細身のフレーム、変速機がついていない、時にはブレーキさえもついていない…スポーツタイプの自転車の中で一番見た目がシンプルでオシャレな自転車、それは「ピストバイク」です。
◎よく名前は聞くけど、ピストバイクの定義って?
「ピスト」=「ブレーキの付いていない自転車」だと思っていませんか?「ピスト」とは、イタリア語で「トラック」の事。つまり、ピストバイクとは、トラックを走る自転車の事、トラックレーサーの事を言います。
自転車のトラック競技では、一部の例外を除いて、フリー(ペダルを止めてもタイヤが回る仕組み)、変速機、ブレーキの装着が認められていません。もちろん、ブレーキが付いていませんので、そのまま日本の公道を走ることはできません。
ところが、1990年代にアメリカのメッセンジャーの間で、シンプルな構造からくる頑丈さが評価され、トラックレーサーを公道で使う人が増えてきました。また、多段ギアやブレーキを持たないシンプルなスタイルがおしゃれに敏感な人達に受け入れられ、日本でも2000年台より流行の兆しが見えてきました。
◎固定ギアに独特の乗り心地
ピストバイクは「フリー」機構を持たない、固定ギアのものが多くあります。通常のフリー機構を持つ自転車と比較して、独特の操作が必要になる状況があります。まず、スタート時にペダルを逆回転させて持ち上げることができません。必ず停車した場所にペダルが来ているので、ペダルの場所を変えたい場合には後輪を持ち上げる必要があります。同じように、停車直前までペダルを回し続ける必要があるので、ちょうどよい脚の場所で自転車を停車させるにはコツと慣れが必要です。
また、カーブ自転車を傾けた場合でも、ペダルを止めることができませんので、交差点などで深く自転車を傾ける場合には、内側のペダルを地面や縁石にこすらないように注意が必要です。
また、市販のピストバイクには後輪の裏表を入れ替えて、フリーと固定ギアを選択できるようにしているものもあります。
◎変速機がついていない
ピストバイクには、変速機がついていません。つまり、上り坂でギアを軽くすることや、スピードに乗ってきた時にギアを重くすることができません。そのかわり、ギア比は比較的軽めに設定されているものがほとんどで、かつ動く部分が少ないということは、それだけ故障の可能性も少なくなっていくということです。選択肢が少ない分、運転に集中できるという声もあります。
◎公道を走るには必ずブレーキが必要!
固定ギア、かつブレーキがついていないピストバイクは、ペダルが車輪に直結しているため、ペダル操作を減速にも用います。トラックレースでは全員が固定ギアの自転車に乗っているので、それほど急なブレーキ操作が必要な局面が少なく、ペダル操作を用いたブレーキでも十分に減速ができます。
しかし、スピードの大きく異なる車両やときには歩行者もいる公道で、この減速方法は危険です。なにより法律によってブレーキの装着が義務付けられていますので、必ずブレーキを装着して走行しましょう。
原宿や渋谷など、オシャレに敏感な街で颯爽とピストバイクを乗りこなして、自転車とオシャレを楽しみましょう!
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