UCIマウンテンバイクワールドカップDHの第3戦は再びオーストリアのレオガングで開催された。ザルツブルクの山々に囲まれたレオガングは、ワールドカップの定番コースであり、多くの物語を生んでいる。
コースウォークの日は、明るい日差しと乾いた路面で迎えることができたが、状況は一変する。
一晩中降り続いた大雨で、コースは根っこや穴、わだちなど、刻々と変化する戦場と化し、試走初日は戸惑いながらの練習となった。森の中は相変わらずの難所で、バイクとライダー双方の技量が問われる。
そして予選の日を迎えた。ドーバルAMコメンサルチームは、女子エリートのカミーユ・バランシュと男子エリートのブノワ・クーランジュの両選手が予選でトップに立ち、ブノワのキャリアの中で初めて、リザルトの一番上に名前を記録することができた。
ジュニアカテゴリーでは、FMDのフィービー・ゲイルが今季初優勝、ザ・ユニオンのレイキー・スティーブンス・マクナブが3位入賞で今季初表彰台を獲得した。予選1位通過のジャクソン・ゴールドストーンは、上部セクションで転倒し、2位でフィニッシュ。
カミーユ・バランシュ、盤石の走りで3連勝! ドライになったコースで完璧ともいえるライディングを披露し、今季2勝目、そしてレオガングで3勝目を挙げた。カミーユは現在、ライバルに100点以上の差をつけ、ランキング総合トップに立っている。
ローリー・グリーンランドは、フォート・ウィリアムの勢いをそのままレオガングに持ち込み、スペシャルな走りを見せつけようとしていた。最初の計測地点のライトが最速を示す緑色に点滅。なんと3秒の差をつけたとき、フィニッシュラインにいたサンタクルズ・シンジケートチームのクルーは驚きを隠せなかった。グリーンランドは終始完璧に見えたがその1分後、第2計測地点のライトが赤く点滅し、タイム差を失ったことを示した。後に第2セクターのローラーセクションで転倒したことが判明した。しかし、ローリーの時代が来るのは間違いない。
アサートン・レーシングのアンドレアス・コルブは、レオガングで肘の故障から復帰し、地元オーストリアで自身初の表彰台となる5位入賞を果たした。
スペイン国内選手権で優勝したアンヘル・スアレスは、トップクラスの選手達よりも速いタイムを叩き出す素晴らしい走りを見せ、ホットシートに座り続け、最終的に3位となった。
近年、表彰台から遠ざかっていたダニー・ハートは、今回は2位でフィニッシュし、総合ランキング3位まで浮上。
予選でトップに立ち、最終走者となったブノワ・クーランジュがワールドカップで初優勝を飾れるかどうか、フィニッシュ地点のアリーナの観客たちは期待に胸を膨らませていた。
彼が出走してから計測地点のライトは緑色に輝き、彼の夢は実現したかのように思えた。森の中で激しくプッシュしていたが、単純なミスが彼の計画を狂わせ、クラッシュがその期待に終わりをもたらした。ブノワが速かったことは誰も異論は無い。そしてこの週末に、彼は表彰台に上がれる実力に留まらず、優勝するにも足りる実力を持っていることを証明したのだ。
今年もレオガングが終わり、7/8から開催されるレンツァーハイデ・ワールドカップはすぐにやってくる。とある選手はクランクワークスへ挑み、別の選手はEWSへ挑み、そしていつもの練習コースに戻る選手も、またこの場に戻ってくるだろう。