常時いる環境ではないと思います。

何か異変を感じた時に自分で調整がしやすいという事は、事故を未然に防ぐ点においても、非常に大切なポイントです。当然、不安な方は身近なショップさんにお世話になるのが一番ですが、特にレースに出場されている方にとっては重要だと思います。

 

ARシリーズとの違いは?

今まで乗っていたARでは、パワーを推進力に変えるために縦に踏む事が重要で、踏み方が限られているなと感じていました。フレームの反発を上手く生かせる領域は当然あるものの、そのストライクゾーンがとても狭いような感覚を持っていました。また、脚が終わった瞬間に進まなくなるイメージです。

もちろんARは、エアロ性能があり、エアロバイクの中では扱いやすい部類のフレームである感覚もありますし、不満自体は全く無くレースを走ることが出来ました。僕の力を継続的に高い領域で推進力に変えてくれました。

それに対して、FR1は踏み方を選ばずに推進力に変えてくれていると感じています。「普通」というとプロモーション的にはあまりよろしくないのかもしれませんが、これは誰にでも合って、扱いやすい素晴しい事だと感じます。

 

絶対に選んで後悔することないレースバイク

レースを走る全ての方にオススメです。

今まで書いてきた通り、どんな局面でもレースに対応できる能力を兼ね備えているバイクだと思います。

ダンシングもしやすく、ハイトの高いホイールを履かせてあげれば一気に平坦マシーンになります。路面状況に応じてタイヤ幅を選択できるつくりになっているので、本当にマルチに活躍してくれるはずです。レース志向の方は、絶対に後悔しないバイクだと思います。

だからと言って、レースに出ない方にもフレームが硬すぎるという事はなく、ホイールやタイヤの選択次第で優しい乗り心地になると思います。

ツーリング目的の方には、Feltにはもっと優しく乗り心地のいい、コストパフォーマンスも優れているバイクが沢山ラインナップされているので当然そちらが主な選択肢になると思います。

ただ、それでもプロ選手が使うような走りを得たい方には、他社の同グレードと比較すると抜群に手の届きやすいFR1をおススメします!

 

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