坂バカスタッフです。2021年に日本に上陸したサイクリングシューズブランドFLR。既にハイエンドロードモデルF-XX Ⅱのサンプルを1000km試してマイベストサイクリングシューズの位置に輝きました。
今回はニットアッパー版のハイエンドモデル F-XX KNITを購入しましたのでインプレします。
目次
ニット製ロードバイクシューズ FLR F-XX KNIT
ツール・ド・フランスを始めとした世界トップカテゴリーに参戦するUCIワールドチームのライダーも使用するハイエンドモデルF-XX Ⅱ。そのアッパーをニット素材にした新モデルです。アッパー以外で異なる点はクロージャーで、F-XX Ⅱが2ダイヤルに対して、F-XX KNITは1ダイヤルです。そして価格は税込27,280円(2021年現在)。プロレーサーが使うハイエンドモデルとしては非常に手に入れやすい価格です。
余計なラインやロゴがほとんど無い非常にクリーンなデザイン。よく見るとかかと外側にFLRロゴ、かかと中央にリフレクターが配されています。
カラー展開はブラックもあります。
軽さと剛性によってとにかくペダリングが軽い
実際に走った感覚はノーマルモデルと変わりありません。とにかくペダリングが軽く感じます。やはり常に動いているシューズの軽さはペダリングの軽さに直結します。他社の軽量シューズにも言えることですが、一度使うと一般的な重量のシューズは使う気になりません。
またカーボンソールの剛性も高くトルクを掛けてもたわむ感じはありません。他社のハイエンドモデルと比較しても同等の剛性に感じます。ペダリングの軽さは感じれど、ガチガチで疲れるという感じは無く、良いフィーリングです。
ニットアッパーのしなやかさでストレス皆無かつパワーを逃がさない
ノーマルモデルもしなやかなフィット感が印象的でしたがニットモデルはさらにしなやかです。局所的に当たる部分が無いので履いていて非常に気持ちが良いです。私は甲が低いのでクロージャーを締めた時に変なしわが出やすいのですが、このシューズではそれがまったくありません。幅広い足型にフィットするでしょう。
しなやかでもパワーをロスするような伸びは感じません。むしろしなやかさ故に足の形にぴったりフィットして無駄な足の遊びが無く、ペダリングのパワーが逃げません。
ヒールもノーマルモデルと同じく上下方向のカーブで踵を包み込む形状が最高です。かかとを浮かせずしっかりホールドし、シューズとの一体感があります。
ノーマルモデルと違いヒール内側には滑り止めがありませんが、そもそもヒールの形状が良いのであまり差は感じません。
シューズによっては当たって痛いということが良くあるタンの上部は柔らかい素材に切り替えられています。
幅広の足に特におすすめ
FLRは幅広の足に対応するラストが特徴ですが、ニットアッパーのしなやかさでさらにその特徴が引き立ちます。私はそこまで幅広なわけではありませんが、それでも小指のスペースに余裕が出来たことで無意識に感じていたストレスが全く無くなり、最高に気持ちよくペダリングが出来るようになりました。
風が抜けて気持ち良く、濡れてもすぐ乾く
ニットのメリットには通気性の高さもあります。従来のベンチレーションは穴が開いている部分からしか空気が入ってきませんでしたが、ニットは甲全面から空気が入ってくる新感覚です。
つま先上部と側面にだけ大き目の穴が開いていますが、これらの穴だけでなくアッパー全面に風が通ります。
アウトソールのつま先部分にはベンチレーションが設けられています。
乾きが早い点も非常に気に入っています。アッパーにクッションが入った従来のシューズは乾きにくく、生乾きによる臭いの原因にもなっていました。FLRのニットは雨で濡れても乾かしておけば翌日には乾いていることがほとんどです。
1ダイアルはホールド力も問題無いし脱ぎ履きが楽
アッパー以外でノーマルモデルとの違いはクロージャーがダイヤル2個に対して1個なことです。固定に不安を感じる方もいるかもしれません。確かにダイヤル1個のシューズの中にはつま先側のホールドが不十分なものも少なくありません。私もその点で不安はありましたが実際に使っていて全く問題を感じません。アッパーがしなやかなこととレース(ダイアルのひも)の配置が良いからか、つま先側までしっかり締め付けてくれます。
実はレースのガイドが左右非対称に配置されています。これにより自然なフィットとホールド力を実現しているように感じます。また脱ぎ履きがダイヤル1個でできるのも便利で良いです。特に私は通勤でもこのシューズを使っているので助かっています。
トライアスロンにもおすすめ
素足でも試してみましたが全く問題なく使用できました。通気性が高いので蒸れにくく、トライアスロンにもおすすめです。
詳しくはこちらのブログをご覧ください。
ニットアッパーの汚れは意外に気にならない
ニット素材ということで汚れが気になる方も多いでしょう。私もその一人でした。結論から言うと汚れやすさは普通の白いシューズと同等と考えてもらって大丈夫です。ニットと言っても汚れが染み込むような素材では無いのでそこまで汚れやすくありませんし、洗うことで大抵の汚れは落とすことができます。
詳しくはこちらのブログをご覧ください。
FLR ニットアッパーのサイクリングシューズは汚れやすいのか?ニットのメリットは?
汚れやすいつま先はニットの上にコーティングがされています。
かかとにも同様のコーティングが施されています。
フィッティング面の特徴
・カント角(左右方向の傾斜。親指側が高くなっている)がついている
スペシャのシューズのようなカント角が付けられています。スペシャよりは緩いカントです。これについては個人差があるとは思いますが、ほとんどのランニングシューズにはカントが付いていることや、スペシャシューズが多くの人に受け入れられていることから、その有効性が推測できると思います。個人的には必須の条件です。
・クリート前後位置は一般的か少し前より(スペシャ同42サイズ比)
・Qファクターは一般的か少し広め(スペシャ同42サイズ比)
アウトソールはノーマルアッパーもニットアッパーも変わりありません。FLRだと私は41サイズと42サイズの間なのですが、どちらを選ぶかによってクリート位置の印象が変わりました。小さめの41サイズを選んだ際はクリートが後ろよりでQファクターが狭めに感じました。
サイズ選び
FLRにはハーフサイズの展開が無いので、そこが気になる方もいらっしゃるでしょう。私の場合、41サイズだと履けるけど薄手の靴下しか使えなく、42サイズがベストです。つま先にわずかに余裕がありますが、柔軟なアッパー、包み込むようなヒール形状、全体的に締め付けてくれるクロージャーにより、固定力に不安はありません。ユーロサイズの1サイズは0.6~0.7mm、ハーフサイズにするとわずか0.3mmの違いです。41.5があればさらに極上のフィット感だっただろうとは思いますが、靴下の厚みでサイズが変わってしまうレベルですし、気になる方はインソールの厚みで微調整することをおすすめします。
サイズ感については他社と同等、もしくはハーフサイズ大き目です。幅広の足型で横方向の干渉を避けるために大きめのシューズを選択されていたという方は、幅広のFLRであれば足長がジャストのサイズとなって小さめのサイズ選択になるかもしれません。ノーマルアッパーのF-XX ⅡとニットアッパーのF-XX KNITでサイズ感の違いは感じませんでした。
ご参考に私が過去に使用したシューズを記憶のある限り記載します。
【SIDI モデル名不明 42サイズ】
【DMT プリズマ2.0 42サイズ】※カントがまったく無いため、使用を中止
【Bontrager Classique 41サイズ】※ジャストサイズ
【DMT R4 42サイズ】※わずかに大きく、インソールを交換して使用。カントが微妙にしか無いため、使用を中止
【Specialized S-WORKS SUB6 42サイズ】※小指の付け根があたるが、使用できるレベル
【Bontrager Velosis 41.5Wサイズ】※カントシム併用
【Giro Privateer Lace 42サイズ】※小指があたるためアッパーを伸ばして使用。カントシム併用
【FLR F-XX Ⅱ 41サイズ】※ぎりぎり使用できるが小さめで薄手の靴下でないとつま先があたる
しなやかなフィット感とペダリングの軽さが自分史上最高
F-XX Ⅱを使った時点で今までの他社シューズが嫌になるくらい、そのしなやかなフィット感とペダリングの軽さに満足していました。F-XX KNITは4000㎞くらい使用しましたが、それよりもさらにしなやかで使っていて気持ち良いシューズです。ニットかノーマルかは見た目の好みで選んで問題無いレベルだとは思いますが、個人的にはニットがお気に入りです。もっとたくさんの方に知って試して頂きたいおすすめのシューズです!
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