坂バカスタッフ・コエサシです。
軽量性とオールラウンドな走行性能、そして驚きのコストパフォーマンスで人気のアレックスリムズ ALX473EVOをインプレします。
※2023年7月更新
目次
軽量ホイールらしからぬ剛性
価格の割りに軽いホイールは往々にしてやわらかいものになりがちです。でも、実際に使ってみると、走り出しからカッチリ感が伝わってくるホイールです。
カッチリ感のヒミツ その1 「2:1スポークデザイン」
右側にスプロケットが着くため左右非対称になるリアホイールは、左側のスポークテンションが緩くなってしまうのが通常です。これはホイールのたわみを生む原因となります。ALX473は、右側16本、左側8本。左側のスポーク数を半分にすることで、左右のスポークテンションをほぼ均等にしています。
カッチリ感のヒミツ その2 「セミワイド&セミディープ EXAリム」
アルミ製の軽量ホイールは、20mm台のハイト、かつ幅の狭いリムを採用している場合がほとんどです。ALX473は、30mmディープの幅も広くとったリムで、剛性が飛び抜けています。もちろん、独自のリム専用アルミ合金「EXA」です。
空力も抜かり無し!
軽さだけに注目が行きがちですが、空気抵抗の軽減もしっかり考えられているところが気に入りました!軽量ホイールと言えばヒルクライム用?と思いがちですが、高速巡航も得意です。
空力性能のヒミツ その1 「Pillar製極薄エアロスポーク」
ホイールにおいてスポークの空気抵抗は大きいです。高性能なスポークを送り出していることで有名なPillar社の軽量エアロスポークを採用しています。エアロ部をノギスで実測してみると幅2.0mm、厚み0.95mm。スポークの空気抵抗は主に厚みの薄さで決まりますが、この0.95mmというのはかなり薄い方です。ちなみに最高級ホイールに多く採用されているSapimのCX RAYスポークは0.9mm。ですがこのスポーク、重量的にはCX RAYより軽いです!さらにスポーク数も、フロント20本、リア24本と少ないので、空気抵抗の低さは体感できるはずです。
空力性能のヒミツ その2 「ラウンド形状のエアロリム」
リムのサイズは、30mmディープ、22mmワイド。軽量アルミホイールとしては、高さと幅のあるリムです。30mmディープは、空気抵抗の大きいスポークを短くし、空気の流れを整えます。22mmワイドは、タイヤとの段差ができにくく、タイヤ~リム間での乱流を抑制します。リムは最近のエアロリムの主流である、丸っこい断面形状です。
安定感のあるブレーキング性能
実際に使って感じたことの1つに、ブレーキングの安定感もありました。リムサイドはCNC削り出しで滑らかに加工されているのですが、ブレーキングが滑らかなことはもちろん、効きが比較的良かったです。リムの製造を得意とするAlexrims。その高い技術力の一つに「溶接ジョイント」もあります。アルミリムには必ず継ぎ目が存在します。コストがかからず一般的な方法が「スリーブジョイント」と言って、リム内部断面より一回り小さい部材を継ぎ目の内部に差し込むものです。(釣竿やテントのポールみたいな感じ。)この方法は、重量が増えやすいことと、ジョイント周辺だけ堅くなって、スポークテンションにばらつきが出たり、フレが出てしまうことがデメリットです。対してALX473の溶接ジョイントですが、目視ではどこにあるのか分からないくらいキレイです。(リムテープを外すとやっと分かります。)ジョイントが溶接で超高精度な故に、ブレーキング性能が良かったんですね。
その他の特長
高剛性大径リアアクスル
7075アルミ製の15mm大径アクスルによりハブの歪みを排除し最高の回転性能。
シールドカートリッジベアリング
高精度なシールドカートリッジベアリングで滑らかな回転
付属品
こんなに安くて軽くて弱点は無いの?
安くて軽いホイールは、「剛性不足でパワーが逃げる」「耐久性が低い」ということがよくありがちですよね?剛性不足に関しては前述の通り、2:1スポークデザインと高剛性リムによって解消されていることが確認できました。耐久性に関しても、リムがかなり頑丈ですし、補修パーツをしっかり用意しているので、都度ベアリング等を交換しながら使えば長く使えます。
前作ALX473との違いは自社製造のハブ
ALX473EVOはALX473のアップデートバーションです。EVOになって変わったのはハブが自社製造の新型ハブになったことですが性能は大きく向上しています。自社製造のメリットは、ホイールの組み上がった状態を考えてパフォーマンスを最大化するハブを設計できることです。質感はマットブラックで高級感がありますね。最も大きく変わったのが、ハブのジオメトリー。ハブの寸法によってスポークを引っ張る角度が決まってくるので、走りを決める大きな要素です。さらにフリーボディとベアリングにも改良が施されました。
フロントハブが大径化
ハブフランジ穴のPCDが29mm→36mm。7mm大径化。フランジ穴とはスポークが挿さっている穴のこと。PCDとはスポークの挿さる穴の描く円の大きさ。これが大きくなっていることが分かると思います。大きくなるとスポークを引っ張る角度がきつくなります。つまり、リムを今までより横方向から支えることができるんです。横方向の剛性が高まり、パワーロスになるブレが減ります。ペダルを踏み込んだ時って、フロントホイールに荷重がかかります。またダンシングの時も、フロントホイールに体重が乗りますよね?特にバイクをふると横方向に力がかかるんです。そういった場面で、フロントの剛性感が増し、より進むホイールになりました。ちなみに使用するベアリング径も以前より大径化して、回転性能と耐久性が向上しています。
リアハブは大径&幅広化、さらに左右非対称設計で反応性を向上
リアハブで変わったのはPCDだけではありません。ガラッと設計が変わっています。
まずPCDは、ドライブサイド(クランクがついている側)が48mm→53mm。
ノンドライブサイドが42mm→44mm。フロントと同様に横方向の剛性を高めています。左右で大きくなった数値が異なるのは、ホイール全体のバランスを左右対称に近付けるためです。リアホイールはドライブサイドにだけスプロケットが付いているため、そもそも構造的に非対称。必然的に左右のスポーク角度とスポークテンション(スポークを引っ張る強さ)も非対称になります。そこでハブのPCDをドライブサイドだけ大きくすることで、左右を対称に近付けているのです。
PCDに加えて変更されたのはCTF(Center to Flange)。簡単に言うとハブフランジ穴の左右間距離が離れています。左右間距離が51.5mm→57.5mm。スポークをよりワイドに支えているということです。皆さんも足を閉じているときより広く開いている方が強く踏ん張れますよね?それと同じことです。
フリーボディは高級感あるラチェット音に
素材は変わらずアルミ合金で最高レベルの強度を持つ7075アルミで超軽量。ただ内部のラチェット機構は以前と異なるようです。以前の乾いたようなラチェット音に対して、よりしっかりとしたラチェット音です。感覚的な話にはなってしまうのですが、造りが良くなり耐久性が高くなったと感じました。
重量は1460gに
メーカー重量は1400から1460gに。実測ではフロント645g、リア823g。前後で実測1468gでした。(リムテープ、QR無しの単体重量)
今回重量が追加されたのはハブです。ハブはホイールの中心部で重量が重くなったとしても走行性能には影響を与えにくい部分。実際に走っても剛性の向上こそ体感できますが、ハブが重くなったことは体感できませんでした。
EVOになって実際に走りは良くなったか?
変更点を書いてきましたが実際に走りは「EVO」したのでしょうか?結論としては「基本的な性能は変わりないが、よりシッカリとした安心感あるホイールに進化した」です。特に体重のあるライダーには大きな恩恵がある改良だと思います。以前のモデルも十分な剛性がありましたが、「EVO」の剛性は確実に向上していました。フリーボディの改良、ベアリング径の拡大、ベアリングシールの防水性向上で、耐久性も高まっています。
インプレまとめ
軽量性とコスパが注目のアルミホイール。ですが、剛性と空力もしっかり押さえていてオールラウンドに走ってくれます!完成車からのグレードアップで劇的なスピードアップを実現できます。もちろん上級者がレースに使っても問題ありません。トータルパフォーマンスに優れたロード用ホイールの絶対的オススメです!!
商品ページはこちら
https://www.riteway-jp.com/pa/820519.html