美山TT&ロード2018 中村龍太郎

三年連続になる美山への参加。朝4時に嫁に「米を持って帰らない限り敷居を跨ぐことは許さん」と言われ、涙ながらに家を出て旅のお供を回収して到着は12時。
飯食う時間無いなぁと思っていたら今年からスタート/ゴール「ムラガーレ」というオープンテラスの食堂が出来ていた。
これはありがたい。宇都宮でオムライスは暫くいらないなと思っていたのに頼んでしまった。

PHOTO BY KENSAKU SAKAI

TTの方は二連覇中で三連覇がかかっていたが今回は高校生や学連の大学生がエントリーしていて一筋縄ではいかないと思っていた。
美山のTTは緩やかな登り2kmと折り返して下り2kmの4kmを3周の12kmなので、下りで休めることを考えると自分向き。
今週は風呂上りにストレッチを入念にして、水曜日にローラーで1時間回したので金曜日に腸腰筋の痛みが出ることは無かったが
8時間の長距離運転で(ユキに途中で変わってもらったけど)会場について歩くと痛くなってきた。
結局ローラーを持って行って日陰に設置したのに、右足外の四頭筋が痛くなってアップを断念。
ストレッチをしてスタートへ備え一発本番。立命館の子がでかい声で応援してくれて嬉しかった。ありがとう。
スタートしてとりあえず踏むことだけを考えたら痛みが引いてきて、違和感くらいになった。
行きは追い風で帰りは向かい風なので、折り返して休もうと思ったけど、意外に下りも踏まないと進まなかった。
結果ずっと踏みっぱなしになり、登りだけ頑張ればいいという作戦は破たん。

PHOTO BY KENSAKU SAKAI

二周目に入って後ろからスタートしたばかりの選手に抜かれるも気にせず、出し切らないペースで淡々と走る。
結局その選手は三周目の登りでキャッチして後は出し切るだけ。とはいえ甘えが出てしまい、折り返してからの下りで緩めてしまった。反省。
そのままゴールしたが順位は三位で、表彰台には乗れたけど米は獲れず。
優勝は北桑田の高校生、二位が京産の清水君で若者に負けてしまった…。
自分が昨年に出したタイムから15秒ほど遅かったので、過去の自分も含めて来年リベンジしたい。

PHOTO BY KENSAKU SAKAI

その後はTTT。例年トロフェバラッキに参加していたのだが、今年から3~4名で出れるということで田渕を誘って三人でエントリー。
全員TTバイクであったが田渕は後輪がディスクじゃなくて、しかもフロントギアが53だったので、プランとしては中村田渕で登り、中村北野で下り、という感じ。
TTTは四周で三人目のタイムで計測されるので当然一人も落とせない。
三人並んだことを確認してから踏み始める。40km/hを下回らないように走って往路半分を超えた勾配の緩やかな地点でユキに交代。
その後ユキが折り返し地点が見えるコーナーで田渕に交代。復路に入る。
下りは55ギアをぶん回して60km/h弱まで上げる。橋を越えてからの左コーナーでユキに交代する。田渕の顔を見るとまだ余裕がありそう。
正直当初のプランだったら自分→田渕→ユキの順番だったのだけど三周目から田渕のペースが遅くなったので、結果的にオーライ。

PHOTO BY KENSAKU SAKAI

田渕は慣れていなくてDHポジションをとれないらしく、ブルホーンを持って、体が上がった状態で踏み始めた。登りは向かい風だったのでガクンと落ちたのですぐに交代する。三周目の登りきりで田渕が千切れそうになっていたのでペースを落とす。
最終周は麓から緩斜面までの気合いの一本びき。そこから下りは惰性で回してゴール。
結果的には4人チームの京産に1分。北桑田に3秒負けて3位。4人の方がそりゃ有利だけど、結構差がついてしまった。
関東方面から四人揃えてTTバイク積んで遠征するのは割と不可能なので、来年はトロフェバラッキかなぁ。もしくは嫁ちゃんと出るか…

PHOTO BY KENSAKU SAKAI

毎年美山のTTでしかお目にかかれない皆さんと表彰式でワイワイやるのは楽しくて、年に一度の恒例行事と化している。毎年ありがとうございます。来年も美山で会いましょう!
宿はハイマートユースホステル美山で、かやぶき屋根の雰囲気最高な場所。残念ながらお目当ての地鶏のすき焼きが無いそうなので夕食のみ外で鶏すき。
黒熊さんの甘い誘いで地鶏を追加したことで、想像以上に食べ過ぎた。田渕は帰りの宿までの運転を買って出た(自分で運転しないとキラキラが出ちゃうくらいキツカッタそう)
宿に戻ってきて入念なストレッチとイナーメリカバリーオイルでマッサージ。加えてSPORT EPAとWINZONEをATHLETUNEの青で流しこむ。
恋バナに話を咲かせようと思ったのに速攻で寝てしまった。そしてまた寝言を言ってしまったようだ。
次の日の朝食で人生で一番旨いだし巻き卵を宿で食べた。地元の食材を使った素朴な朝食であったが、ご飯も美味しくて三杯もお代わりしてしまった(昨日の鶏はどこへ)
「ごはんお替り自由だけど茶碗にご飯粒は残さんといてな」という肝っ玉母ちゃんの女将さんと気が弱く優しそうな旦那さんの二人でやっている良いお宿でした。

PHOTO BY KENSAKU SAKAI

会場へ移動し受付と共ににSUNVOLTの橋本社長にご挨拶。スタートまで時間があるのでブラブラ。ブースが何軒か出ていてその中の一つに目が留まった。
元々自転車柄のものに目が無い私。八入窯さんのテントで見たお皿はドストライクでした。財務大臣にすぐに連絡を取って許可をいただき購入(右)。

良い買い物をしたと満足したまま上機嫌で準備。シード選手に含まれているようなので並ばなくて済むからありがたい。
先頭の兼松さんの横でレーススタート。すぐに先導車の後ろにつく。徐々にペースを上げてそれについてカーペーサー開始。
流石にきつくなって千切れて後ろを見ると皆が冷ややかな目で見てくる。アタックしたのよ!とそのまま逃げる。しばらくすると孫崎がぶち抜いていったので合流する。
しかしすぐに吸収。先頭でローテに入り、集団のまま最初の九鬼坂へ。
一周目はフレッシュな学連選手が行くだろうと思っていたので山岳賞を獲りに行くのは考えていなかった。
案の定フレッシュな学生の戦いを遠巻きに見ながら登りきる。

PHOTO BY 宇野剛史

そのタイミングで逃げ集団ができたようで、先行する集団をチラチラ見ながら平坦をこなす。
隣にトヨカツさんが来て「ペースこんなもん?」と言ってきたので「さっすがトヨカツパイセン余裕なんすねっ」と言うと「逆や!」と返ってくるくらいの速いペースだったので、逃げは少なくとも次の登りでの動きで捕まると思っていた。
最終的に三人に落ち着いた先頭に向かって高岡さんの永遠のライバル井上さんが単独で追走し始めた。そのまま20秒差くらいで九鬼坂に入る。ここでシマノの秋田が腰を上げる。
丁度後ろにいたので離されないようにつく。結構きつかったけど自分の調子は良さそうだ。逃げ集団を吸収し(シエルボ安田、中井(弟)、井上さんはそのまま先頭にいたみたい)、3番手で頂上をクリア。
下った先で後ろを見てみると10人ほどで抜け出している。しかも「あ、これは決まったな」と即思える面子。
逃げメンバーは12人↓
ブラ―ゼン下島、柴田、シマノ秋田、バルバ寺崎、早稲田孫崎、明治野本、京産中井、VC松木さん、シエルボ安田、Magellan井上さん、ミルキーウェイ??さん

PHOTO BY トヨカナさん

45km/hで綺麗に回る逃げ集団に後ろから15秒差まで順天の石原が迫ったらいいけど追いつけなかったみたい。
40秒ほどの差になった後、結果的に1分差以上がつく。人数を揃えていた京産が牽かなくなったら後ろの集団は牽くチームがいなくなるから、これは予想通り。
三周目の九鬼坂に入る。逃げ集団で避けたいのは山岳賞争いでバチバチやること。とはいえ普通にローテしていると、山頂が近くなったら欲が出てくるのが人間。
昨日のTTで勝てなかったので米を持って帰ることができない僕は、何としても山岳賞がほしかった。
なので導きだした答えは「麓から一本牽き」。
Wとかは出ていないけど絶妙に前に出れないペースで踏んで「絶対お米を獲るんだ」という気配を背中から発しながら走る2分間。
皆意図を感じていたようで、無事に先頭通過させてくれた。三周目という、まだ逃げができたてで「無駄な争いは避けたい」というみんなの考えも一致したと思う。
次の周回は「僕も!」とばかりに孫崎が麓から一本牽き。

PHOTO BY KENSAKU SAKAI

頂上手前で井上さんが僕に「毎周回山岳賞あるの?」と聞いてきたので「はい(あ、これは次のライスハンターだ)」と答える。
しかし次の周回は5周目なのでいよいよ逃げメンバーが許してくれなくなった。井上さんの中盤までの牽きは野本に打ち崩され、ライスハンター制度はこれにて終了。
僕は一回一番手で通過していたのでそれ以降は二番手を走るコバンザメ戦法。これで三回二番手通過できた。
6周目の登りもお米狙いのアタックはあるけど、逃げようとするほどではなく。しかしその後のヘアピンで落車が起きて人数が減った。
残ったメンバーは8人↓
ブラ―ゼン下島、シマノ秋田、バルバ寺崎、早稲田孫崎、明治野本、京産中井、シエルボ安田。
自分一人で抜け出す足は無いので誰かが行ったら一緒に行こうと思ったけど、みんな同じ考えなのか、結局最後の九鬼坂の麓までローテを回す。
自分が先頭で九鬼坂に入る。すぐに秋田が並んできて先頭に。中盤まで秋田が先頭固定だったが、安田の鋭いアタックでペースが上がる。
秋田の後ろについていた自分は若干離されながらも追いつく。すると追いつきざまに野本がアタック。
ただこれはあまりキレが無くて秋田に早々に捕まる。野本先頭のまま頂上手前のストレートに入り、秋田が野本をパス。
自分も追い込んだけど秋田は抜けず二番手通過(米!)
三人で抜け出した形になったので野本が「行きましょう!」と言うが、秋田がいたのとかなり疲れていたので休みたくてお断り。
下りに入り後ろが全員追いついてくる。牽制に入り、下りなのに40km/hを下回るペースで下る。
ガソリンスタンドの交差点の前に秋田が20m位離れた状態で入る。
「あーなんかいきそうだなぁ」と悠長なこと考えていると秋田がロングスパート。
それを察知した自分は左から踏んで追いかける。一足先に踏んでいた下島が右から来たので甘えが出てしまう。下島の後ろについて「つれてって」体制。
次のコーナーまで肘をクイクイやられるが頭を振る。コーナー抜けた後にまえに出たが秋田はむしろ離れてしまって優勝は難しそう。
上位を狙うならこのままは厳しいので40km/hで後ろの出方を待つ。野本が左から抜いてきたので後ろについてタイミングを待つ。
寺崎や孫崎が出てきたタイミングで自分もかける。60km/hが出ていたが最後まで差し切れず。総合で5位でフィニッシュ。

PHOTO BY KENSAKU SAKAI

初めて先頭集団でゴールしたが、逃げのメンバーもよかったし非常に楽しかった。登り切りで秋田と野本と三人でそのままフィニッシュまでいければよかったが多分勝てなかっただろうな。
最後の牽制からの秋田の抜けだしは行きそうな予感はあったけど、逃してしまうというロードレース特有の駆け引きがあった。

PHOTO BY KENSAKU SAKAI

無事にお米も持って帰れたし、賞金はちょうど購入したお皿代と同じだったし、調子は良さそうなので熊野も引き続き頑張ってきます。

 

中村 龍太郎(なかむら りゅうたろう)

チーム:イナーメ信濃山形

2015年全日本選手権個人タイムトライアルチャンピオン。一般企業に勤めるフルタイムワーカーでありながら、Jプロツアーを走り1桁台の順位を量産。トラックレースにも参戦し、全日本オムニアムでは3位。毎週末のようにレースに参戦し、レース数はプロをも上回る。

主な成績

・2015年 全日本選手権 男子個人タイムトライアル優勝
・2015年 Mt.富士ヒルクライム優勝
・2016年 全日本選手権オムニアム3位
・2017年 JBCF Jプロツアー 前橋クリテリウム2位

使用機材

ロードバイク:Felt AR FRD

TTバイク:Felt DA1

トラックバイク:Felt Tk FRD

ヘルメット:BBB ティトノス

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