Felt Racing Development

FRDとは、“Felt Racing Development ”の略です。それは単なる頭文字ではなく、3つの言葉だけでは伝えきれない、多くのことを表しています。FRDは、私たちのラボから生まれた最先端のフレームセットだけに与えられる名誉ある商標です。FRDは、FELTチームが内なるマッドサイエンティズムや偏執的なエンジニアリングへの欲求を解き放ち、材料費に邪魔されず、テストや開発スケジュールの時間的な制約に縛られず、過去の限界に縛られずに何かを生み出すことを宣言するものなのです。

FRDのマークが入った自転車は、世界トップクラスのプロアスリートやレースチームから得たリサーチとフィードバックにより、それぞれの種目のアスリートが欲するパフォーマンス・ニーズに焦点を当てた、総合的なプロセスから生み出されています。トライアスリートにとっては、スイムとランのスプリットの間に最大180キロのライドをこなすことを目的としています。クリテリウムレーサーにとっては、プロトンで力を発揮しつつ、ゴールスプリントのためにフレッシュさを維持することを目的としています。ロードレーサーにとっては、山岳の登りなどでライバルを攻撃し、厳しい下り坂で差を広げることを目的としています。フェルトのエンジニアは、あらゆるレースシナリオを調査し、ライダーのワット数を最大化し、空気抵抗を減らし、時間を節約するために、バイクを技術的な限界まで押し上げる方法を探求しています。

FRD | Bike Collection

FRDの機能

FRDは、すべてのモデルのバイクに共通する要素ではありません。単に、異なる種類のカーボンファイバーや、チューブ形状の微調整、空力効率の向上、はたまたカーボン・ロウなマットブラック塗装を意味するものではないのです。FRDは、用途に応じてそれらを組み合わせたものであり、またそれ以上のものでもあります。FRDとして作られたバイクは、FR FRDのように、最も人気なロードバイクをさらに洗練し、昇華させたモデルがあります。IA FRDのように、コナでのアイアンマン・チャンピオンシップ大会常勝を目的に、最もエアロダイナミックに、且つ軽量に仕上げたバイクもあります。あるいは、TA FRDトラックバイクのような、これまで世界が見たこともないような革新的なスーパーバイクのプロジェクトであることもあります。

FRDグレードのプラットフォームは、ライダーがそれぞれの用途で最大のパフォーマンスを発揮できるよう、それぞれが独自に設計されています。しかし、その多くに共通する要素もあります。これからご紹介するのは、さまざまなFRDレベルのバイクに見られる機能の一部です。FRDは、プロアスリートとエンジニアが流した血と汗と涙の結晶です。「FRD」と書かれたFeltのバイクを目にしたとき、あなたは地球上で最も優れた性能を持つバイクの一つであることを、きっと実感することでしょう。

世界最高レベルのマテリアル

TeXtremeカーボンファイバーをはじめ、世界有数のカーボン&コンポジットメーカーから、最高の素材を惜しげもなく調達しています。FRDレベルのバイクに使われている素材の多くは、地球上の他のどのバイクでも使われているのを見つけることは難しいでしょう。

NON-FRD カーボンレイアップ

FELTのFRD以外のフレームは、約175枚のカーボンピースで構成されており、その一つ一つが、優れた乗り心地、優れたペダリング剛性、軽量性をバランスよく実現するために精密にチューニングされています。もちろん十分複雑な工程である一方、FRDレベルのフレームを比較するといかにFRDが緻密なプロセスを踏んでいるかが分かります。
*注:これはイメージ図であり、実際のカーボンレイアップを反映したものではありません。

FRD カーボンレイアップ

FRDレベルのフレームは、約400枚ものカーボンピースから、より細かく作られています。このようなフレームを設計・製造するためには、膨大な時間とコスト、そして技術が必要となります。しかし、世界一軽く、世界一扱いやすい、世界一高性能な自転車フレームを実現するためには、それだけの価値があるのです。
*注:これはイメージ図であり、実際のカーボンレイアップを反映したものではありません。

FELTのカスタムカーボンレイアップ

FRDグレードのフレームセットには、400枚以上のカーボンファイバーピースが使用されており(他のフレームの2倍以上)、そのすべてが、総和として想像をはるかに超える性能と乗り心地を生み出しています。フレームはすべてFELTグローバル本社でエンジニアが自社開発しています。また、FRDレベルのカーボンレイアップには、独自の成型工程が必要で、完成までにさらに時間とコストがかかりますが、より高い性能と乗り心地を実現するフレームセットとなるのです。

NON-FRD カーボン成型プロセス

FRD以外のフレームは、熟練工の手によってカーボンファイバーが積層されています。 成型工程では、固形のEPS(ポリスチレン)コアとシリコンスリーブの内型を用いて、EPSコアの外側にブラッダーを配置し、フレームの形状を作ります。

FRD カーボン成型プロセス

FRDレベルのフレームも手作業で作られていますが、独自の中空EPSコアを採用し、ブラッダーをコア内部に納めることにより、精密で厳しい公差でのカーボンファイバー成型を可能としています。 これにより、フレームの内部形状と外部形状がほぼ同一となり、軽量化と、フレーム性能を最大限に発揮することができます。

カスタムホロウEPSモールド

FRDレベルのバイクは、カスタムメイドの中空EPSフォームコアを使用して作られています。これは、バイクフレームの製造に使用される一般的なソリッドEPSコアよりも高価で、コア独自のCNC金型から作成されます。この中空の型は、EPSコアに成形用ブラッダーを押し付けることができるため(一般的なフレームはEPSコアにシリコンスリーブを装着)、フレームの外部構造と同じ内部構造になり、内部材料の余剰による重量増加を抑えることができるのです。また、公差を厳しくすることで、より設計シミュレーションに近い挙動を実現しています。

NON-FRD 成型コア&ブラッダー

非FRDフレームの成形が完了すると、作業者はフレーム内部からソリッドEPSコアを素早く取り出します。コアは固形物として残っているため、比較的容易に取り出すことができます。

FRD 成型コア&ブラッダー

FRDレベルのフレームは、中が空洞のEPSを使用しているため、成形の最終工程で非常に手間がかかります。熱成型によって溶け崩れた中空EPSコアの残骸を取り除くのに10倍以上の時間がかかるからです。しかし、その甲斐あって、FRDレベルのフレームは、ライディング性能を余すところなく引き出すことができるのです。

FRDの仕上げ

FRDレベルのフレームは、中が空洞のEPSコアを使用しているためカーボン成形後のコア取り出しに時間がかかることもあり、より多く職人の手間がかかっています。 標準的なフレームの仕上げ工程が比較的短時間で終わる一方、FRDレベルのフレームは仕上げの工程に進むために1時間以上かかります。この作業時間は、コストやリソースの面でも大きな負担となりますが、しかし、世界最高級の自転車フレームを作るためには必要な作業なのです。