目次
【ディレーラーハンガー(ディレイラーハンガー)とは】
スポーツバイクのリアディレーラー(変速機)をフレームとつなぐ部分を
「ディレーラーハンガー/ディレイラーハンガー」と呼ぶ。
<交換できるディレーラーハンガー>
鉄のフレームだと、ディレーラーハンガーとフレームは一体型の場合が多い。
一方、アルミやカーボンのフレームだとディレーラーハンガーとフレームが別々になっていて、ディレーラーハンガーが交換できるようになっている。
<交換式になっている理由>
鉄のフレームはぐにゃりと曲がるので、曲げ直しがきく場合が多い。アルミの場合は素材の特性上、曲げ直しを繰り返すとボキッと折れてしまうことがある。折れてしまったらフレームが使用不能になってしまうので、アルミやカーボンフレームの場合には交換式(リプレーザブルディレーラーハンガー/リプレーザブルエンド)になっている。
<ディレーラーハンガーが曲がる要因>
自転車を右側に転倒させると、写真のようにペダル、リア変速機が地面にヒットする。
この時にディレーラーハンガーには外から内側に向かって大きな力が掛かる。
こういった衝撃でディレーラーハンガーが曲がってしまうことがある。
*ディレーラーハンガー自体、走行中に変速機をしっかり支える頑丈なものである。強度があるものなので、もちろん倒したくらいでは簡単に折れたりはしない。
【ディレーラーハンガーはなぜ折れるのか】
「普通に乗っていて、ディレーラーハンガーが折れてしまった」
こうした問い合わせはカスタマーサービスに多数寄せられる。
ディレーラーハンガーが折れる要因とはいったい何なのか。
<折れたディレーラーハンガーの形状>
フレーム側とディレーラー側の折れた部品を繋いでみると、変形しているのが分かる。
折れたディレーラーハンガーをつないでフレームに戻してみると、大きく変形している。
フレームのドロップエンド形状から大きく変形し斜め後方へ引きちぎられている。このことから何らかの大きな力がディレーラーハンガーに掛かったことで折れ、ディレーラーハンガー自体の強度に問題がなかったと推測できる。(強度に問題があれば、後ろに引っ張られたような形状にはならない)
カスタマーサービスでは、過去多くのディレラーハンガー折れの報告、実車の確認を行ってきた。
その際、上記同様に引きちぎられる形状が確認された。もちろん引きちぎれた際の形状や程度は、ディレーラーハンガーの形状や素材によってそれぞれ異なっている。
【検証:ディレーラーハンガー折れ要因】
ディレーラーハンガーが「引きちぎられる形状」とは、どのような状況で起きうるのか、弊社カスタマーサービスでは考え得る状況を全て検証した。
<検証①:リアフリー機構の破損により、フリー機構が固着してしまった状態で走行中に足を止めたらどうなるか>
結果:リアディレーラーが前方へ強く引っ張られる力が働くため、後方に折れる現象とは異なる。
<検証②:カセットスプロケットとスポーク(スポークプロテクター)の間にチェーンが落ち、チェーンが噛みこんでしまったらどうなるか>
結果:検証①と同様に、リアディレーラーには前方に強く引っ張られる力が働くので、後方に折れる現象とは異なる。
<検証③:ディレーラーハンガーが内側に曲がり、スポークにディレーラーのプーリープレートが引っ掛かり巻き込まれるとどうなるか>
結果:この状況でペダルをこぎ続けると、リアディレーラーは後方内側に引きちぎられる。
下記、赤で囲った部分、リアディレーラーのプーリープレートがスポークに引っかかっていることが確認できる。
上の写真の状態でそのまま走り続けると、リアディレーラーが下画像の矢印方向に引っ張られる。その結果ディレラーハンガーが力に耐えきれず、後方に引きちぎられる様にして折れてしまう。
*破損の仕方はスピード域によって異なる
・スピードが遅く、力がそれほどかからない状況で折れた場合
→一本だけスポークが変形していることが多く、リアディレーラーやチェーンに損傷は見られない。
・スピードが速く、力が掛かっている状況で折れた場合
リアディレーラーが後輪に大きく巻き込まれ、スポークだけでなくディレーラー、チェーンの変形、フレームにも損傷を与える。
<検証④:チェーンのねじれ、チェーンプレートの外れの現象によりプーリープレートにチェーンが引っ掛かるとどうなるか>
結果:検証③と同じようにディレラーハンガーが後方へ引きちぎられる。
下記画像はチェーンのねじれが原因でチェーンがディレーラーのプーリープレートに乗り上げてしまう場合。
下記画像はチェーンプレートの外れによって、チェーンのプレートがディレーラーのプーリープレートに乗り上げてしまう場合。
<ディレーラーハンガーが折れる感覚とは>
検証③と④では全く感覚は異なる。
<検証③>はディレーラーがスポークに巻き取られてしまうので、ホイールの回転の力によるもの。人が乗車して走行中の車輪が前方へ回転する力は想像以上にすさまじく、リアディレーラーが巻き込まれると「あっさり」と折れてしまう。
<検証④>はディレーラーがチェーンにの力でひっぱられる力によるもの。ペダルを回して踏み込む必要がある。
下記動画は③の状態を屋外で実際に走行して再現したもの。
【結論:ディレーラーハンガーが折れる要因】
ライトウェイプロダクツジャパンカスタマーサービスが考えたの4つの仮説と独自検証による、これまでの結果からディレーラーハンガーが折れる要因は以下の2種類と断定した。
<要因1:リアディレーラーがスポークに引っかかり巻き取られる。>
何らかの外的要因によりディレーラーハンガーが内側に変形し、ロー側にシフト操作をした際に巻き取られる。
(外的要因:自転車を倒してしまった、駐輪場など自分が見ていない場所で倒れてしまったなど。)
<要因2:チェーンの変形やプレート外れにより、チェーンがディレーラーに引っかかり巻き取られる>
無理な変速やチェーン脱落、噛み込みなどでチェーンが変形または破損。そのまま気づかずに乗っていて発生する。この場合ホイールに巻き取られるわけではないため、どのギア位置でも起こり得る。
【ディレーラーハンガー折れ予防方法】
<自転車が倒れるような状況にしない>
自転車を止めるとき、壁に立てかけるときなど、リアディレーラー側を倒れにくい方向にする。ディレーラー側を風上にしてとめるなど。
<変速がおかしいな、と感じたらディレーラーハンガー曲がりを疑う>
駐輪場から出発したら、なにやら変速がうまく決まらない。そんな時はディレーラーハンガーが曲がってしまっている可能性がある。
【まとめ】
出先でディレーラーハンガーが折れてしまうと、走行ができなくなってしまう。自転車を倒してしまった、変速の感じがいつもと違うなど少しでも違和感を感じたらお近くの自転車専門店へ。
以上、ライトウェイプロダクツジャパン
カスタマーサービスでした。